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寝床に居るのは





障子越しから入ってくる日の光と共に、重い瞼を開ける。力も入らない躯を動かし、起き上がろうとしたが躯が思うように動かない。はて、と疑問に思い眼をギョロリと動かせば、隣には子供のような寝顔をしてすやすやと眠っている三成が居る。

またかと、吉継はハァッと溜息を付いた。ここの所毎晩のように三成が吉継と共に眠るようになってしまい、現在ではそれが普通になりつつある。それではいかんと、別の部屋で寝ろと言うが三成は何故だ、何か不満があるのかと睨み付ける。

有無を言わさない鋭い眼が吉継の決断を鈍らせ、親離れさせなければならないと焦る。しかし己自身三成と共に寝ることが心地好いのも事実。ならばこのままでもよいのではと思うが、実際の所そうはいかない。

「やれ三成、起きろ。」

ぺちぺちと、三成の額を軽く叩き先程から腰に廻されている腕を退かそうと、吉継は布団の中で蠢く。しかし強い力で抱き竦める腕に、少しは驚いたが直ぐさま冷静を取り戻す。躯が少々痛むが、乱れる溶衣を気にしつつも吉継は此処から抜け出そうと藻掻く。

「動くな、刑部。」

耳元で低い声が鼓膜を揺らす。未だに眠りこけていると思っていた君主に眼をやると、睨み付けるようにしてこちらを見ていた。

「三成、起きたか。離しやれ」

「断る。」

駄々っ子のように我を貫き通す子に怒りよりも呆れの方が勝っている。すっかり捕われてしまったか細い躯に内心舌打ちをしながらも、感情を露わにせず優しく、いつもと変わらぬ口調で言う。

「三成よ、我は躯が痛い。少しは力を緩めてはくれぬか」

ミシミシと骨が軋む感覚がし、このままでは壊れてしまう。ヒッヒッと、笑う吉継に三成は少しだけ力を緩めた。
そのおかげで少しは呼吸しやすくなり、ホッと一息付くのもつかの間。どうすれば三成は布団の中から解放してくれるのか、朝から頭を回すことになった。

一度決めたら、なかなか決断を変えないやや子に困ったものだと嗤う。

「三成、我はこれから仕事がある。離してはくれぬか」

「何故だ。貴様は最近働き過ぎだ。少しは休め」

言ってみたはいいが、離す気など毛頭ないらしい。これは困ったと、たいして焦ってはいないがこのままの状態で小姓に見つかるのも癪だった。
だからといって、三成が離す筈がなくさてどうしようかと模索してみる。

「……刑部、好きだ。」

甘えるように首筋に唇を付け、吐息を漏らす。ビクリと大袈裟に反応してしまった。
ところかわまず、触れようとしてくる三成に嫌だとは思わない。しかし、病を帯びている躯にはあまり触れてほしいとは思わない。


この日も吉継は悩み、頭を抱える。
抵抗もままならぬままに、流されてしまう。











END





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中途半端な終りになってしまいましたが、ほのぼのにさせていただきました!!



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あきゅろす。
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