カイとソウ《2》
*

噛みつかれた唇はひりひりする。
そのひりひりする場所を熱い舌が撫でる。
優しい触れ方に息が震えてしまう。
「…は…ぁ、んぅ…」
痛くされてもいい。
酷くされてもいい。
恢が与えてくれるものだったら、いい。
唇を舐めていた舌を含まされて、ほっと息を吐く。
ピチャピチャと跳ねる水音。
混ざる唾液が欲しくて吸い付いた。
コクン…
喉を鳴らして飲み込むと、恢の目が眇られる。
大きな掌は僕の体を確かめるみたいに滑る。
脇腹から腹、腹から胸、胸から肩…
ゆっくり、ゆっくり。
焦れったいくらいの動きで首筋と鎖骨をさ迷って胸に降りる。
「ン、あ…っ」
捏ねるように胸を揉まれて体が跳ねた。
だって、恢の掌に乳首が擦り付けられるから。
硬くしこったように勃ち上がった乳首がくねくねと動くのが恥ずかしい。
「…ゃ……やめて…っ」
揉みながら寄せ集めるようにして胸に吸い付かれて顔が熱くなる。
だって、そんなの…
ちらりと僕を見ると、笑う。
艶然と。
赤い舌が掴んだ胸を這って乳首の回りをぐるぐるする。
「あっ、ゃ…ぁあ…ぁン…っ」
どうしよう。
あの舌が舐めたら、どうしよう。
期待…しているみたいに心臓がどきどきする。
「そーた」
小さな声なのに、僕の耳は恢の声をしっかりと捉える。
呼ばれて唇を噛み締めて恢を見た。
頬を緩めるように笑うと見慣れた表情になる。
「舐めて欲しいの?」
それなのに告げる言葉はいやらしい。
「…ばかっ」
「そーたのばかは、ちょうだいだもんね」
いたずら中の子どもみたいに笑うと赤い舌が覗く。
あの、舌に舐められちゃう…
恢の長い指の間から覗く僕の乳首。
それがなんだかとってもいやらしくて、体の奥がうずうずしてくる。
「…んっ……ぁ、はぁ…っ」
舌の先端と乳首がほんのちょっとだけ触れて離れる。
焦れったいその感触に恢の手を掴んだ。
「そーた、なぁに?」
胸を掴む手は緩めることなく、揉み続けている。
「も…、ゃ…」
ちゃんとして欲しくて首を振ると恢が笑った。
「言わないとわかんないよ?」
そんな風に言って、また赤い舌がチロリと乳首を舐める。
大袈裟なほど震えた体が恥ずかしい。
「そーぉた?」
恢の手を掴んだ指に力が入ったのに…
ゆらりと視界が揺れる。
唇を転がる息が熱くて、もどかしくて。
「舐めて……ち…くび、ちゃんと…舐めて」
震えて掠れる声でねだった。
恢の手が止まる。
少しだけ目を瞠って、それから笑む。
綺麗に弧を描く唇を滑る赤い舌。
「かーわい…」
そう呟いて、噛みついた。
「ひぁ…ンっ……あぁ!や、やだっ……とれちゃ…とれちゃうよぉ…っ」
ジュルジュルと激しい音をさせて恢の咥内に吸い込まれた左の乳首。
そのまま根元を噛まれて尖った舌にぐりぐりと押し潰される。
願った以上の刺激に頭の中がぐちゃぐちゃに掻き乱された。
「あっ、あっ、ゃ…やぁぁあっ……ァう、んー…」
左の乳首を恢の咥内で嬲られて、右の乳首は長い指が強く摘まみ上げて爪で引っ掻くように擽る。
痛いはずなのに、それなのにそこから拡がるのは確かに甘い痺れで…
腰が揺れる度に恢の腹に擦り付けてしまう。
ヌルヌルと濡れて滑るのは僕のはしたない先走りが溢れているから。
「エロい体」
低い声に言われて飛び散るように先走りが出てしまう。
ぎゅっ、と左の乳首を摘ままれて痛みに目を閉じる。
その指が離れると一気に血が駆け巡って乳首が破裂してしまいそうなくらい熱くなった。
「や、ぁあっ…!」
恢の掌が肌を滑る。
脇腹を撫でて腰に回った。
さっき胸を掴んだみたいに尻を掴むとぐにぐにと揉みだした。
たぶん、恢じゃない人がしたらただの嫌がらせみたいな行為。
恢がしてる。
ただそれだけのことが、僕をおかしくしてしまうんだ。
「柔らかい…」
「ば、か……ぁ…ああっ……やぁ、あん…っ」
恢の指が長いからだと思う。
尻を揉んでいるのに穴まで触れてしまうのは。
激しく揉む力と、そっと触れる指先の感触。
時々、引っ掛けるように爪で襞を捲り上げる。
その度に腰がひくんと震える。
「ほら、開いてきた」
散々に嬲っていた乳首を離した唇が目の前に来た。
濡れて、少し赤みの増した唇。
「あ…」
「キス、したいの?」
どうして、わかっちゃうんだろ…
両手で恢の頬を包む。
そっと引き寄せると笑んだ瞳が近付く。
そっと触れる。
何回も。
柔らかで濡れてしっとりとした唇に軽く吸い付く。
それから舌を這わす。
「……は、ふぅ…ン…ぁ」
「ホント、かわいー」
呟くと恢の舌が僕の舌を舐めた。
「…ゃ、んン……ぁ、あ、ゃ…」
跳ねるような水音。
恥ずかしいのに止めたくなくて恢の舌に僕の舌を絡ませた。

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