カイとソウ《2》
*


保健室の前には空き時間らしい先生が立っていた。
それでも仕事があるからなのか、鍵を恢に預けると一言二言話して職員室へ戻ってしまう。
途中で寄った更衣室から制服とタオルを回収して、更に僕を背負う恢はずいぶんと早足だった。
タオルで水気を拭き取るとベッドに体を倒す。
ほっと息を吐いて、目を閉じた。
「先に冷やそっか」
氷嚢を額に乗せてくれる。
「飲めそう?」
冷えているだろうポカリがなんだかとっても美味しそう。
頷くと頬を撫でてくれる。
パキ…
ペットボトルの蓋を開けると僕の首の下に腕を差し込む。
「…ふ…ン……ん」
ペットボトルを受け取ろうとした手をやんわり戻すと重なった唇。
温かな唇から冷えた液体が流れ込んでくる。
「ぁ、ん……んん…っ…」
冷たいのと、ほんのりとした甘さが美味しくてもっと欲しくて恢の唇を舐めた。
「…エロい顔」
低くそう告げて、また重なる唇。
液体が流れていくと体の中が冷やされていくようで気持ち良い。
「は、ン……ぁ…」
「ほら、そーた」
促されて口を開ける。
顎を伝う冷たい感触があったけど、唇を離したくなくて恢の背中に手を回した。
「ふ……ぁ…かい…かい…ぁ、ん」
それでも離れてしまった唇が寂しくて追い掛ける。
「なぁに?」
「…あ、ゃ…」
大きな掌が背中を滑る。
ひくり、と跳ねた体は太陽に晒されて上がった熱とは別の熱を生む。
奥へ奥へと溜まる熱は冷めたと思っても、こうやって恢が触れれば簡単に再燃する。
「そーた…」
熱い吐息が唇を撫でて、そこからとろとろに蕩けてしまいそう。
「………ここでシたら飯島先生に殴られるだろーなぁ」
「ひ、ゃ…あっ」
そんなこと言うくせに背中を滑った掌が水着の上から尻を強く揉んだ。
きゅうっ、と熱が集まるような感覚がして一気に腰が重たくなる。
「んっ、ん…」
擦り付けられる恢のモノ。
熱くて、硬い。
水着越しの感触がもどかしくて、でもそのもどかしさが気持ち良くて。
「腰、振っちゃって…やらしー」
「ぁ…ぁあ、んっ…やぁ…止まらな…っ」
揶揄する言葉すら煽るものにしかならなくて、恢の体に擦り寄った。
「は…ぁ、たまんね」
尻を揉んでいた指が水着を摺り下げるように侵入する。
直に撫で上げる指が尻の間を行ったり来たりする。
「かい、かい…っ」
欲しい…
欲しくなっちゃうよ。
ソコに、恢の。
「そーた…」
唇の上を湿った空気が旋回する。
触れたままの唇が僕を呼ぶ。
「シたい?」
掠れた声に奥が痺れた。
「…シ、たぃ…ぁ…ぅん…んっ」
襞を捲る指先。
ひくひくと誘うように動くのは恥ずかしいけど、今更なこと。
もっと、と腰を揺らしたのに恢の指は宥めるように撫でて離れてしまった。
「かい…ど、して」
摺り下げた水着を元に戻すと僕の体をタオルで包む。
「恢…?」
恢自身は水着の上からジャージを履くとシャツを羽織って荷物を肩にかける。
それから僕を抱き上げて保健室から出てしまった。
まだ授業中の廊下は静かで、恢の足早に進む上履きの音が響くだけ。
「恢、どこ行くの」
揺れる視界はふわふわとしている。
「場所、変えよ」
「え?」
「だめ。我慢できない」
ぴたりと合った瞳。
蕩けてしまいそうなほど熱くて、甘くて…でも食べられてしまいそうな色が揺れていた。




特別棟の4階にある空き教室。
随分、久しぶりに来たけど相変わらずな様子。
「そーた」
会議室用の長机に転がされた。
「気持ち悪いとか、無い?」
「うん」
校舎内は思ったよりも涼しかったから。
「恢…」
「なぁに?」
「僕、止まれないかも」
「え?」
「……今シたら、迷惑かけるかもしれないよ」
ピタリと動きを止めると、なんというか嬉しそうに笑った。
「お任せください」
「…ばか」
軽い調子でそう言って、キスをする。


クチュクチュと湿った音と忙しない呼吸音が響く。
どちらも僕のもので…
「は、ぁ…あ…あぁ…ぁん…っ」
プールに入ってもともと湿っていた水着だけど、その時よりもじっとりとしている。
「そーた、座れる?」
顔を覗き込まれて頷く。
「寝癖ついちゃうから、さ」
僕の後頭部をふわふわ撫でて手を引いてくれる。
どうやってカットしてもどうにも変わらない髪の毛なのに、寝癖だけは付いてしまうとなかなか直らない。
やっかいな猫っ毛。
でもそれを触っていると恢が優しく笑うから、好きになった。
膝を立てて座った僕を支えるように抱き締める。
「そーた、ね…もうキツイでしょ」
水着に手を突っ込むと会陰と根元をゆっくり撫でる。
「ほら、脱ぎなよ」
「ぁ、ん…っ」
引っ張り下ろされた水着からぴょこんと飛び出したモノ。
どろどろに溶けてしまったのかと思った。
「すっげ…」
思わずという感じで漏れた言葉に身体中が熱くなる。
「ヌレヌレだ」
恥ずかしさに俯いたけど、その先には恥ずかしい姿になっている僕のモノ。
小さな穴からひっきりなしに溢れるいやらしい汁。
それを恢の長い指が撫でる。
「ぁ…っ、ひ…ぅ」
爪が時々抉るようにして、その度にドロリと溢れる。
「ねぇ、そーた」
耳朶に恢の舌が絡む。
水の跳ねる音が頭の中心に響くような気がする。
「俺の体見て、興奮した?」
恢の指から垂れていく先走り。
素直な体の反応に恢は笑ったのか、微かに空気が動く。
「俺はね、そーたの裸見て」
「あ…ゃ、あっ…ん」
ぞくり、と背中を走る感じに下肢が震える。
だって…
興奮したよ、なんて熱い吐息と一緒に流し込まれたから。


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あきゅろす。
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