カイとソウ《2》
*
奥の、恢にしか届かない場所を勢い良く抉られてきつく締め付けた。
恢が唸るような声を漏らして、体の中に熱が広がる。
「あっ、あああっ」
引き摺り上げられたような急激な絶頂に視界が霞んだ。
恢の体を抱き締めたら腰を掴まれて体が擦り上がるような激しい注挿が始まった。
「ヒ…あっ!あああ…っ…やぁ…ああ、んっ」
さっき中に出された恢のモノで滑らかになったようで。
叩きつけるような音と一緒にぐちゅぐちゅと泡立つようないやらしい音が響く。
「そー…た、そーた…そーたっ」
耳の中に捩じ込まれた舌が僕の脳まで舐めていくみたい。
だって、恢の声が頭の中からするみたいだから。
「…ぃ…あっ、ゃあ…や……だめ…だめぇ…っ」
逃げ出したいような震えが体を襲って、恢を挟む膝が跳ねる。
もう出ちゃうから、と恢の背中を叩いた。
「イきなよ…っ」
掠れたいつもより低い声に誘われたように、体が一瞬強張って…
「ひぁ、あああっ!やぁ…ああン!止めて、ああ…っ…だめぇぇ」
開放された心地好さと、それを全て塗り潰していくような感覚に頭がぐちゃぐちゃに乱れていく。
「は…っ、ん…だめじゃないで、しょ」
キモチイイくせに。
どろどろな思考を掻き混ぜていく恢の毒のような声。
「好きだよ、そーた」
そう言って、僕の体をきつく掴むと叩き込むように僕の奥を暴いていく。
僕だって、好きだよ。
恢が好き。
好き。
そう言いたいのに、開いた口からははしたないほどの矯声しか出なくて。
だから、恢を抱き締める腕に力を込めた。







──────

シャツを着る恢の後ろ姿をぼんやり眺める。
腕を伸ばすと、その動きに合わせて背中の筋肉もゆっくり動く。
あ、見えなくなっちゃった。
シャツに覆われた広い背中に指を伸ばす。
「…そーた?」
シャツの裾を握って少し捲り上げると恢の肌が現れて…
引き寄せられるみたいに、そこへ唇を寄せた。
軽く吸ったくらいじゃ何の痕も残らない張り詰めた肌。
僕のだよ、なんて子どもっぽい独占欲に支配されてしまってどうしようもない。
そっと撫でるように髪の毛を梳かれて顔を上げた。
「痕、付けて」
僕を見る恢の瞳。
甘くて、とろりと蕩けてしまいそうに熱い。
「ぁ…」
「そーたの印、でしょ?」
欲しいなぁ、なんて甘える声に引き寄せられるように恢の肌に吸い付いた。
「…ん、ぅん…っ」
ちゅう、と強めに何度か吸い付いて唇を離す。
少し濡れた肌はくっきりとした赤。
「嬉しい」
腰に抱きついた僕の頬を撫でる恢の指が優しくて、ゆるゆると頬が緩んでいく。
「僕の…」
「うん」
恢で満たされる心。
こうやって触れていると実感する。
僕は恢が好きなんだ、と。
「そーた」
ベッドに転がった恢の胸に頭を乗っけると規則正しい心臓の音が聞こえてくる。
「来週の土日」
「ん」
安心してしまう音を聞きながら、目を閉じるとくしゃくしゃと髪の毛を掻き混ぜられる。
「撮影になった」
「…ん」
離れてしまう時間。
仕方ないこと。
当たり前のこと。
隙間無くぴったりと張り付いていることなんて、出来ないんだから。
「それでね、そーた」
真面目な恢の声に目を開けた。
「その撮影の後で、マネージャーと会ってくれる?」
「え」
思わず顔を上げて恢を見た。
揺らがない強い瞳が僕を見る。
「マネージャーに紹介したい」
「恢…でも」
事務所と契約をした恢は僕のことも話したんだと言う。
それも引っ括めて、それでもと望まれての契約。
恢のマネージャーさんは恢に恋人がいることは聞かされているそうだけど、性別まではノータッチだそうで。
…というか、普通は恋人と言えば異性だもんね。
でも、この間のように僕の傍から離れての仕事の時に声を聞けないのは辛いから。
信頼出来る人だから、紹介したい。
そんな風に言って笑う。
だったら僕の答えは決まっている。
「…恢が、いいなら」
怖くないと言ったら嘘になる。
否定されて離れるように言われてしまうかもしれないから。
だけど。
モデルとして進んでいく恢の傍に居るなら、きっと通らないといけないこと。
恢を離したくない。
だから…
「がんばる」



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