短編小説
1
思春期全開静雄×純粋臨也





高校のときから思っていた事だ。

例えば横から見たときに見える長く上を向く睫毛とか、後ろから見たときに見える細い首とか項とか。たまに見ることが出来るへにゃりと笑う顔とか照れた顔とか、顔をしかめ痛みに堪えるところとか。
まあ兎に角、

「可愛いんだよテメェ。好きだ」

そんなこんなで始まった関係である。



臨也は全く可愛げのない奴だと思っていたが、全くそんなことはないのだと告白した直後にわかった。目をぱちぱちとしばたかせたと思えば、うそ……、と小さく呟き、本当に?嘘じゃない?とうるうるした上目遣いで見つめられ、俺もずっと好きだったと告白を告白でかえされた。その様が可愛すぎて、くわえていた煙草を落としたのもいい思い出だ。ちなみに今でもよくある話だ。

あれから半年。

驚くべきことにまだキスすらしていない。
なんでって、臨也がびっくりする程純粋なのだ。付き合い始めて顔つきも優しくなり、より一層可愛くなった臨也は、きらきらきらきらした目で俺を見て微笑む。シズちゃんシズちゃんと一心に慕ってくる様なんか、脇目もふらずその場で押し倒したくなるぐらい可愛い。家に帰ると、臨也が俺の服の裾をきゅっと握り、おかえり、と迎えてくれる。俺の好きな料理を作って待ってくれる臨也に、俺は心底惚れている。

抱き締めることすら恥ずかしがる臨也に、キスなんてできないし、押し倒すなんてもってのほかだ。大事に大事にしてやりたいのだが、臨也が一々可愛すぎる。せめて抱き締めてぇ、と思うものの、抱き締めると臨也が恥ずかしがる。この悶々をどうするべきか。

今だってそうだ。
臨也は俺と手を繋ぐのが好きだと言っていた。だからよく、俺の手を触る。

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