カイとソウ《2》
*


抱え込まれた足が視界の端でゆらゆら揺れる。
すごい格好だよなぁ、なんて冷静に思えたのはほんの少しの時間。

「ひ、ン…ああぁあっ……ぁつ…あつい…っ」
「は…ぁ、すげ…」
逸らすことが出来ない熱さに腰を捩る。
そうしたら、恢を包んでいた襞がザワザワと動き出した。
「あっ、ゃ…うそ…っ」
本能だけで啜り上げるようないやらしい動きで自分自身でも制御が出来ない。
恢の形をはっきりと感じる。
発する熱に焼かれてしまいそう。
抉る硬さに襞が震える。
恢を記憶し直すように。
「あっ、ああぁぁあ!も…ああっ、だめぇ…っ!だめ…出ちゃ、ぁあああっ」
「…ぁ…はぁっ」
体の奥で、ドクリと熱が広がった。


大きな掌が頭を撫でる。
「か、い…」
「ごめん…無理させた」
動けなくて、転がる僕の後始末を全部済ませた恢は眉間にシワを寄せて謝った。
「へーき」
撫でてくれる感触が気持ち良い。
気持ち良くて、頬が緩む。
「…そーた」
「ん?」
「おばかちゃん」
「え……ぅ、ん…ん」
重ねられた唇にあやされるようにされて目を閉じる。
恢は謝るけど、僕は嬉しいんだよ。
だってそれだけ、僕を思ってくれてるのが分かるから。
絡まる舌を軽く吸われて、腰が震える。
それに恢が小さく笑う。
「そーたのえっち」
まだ体の奥は燻っている。
それを宥めるようにキスをされて目を閉じた。





──────

昼休み、弁当を食べ終わると恢と石崎は飲み物を買いに行った。
屋上の日向はだいぶ暑くなってきていて、日陰にヤスと並んで座る。
「ね、ヤス」
「ん?」
かくり、と首を傾げて僕を見る黒目がちの瞳。
「石崎はさ、ヤスと一緒に居るのに自信無さそうなとき…ある?」
「潤也?んー…あんまり無いかな、というか自信満々の時があるのかなぁ」
うーん、と考える横顔になんだか和む。
「…なに笑ってんの」
「や、仲良いなぁと思って」
呆れたような顔をして、でもほんのり目元を赤くする。
「ヤスってかわいーね」
「箏くんに言われたくありませーん」
ぷい、とそっぽを向いてしまった。
「…………で、どしたの」
「ん、恢がさ…いなくならないで…なんて言ったから」
「そか…」
「ん」
「箏くんの傍にいられないことがあるのは、恢もしんどいんだろうね」
「…ん」
「だってさ」
こちらを見たヤスは何故かニヤリと笑う。
「箏くんはエロかわいーもんね〜!」
「ヤスっ!!」
楽しそうに笑うヤスに少しだけ気持ちが晴れた。





──────

頬を包む両手が温かい。
心地好い恢の体温にほっと息を吐いて目を閉じる。
「ヤスと楽しそうだったね」
恢と石崎が屋上に戻ってきたとき、僕とヤスは床に転がって笑っていたから。
「うん」
「…だめ」
拗ねるような声に目を開けると、むっとした表情の恢。
「ぇ…と、ヤスだよ?」
僕と仲が良いといっても恢だってヤスと仲良いじゃないか。
「うん……でも、だめ」
「………」
頬を包む両手を外させる。
「そー…」
少し焦ったのか、恢の声が上擦る。
「かわいー」
背伸びして、恢の頭ごと胸に抱え込んだ。
「ぇ、そーた!?」
こんなに格好良いのに、かわいーなんつ反則だよ。
胸元にある、いつもは見ることがない旋毛に何度もキスをした。

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あきゅろす。
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