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D.buster
オマケ話しpart2
 闇に沈んだ学院の廊下。
月明かりだけが廊下をぼんやりと照らす。
廊下に置かれている不気味な金色の女神像。
それらは私たちを見下すようにも見える。

「この部屋、ね。ふふ、あなたの下級生の子の部屋」

「や、やめなさいっ。あなたは自分が何をしようとしているのか分かってるの!?」

「お祭りの始まりよ、葵……」

 扉を開け放つ。
その姿は堂々としていた、やはり人間と悪魔では警戒心の強さが違うようだった。
 部屋に浮かび上がる悪魔の影。
必要最低限の物しかない質素な部屋。
その部屋のベッドに獲物は、いなかった。

「えいっ!!」

 頭に鈍撃が走る。
何か重い鈍器で後頭部を叩かれたようだった。
私は身体に力が入らず無抵抗で床に倒れ伏す。

「はぁ、はぁ、悪い、子……って、お、お姉さま!?」

 女の子は混乱状態に陥っていた。
侵入者を鈍器で撃退したところ、それは尊敬していた先輩だったのだ。

「侵入者がお姉さまでお姉さまは侵入者でお姉さま……」

 完全にわけが分からないという状況で女の子はふと気づく。
何でこんな時間に来るのか、という考えにたどり着く。
何か急用でもあったりしたのか、それとも……

「お、お姉さまっ、起きて下さいっ、目をさまして下さいっ! お姉さまぁっ!!」

「痛いわねぇっ、あなたもう少し手加減しなさ、ってあれ!? 翼っ、私の自慢の翼は!!?」

 葵の姿をしたサタンはあれこれと背中をひたひたと触る。
しかし、求めていたものは背中に無かった。
包み込む闇でさえも……。

「お、お姉さま、そんな淫らなお姿でここに!?」

 女の子は頭から蒸気が出そうなほどに赤くなる。
それもそうだろう、一度でも見たかった姿を思わぬところで見てしまったのだから。

「お、落ち着きなさいっ、お願いだから落ち着いてえぇっ……」

「落ち着けっていう方が無理なお願いですよお姉さまぁ……」

「ちょ、ちょっと本当に待ってっ、さ、触ら……」

 獣のように暴走する女の子は葵の姿をしたサタンでも止めようがなかった。
サタンはこの後、修道の女の子がこれほどまでに本能的だということにショックを受け、気絶したという――


――後日談

 あの夜が明けた次の日の朝だった。
シスターの声が響いてくる。
 何かあったのだろうかと私は身体を起こす。
 やけに身体に風が当たる、当たり前だ。

「あなたたち! 修道着を着て部屋の前に出なさいっ!!」

「修道着なら、って……いやあぁああぁ!!」

 その後、私とこの子は部屋の前でずっと懺悔することになった。
なぜか、この子が嬉しそうだったのは私の気のせいではないだろう――

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