カイとソウ《2》
*
「そーた」
「…ぁ、ん…恢」
掠める吐息が熱い。
唇が蕩けちゃいそう。
「寝ちゃった」
「疲れてるんだね…」
真上にある恢の頬を掌で包む。
「んー…そうでもないよ」
「でも」
「そーたの匂いに安心したけどね」
「…ばか」
さらりと恥ずかしいことを言って、恢の長い指が右の目尻を滑る。
それが擽ったくて目を細めると瞼を舐められた。
「そーたの目ってさ」
「え?」
覗き込むように瞳を見つめられて思わず見つめ返す。
「ツルツルで綺麗だよね」
「……そ、ぅかな?」
「うん。綺麗で舐めたくなっちゃう」
「ぅ、え…っ」
舐め…たい!?
赤い舌が恢の唇から覗いて思わずきつく目を閉じた。
そうしたら瞼に感じるくすくすとした小さな笑い声。
「かーわいーなぁ」
ちゅ…
左目の瞼を軽く吸い上げられて薄く目を開く。
細められた切れ長の目。
「そーたの全部を舐めたいよ」
「……ばか」
本気を滲ませた声色に、嬉しくなる僕もどうなんだろう。
「ねぇ、そーた」
抱き締めるように腕が体に回ると、軽い動作で引っくり返された。
仰向けからうつ伏せになった体。
恢が何をしたいのか分からなくて振り返る。
「恢?」
胸と腹に絡む腕。
「舐めてもいい?」
耳朶の後ろに感じる恢の吐息に体が跳ねた。


肩辺りまで捲られたTシャツ。
戻そうと思っても鎖骨を撫でる恢の手に阻まれてしまっている。
背後から乗っかられると身動き取れなくなるんだ。
重たくて苦しいということはないけど。
軽く触れては小さな水音を跳ねさせて離れていく恢の唇。
それだって十分擽ったいし、いやらしい気分になる。
「ん…ゃ、はぁ…あっ」
漏れた声はぎょっとするほど甘ったれたもの。
恥ずかしくて枕に顔を埋めた。
恢の唇がふわふわとさ迷ってウェストに落ちる。
もちろん止めることも出来たけど…
それでもやっぱり、恢の触れる気持ち良さには勝てないんだ。
「ぁー…きもちー」
そんなにしみじみと言わなくてもいいのに。
「そーたの肌ってホント、キメが細かいよね」
「なに、それ…っ」
ふわふわと触れる唇と少し強めに滑る舌。
なんとも言えない絶妙な感触に腰が震えてしまう。
「ん、ウェストなんかは下着が擦れたりして皮膚が黒くなったりするんだけど」
少しずつずらされていく下着。
舐めたい、て…
どこまで?
「そーたの肌は綺麗」
気持ち良い。
柔らかい。
美味しい。
ぽつぼつとそんなことを呟く。
最後の美味しいは、意味として良く分からないけど。
とりあえず尻に頬擦りは止めようか。





それで恢の気が済んだかというと、そんなことはなくて。
僕がじたばたしている間にパパッと服を奪われた。
今日はしないよ、とは言ったけど…
尻臀を掴んで舐めたり吸ったりしながら時々甘噛みして。
固い歯の感触に腰が跳ねると恢が嬉しそうに笑う。
それを何度も繰り返して尻と太股の境目を強く吸った。
それからそのまま舌は滑って、尻の間に滑り込む。
「や!だめ…っ」
かーさんがいるからだめ、と恢を見たのに切れ長の目を細めて微かに笑う。
「ひゃ…あっ!やぁあ、ぁんっ」
チュプ…
いやらしい音をさせて捩じ込まれた舌はぐるぐると旋回する。
浅いソレに焦れたように内壁がざわざわと蠢き出す。
「やぁ…あっ、ぬるぬるやだぁ!」
震える腰が感じるものを逃がそうとゆらゆらと揺れてしまう。
「恢、も…ゃあああっ」
柔らかいはずの舌が硬く感じて、それが恢のモノを連想させて…
僕の勃ち上がったモノからだらりと先走りが溢れた。
それでも埋まり切らない焦れったさにねだる言葉を吐き出してしまいそうで、強く唇を噛む。
「ふぁ…あ、んっ」
内壁を啜り上げるようにしながら抜け出した恢の舌を引き止めるようにすぼまった穴。
せっかく噛んだ唇はすぐに解けてしまう。
「エロい体だよね」
恢の舌が今度は耳の穴を掻き回す。
頭に直接響く濡れた音。
くちゅくちゅとした音と熱い恢の吐息。
「そーた…」
潜めた声が僕の名前を呼ぶ。
たったそれだけのことに歓喜で体が震えた。
「恢、かい…かい、かぃ…っ」
正面から抱き締めて欲しくて耳朶を舐めている恢の髪に指を差し込んだ。
意図を理解してくれたのか、うつ伏せだった体をころりと転がして仰向けにされる。
「そーたの甘えん坊」
「だって」
「でもそこがかわいー」
とろりと蕩けてしまいそうな甘い笑みを浮かべると、右の目尻を軽く吸い上げた。
「ぎゅって、して」
「喜んで」
背中に回された腕に抱き寄せられて恢の肩に鼻を擦り寄せる。
「かわいー」
「…ばか」
体の奥は燻ったような熱が籠っているけど、こうやって恢に甘える心地好さに流される。
「そーた」
「ん?」
「シなくて平気?」
「ばかっ!」
広い背中をパチンと叩くと、イテテ…なんて言ってる。
「えー…だって、そーたのココぐちゃぐちゃになってたからさぁ」
「恢!!」
真面目なのか冗談なのか、分からない口調。
でも、とっても楽しそうで僕は恥ずかしい。
それから数度、シなくていいか尋ねられ…
その度に頭がぐらぐらとしてしまいそうな羞恥に襲われた。
だって、かーさんが居るからね!!

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あきゅろす。
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