宝物庫 ページ:8 しばらくたち、雪音に何が起きたのか全て私に話してくれた。私はただ黙って全てを聴いてあげた。 それは、私と彼女だけの秘密だ。 「でも珍しいね、雪音が嘘つくなんて」 私は微笑んで彼女の背中を見た。 「嘘なんてついてない」 私はそのまま彼女を見た。 「だって……巻き込みたくなかったから……」 いつも強気な雪音は震える声で呟いた。 「つきまとわないでとは言ったけど、嫌いになったとも言ってないでしょ?」 彼女は私に振り返る。 彼女の後ろで光る太陽。夕焼け空はどこまでも赤く、彼女の長い影を創り出す……。 私は急に笑い出した。 「な、なんなの!?」 雪音は慌てて私を見る。その様子がたまらなくおかしい。 「私は、雪音が傍にいてくれたらそれでいいよ」 ゆっくりと足を歩ませ、私は雪音のもとへと進む。 「一人でも、たった一人でいいの。私の傍にいてくれる人がいるなら……。それが私にとって雪音だよ?」 言い終わる頃には、親友に手が届くところにいた。私は彼女に笑いかけた。 「ばかね……」 私は少し肩をすくめた。 「でも……ありがとう」 そう私に呟く親友も、私に笑いかけた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |