カイとソウ《2》
*
下着の上から強く吸い上げると、布を挟んでいるのにジュルジュルといやらしい音がした。
「やぁ…っ、やだぁ!…ぁ、ああっ」
そんなことに感じてしまうのは、どうなんだと思う。
でも布越しに感じる恢の咥内の熱さとか、動く舌の柔らかさとか、堪らなくて。
噛み付かれて、先端を強く抉られた瞬間に恢に押し付けるように白濁を溢れさせた。
「……ホント、エロいなぁ」
乱れる呼吸に酸欠になったのか頭がふらふらする。
それなのに全身の血液が皮膚を突き破りそうなほど駆け回って、熱い。
「は…ぁ、あ……ン…」
こくり、唾液を飲み込むと膝から力が抜けて恢に凭れ掛かった。
「そーた」
「ん…」
恢の首に擦り寄る。
ふわりと香る柑橘系の匂い。
「ベッド、行く?」
「……ん」
緩慢な動きで頷くと膝裏に腕を差し込むとそのまま立ち上がった。
いつもより数段高い視界に思わず首にしがみつく。
楽しそうに笑うと背中を撫でてくれる。

ベッドには優しく降ろしてくれたけど、服は自分で脱がないといけないらしい。
胡座をかいた恢は膝に肘を着いて僕を見る。
「脱いで」
一言で僕を縛った。
膝立ちになって下着に指を引っ掛け、ゆっくり下ろす。
とろり、と垂れていく白濁がシーツに染みを作る。
「ん…っ」
太股を伝う感触が恥ずかしい。
右膝を立て、左膝を立て、順番に足を抜いていく。
腰を下ろしたその格好は、きっと恢には丸見え。
どきどきと走り回る鼓動に目をつむり、下着をベッドの下に落とす。
息を吐き、恢を見る。
「…っ」
蕩けてしまいそうに、でもぎらぎらと光る熱い瞳が僕を見ている。
顎を掌に乗せて動かない。
目を逸らしてシャツのボタンに指をかける。
逸る気持ちと羞恥とでうまく動かない指をなんとか動かしてボタンを外していく。
「恢…」
「なぁに?」
「そんな、見ないでよ」
視線の強さに耐えられなくて…
そう呟やいた。
ベッドの軋む音。
シーツが擦れ合う音。
頬を包まれて顔を上げた。
「見られてると感じちゃうくせに」
近付いた唇が綺麗な弧を描く。
その綺麗な唇とキス、したい…
そんな風に思って恢を見た。
「もー…」
困ったように眉を下げて、でも笑った顔が近付いてくる。
短いリップ音をさせて唇が軽く吸われる。
「恢…」
「な〜ぁに?」
「もっと、キス…したい」
シャツのボタンから指を離して恢のシャツを握る。
「…………」
黙ってしまった恢を見つめて、でも反応が無いのが不安になって。
「そーた」
いつもよりちょっと低い声。
名前を呼ばれて下ろしかけた視線を戻す。
「覚悟してよ」
シャツを握っていた指を開かせ、絡まる。
勢い良く引っ張られて恢の胸に飛び込んだ。
抱き込まれたまま食べられてしまいそうに激しいキスをされた。



抉るように動く指が体内を引っ掻き回す。
その度に溢れるように広がる快感に声が止まらない。
どうしたの、なんて聞かれても答えられなくて。
だって、恢が僕に触っている。
「そーた…シたかった?」
「ん、ぁ…あっ、あぁぁ………ひぁ…っ」
恢に会いたかった。
恢の声が聞きたかった。
恢に触れたかった。
恢に抱き締めてほしかった。
一人でいるのはやっぱり寂しくて、恢と僕との距離を感じてしまって。
「そーた?」
動かしていた指を止めると顔を覗き込んで、驚いたように目を瞠った。
快感から来る涙ではなくて、溢れてしまった感情の涙。
「なんで泣くの」
わからない、と首を振った。
そっと指を抜くときつく抱き締めてくれた。
「恢、恢……恢っ…」
縋るように恢の広い背中に手を回す。
「好きだから…っ」
「そー…」
「だから…!」

──置いていかないで

そんなこと言えなくて、恢の首に顔を埋めた。
「……おばかちゃん」
耳朶を食まれて少しだけ痛みが走った。
でも聞こえた声は甘くて優しい。
「……っ…ああぁぁぁあっ」
勢い良く奥まで埋められて、我慢できない僕は一気に吐き出してしまった。
熱くて硬いそれが何度も襞を捲り上げるように往き来する。
前立腺も何もかもを激しく突かれて、恢にしがみつくしか出来なくて…
ただ、ただ、啼かされた。

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あきゅろす。
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