カイとソウ《2》
*

軽い動作で僕の腰を抱くとソファーに座った。
「そーたはここ」
隣に座ろうとしたら止められて膝を跨がされる。
「あのさ…」
「ん〜?」
にこにこと笑いながら唇を啄まれて口を閉じた。
それには構わずちゅっちゅっとリップ音を響かせてキスを繰り返す。
この向い合わせで膝に座るのはいつまで経っても慣れない。
かといって、わざわざ膝から降りたいわけでもないし。
まあ、恥ずかしいだけなんだけどさ。
「まぁ…いっか」
「なぁに〜?」
恢の肩に顎を乗せて凭れると、背中を撫でてくれる。
背中を伝わる掌の感触。
気持ち良い。
首筋に擦り寄ると恢の体温と匂いが近くなる。
いつもは触れる髪の毛が無いのが不思議で、ぼんやりと眺めた。
「髪の毛」
「ん?」
「また伸ばす?」
「まだ分かんないなぁ…」
自分だけでは決められない都合があるのかもしれない。
「そっか」
指に絡めた時にさらさら零れる髪の毛の感触が好きだったから、ちょっと寂しい。
「長い方が好き?」
「…わかんない。まだ見慣れなくて」
くすり、と笑うと僕の後頭部を撫でた。
その指が項を擽って肩を竦める。
「…ゃ、擽ったい」
「かわいー声」
ちゅっ…
髪の毛からリップ音がした。
恢の首に腕を回してしがみついて顔を擦り付ける。
あ、そうか。
指を滑らせて恢の首を撫でた。
「丸見え」
「なぁに?」
「首…見えちゃう」
「うん?」
「やだなぁ…」
僕だけが見られるモノってわけじゃないのに。
でも。
恢の首筋って、なんだか…やらしーんだもん。
「もー…」
「ん、なに?」
ぎゅうぎゅうと抱き締められて身動きが取れなくなる。
「なんでそんなにかわいーかなぁ」
「………なに、言ってんの」
「煽ってんの?それとも、試してんの?」
「え、と?」
首から顔を離して恢の顔を見た。
「そーた」
綺麗に弧を描く唇が近付いて
「……ん、ぅ…っ」
ぱくりと噛みつかれた。
「あんまりかわいーこと言ってると、襲っちゃうぞ」
すぐに離れた唇は、でも掠めるほど近くにあって言葉を零すと触れる。
「いいよ」
渦を巻くような思いは恢にしか向かないから。
ソファーへ膝立ちをして背凭れに恢を押し倒した。
「そーた?」
見下ろすような体勢が少しだけ新鮮かも…
「はやく、襲って」
切れ長の目が大きく丸くなる、そんなかわいらしい表情に頬が緩んだ。
頬を両手で包んでキスをする。
何度も何度も、触れては離れて…また、触れて。
柔らかな唇を端から端まで味わって、ぺろりと舐めた。
「恢…」
呼ぶ声は自分で思っていたよりも甘ったれて、それから掠れていて…

濡れていた。




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