宝物庫 ページ:6 † あれから私は雪音とずっと一緒だった。優しい雪音。いつも明るくて……誰にでも、同じように接していた。そんな雪音が……ドウシテ…… それを考えると自然に涙がにじみ出た。 見上げた空は、どこまでも広いのに、狭まった世界しか見えなかった……。 自転車を漕ぐ足取りが重い。たった一つのものを失っただけで、私の心すべてが失ったようだ……。 私は気付けば、二人でいたときのことばかりを考えていた。クラスが違ってもずっと一緒だった。明るい雪音は、いつも堂々としている。友達も多い。必ず誰かが…… 私はそこで、あることが頭に過った。いつも誰かが……? 私は、最近見掛けた雪音を思い返す。いつも俯いていた。誰かの人目を気にしていた。あれでは昔のわた……。 私の思考回路にとどめをさした一言が浮かんだ。 ここ最近の雪音は、ヒトリではなく……独りだった……? 私は急いで、自転車を漕いだ。何処に向かっているのか自分でもわからない……いや、わかっていた。でも、どうしたらいいかがわからない……。 ただ気付くと私はいつの間にか雪音の家のインターホンを押していた……。 [*前へ][次へ#] [戻る] |