宝物庫 ページ:1 長い長い廊下……。自分のクラスへと導く通路。そこは、他のクラスの友人とも顔を見合わすことが多い。 廊下は一種の交流の場…… 「望、帰るよ?」 「あ、待ってて」 私は廊下で待つ友人のもとへ慌てて向かう。 「ごめん、行こ……」 友人は私の顔を覗き込む。 「どうした?」 「う、ううん、何でもない」 急いで作り笑いをする。その作っている笑顔に彼女も気付いているだろう。 「そう、ならいいけど……」 わかってて、敢えて追求しない彼女の優しさである。 足を歩ませながら、ゆっくりと後ろを振り向く。 そこには、自分の教室に向かう少女がヒトリ。彼女は俯いて歩いていた。 その少女と私はーー [次へ#] [戻る] |