カイとソウ《2》
*


恢の首に回した腕。
ぎゅうぎゅう抱きつくと、恢が笑う。
「なぁに?」
甘い甘い蕩けてしまいそうな声が僕の言葉を促す。
それには小さく首を振って尻を上げる。
「……っ、あ…」
恢の熱くて硬く滾るモノに擦り付けたら体の奥が疼いた。
「もー…っ」
知らないからね、なんて言うと僕の尻を掴む手の力が強くなる。
手加減なんていらないんだよ。
そのままぶつけて欲しいんだ。
恢の、全部。
「っん、ぁ…あっ……ぁ、ああ…んっ」
先端が触れると圧迫感と一緒に拓かれる。
自分のソコよりも熱い恢のモノが、ぬぷぬぷといやらしい音をさせながら入っていく。
丁寧に丁寧に溶かされた場所は嬉々として恢を飲み込んでいく。
いつも思うよ。
恢を受け入れる度に、思う。
いま、この瞬間は、僕だけの恢。
「ぁ、あっ、もっ…と……もっと…っ」
「ばかやろ…」
低い唸り声のような文句を溢すと一気に突き入れた。
肌がぶつかる音と尻に感じた恢の下生え。
深く、深く、奥深くまで咥え込んで絡み付く。
まるで僕の言葉を代弁するかのように蠢く襞たち。
「そーたン中、きもちー…っ」
詰めたような少し掠れた声が耳に流し込まれる。
「かい…かぃ…っ、ふ…ぁ…ああっ」
ちゅぷちゅぷといやらしい音をさせながら、耳の中を滑る舌。
恢の熱い吐息と僕の名前を呼ぶ声が直接脳に響くみたいになって、背筋を震えが走った。
「ひン…あっ、ゃ…かい……かいっ…すき……すきぃ…っ」
引き締まった腰に足を絡めて尻を擦り付けたら、恢のモノがどくりと脈打って膨らんだ。
苦しいくらいの大きさは、すぐにビリビリとした快感に刷り変わる。
「……は…ぁ、も…やば」
恢の腰に絡み付けていた足が解けるほどの律動は呼吸も意識も奪っていく。
「ああぁぁあっ!やぁ…ぁん…だめっ、だめぇ!!も、出ちゃぁぁあっ」
「ぅ、あ…っ」
我慢のできない体は恢と僕の腹と胸に白濁を撒き散らして、咥え込んだモノをぎゅうぎゅうと絞り上げる。
「あつ…ぃ」
叩きつけるように襞へかけられた恢の白濁。
熱湯のようなそれは僕の中に飲み込まれていった。





──────

丁寧に丁寧に後始末をされて、それでまた泣きたくなるような甘い快感に支配された僕の体。
「そーたはさ、ホントえっちな体だよね〜」
ニコニコと若干だらしない笑顔を向ける恢。
「ばか…」
治まりきれなくなった熱を吐き出させた唇は綺麗な弧を描く。
「こーんなにかわいーのに、男前なんだもんなぁ」
「え?」
「槇原さんに言ったこと」

──恢の仕事へ支障が無いようにします


「だって、恢が頑張ってるから」
僕も頑張りたいんだよ。
「ホントはさ、そーたがもっと俺にべったりだったらいいのにー…とか思うけどね」
「恢?」
長い指がするりと右の目尻を撫でていく。
「俺の傍から離れられなくなっちゃえばいいのに、なんて」
軽い口調のそれは、でも真剣な瞳に恢の本音と気付いた。
「でも、そうならないところがそーたがそーたな所以だね」
ふと和らぐ瞳。
甘くて甘くて蕩けてしまいそうな表情になんだか顔が熱い。
「大好き」
ちゅ、と可愛らしい音をさせて唇に降るキス。
「僕も、大好き」
恢の両頬を包んで引き寄せたら抱き締められた。
「そーた」
「ん」
「そーた」
「うん?」
「かわいーなぁ」
「…ばか」
端から見たらくだらないだろうやり取りだけど、それが嬉しいんだから仕方ないよね。



簡単に済ませた夕食の片付けをしてソファに座る恢の隣に腰を降ろす。
ケータイでメールを打っているのか、少し待つように言われた。
「………」
することもないし、ぼんやりとテーブルを眺めたりする。
恢を見たけどもう少しかかりそうだから。
うん、と頷いて恢の太股に転がった。
「そー…」
恢は驚いたように目を丸くして僕を見る。
「なーぁにかわいーことしてんの」
恢の指が前髪を分けて撫でていく。
「休憩」
サラリとした布地越しに感じる恢の体温が心地好くて目を閉じた。
それに恢は笑ったみたいで、空気が小さく震える。
恢と一緒にいると、こうやってるだけでも安心してしまう。
隣に居ても、いいんだなぁ…なんて。


髪の毛を掻き混ぜてゆっくり整えるように滑る指。
頭皮を撫でるその感触に目を開けた。
「あれ?」
恢の手にあったケータイはいつの間にか消えていて、その代わり僕の頭を撫でている。
「おはよ」
「…寝てた?」
「うん。少しだけね」
優しい色の瞳。
「ごめん…足、痺れちゃうよね」
「ぜーんぜーん平気だよ。そーたのかわいー寝顔を堪能してました」
「………」
ホント、恥ずかしい。
体を起こしたら恢にがっかりされたけど…

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