宝物庫 ページ:2 『あなたの隣で……』 「えっ? 今……何て……言った……?」 私は震える声をおさえて、目の前の親友に聞き返した。 「だから、もう、私の近くにまとわりつかないでほしいの」 「な、何で……?私たち、いつも……」 私は、頭の中を落ち着かせようとしても落ち着かせきれない。 「そうよ、いつも一緒だった。だから、もう私の前に来ないで」 冷ややかな声だった。そこに立つ雪音は、まるで別人のようだった。 † 「元気出しなよ、望」 「でも……」 あれは一週間も前のこと。親友の……、だったと言うべきだろうか……雪音に私は絶交を言い渡された……。あれから一度も口を聞いていない。何が原因だったかもわからない。急な言い渡しに私は驚いた。 「花村さんだって本気で望のこと嫌いなわけはないと思うよ」 真弓はグラスに入ったオレンジジュースと氷をストローでかき混ぜながら言った。 「そうかな……」 「そうだよ、だってあんなに仲良かったでしょ?」 それもそのはず。私と雪音は小学校から同じだったのだから。とは言っても、実際、話をするようになったのは中学生のあの時からだけど……。 [*前へ][次へ#] [戻る] |