カイとソウ《2》
*
仰向けになった僕の胸と腹を行ったり来たりする恢の視線は外れることがない。
「ん、ゃ…ぁ…あっ」
見つめ合ったまま滑る舌。
じれったくて、でもそんな風に触れられるのが恥ずかしくて恢の肩を掴んだ。
「なぁに?」
「も、いい、から…」
「なにがいいの?」
顔を上げた恢の唇に目が行く。
湿った唇がいやらしく光っている。
ぺろり、と赤い舌がその唇を舐めた。
無意識なのかな、と思う。
でも…それにしたって、いやらしい仕草。
その仕草に目を奪われる自分もいやらしいと思うけど。
だけど、あの唇がするキス…
喉が鳴る。
さっき散々したくせに、またキスしたくなるなんて。
「そーた」
ふ、と和らぐ目元。
「遠慮しなくていいのに」
長い指が僕の下唇を撫でる。
「そーた、キス…してよ」
「…恢」
いつも、僕の欲しいことを促してくれる。
上手く表せない僕の気持ちを掬い取ってくれる。
肩にある手を首に回す。
少し力を入れると恢の体が近付いた。
「恢、恢…」
僕を見つめる切れ長な目。
「なぁに?」
「恢が好き」
「うん、知ってるよ」
「だから…」
「うん」
掠める吐息が熱くて、恢の瞳が綺麗で。
「一緒に」
言葉は恢の唇に食べられてしまった。

最初は怖かった。
恢に近付きすぎて、突然無くしてしまったら…と。
でも、それでも僕は恢の傍にいたくて。
離したくなくて。
恢の全部が欲しくて。
僕を閉じ込めて、なんて本当だけど嘘。
本当は僕が恢を閉じ込めてしまいたい。
たくさんの人の目を惹き付けてしまう恢を、僕だけの世界に閉じ込めてしまいたい。
恢はきっと知らない、そんな風に考える僕の狡さ。
僕を閉じ込めたら、優しい恢は僕を放っておけないから。
「ん…ぅん、ん……ぁふ」
恢の舌を啜り上げるように吸い上げると飲みきれないくらいの唾液が溢れる。
コクコクと飲み込んで、それでも間に合わなくて口の端から流れるのを感じた。
もっと欲しくてチュウチュウと音をさせると恢の舌が暴れだした。
「…っふ…ぁ…んぁ!ん、んっ」
咥内の肉を抉り取られてしまいそうな強さで舐められて、思わず目を閉じた。
もう目を開けるように促されなかったけど、目を閉じたら恢の浅くなった息遣いや体温を全身で感じ取ってしまう。
「そーた…」
一度離れた唇が撫でるように滑る。
「好きだ」
掠れた囁きに体の奥がぐずりと崩れた。



恢の言葉の通り、膝裏に手を差し込み足を開いた。
そんな恥ずかしい格好…
だけど恢に望まれるとその通りにしたくなってしまう。
恢が喜ぶと僕も嬉しいから。
「ぁ、ぁあっ…ん…」
ローションを溢れるほど垂らされて、それを纏った恢の指がいやらしい音をさせながら出入りする。
もっと奥に恢が欲しくて腰を捩ると指が止まる。
「ね、そーた」
「ぁ…な、に…っ」
「まだ足りないみたいだよ」
3本埋め込まれた指をぐるりと回しながら前立腺を撫で上げた。
悲鳴みたいな声をあげた僕に笑いかけてそれを繰り返す。
「ぃやぁ…っ、やぁだぁ!あっ、あっ、ゆび…やぁぁあっ」
「どうしたい?」
耳朶を擽る恢の熱い息。
それに首を竦めたら耳の中をぐじゅぐじゅと舌で舐め回された。
「そーた…」
「あぁ、んっ…」
直接の刺激とは違う、でも体の奥に澱のように溜まる熱は僕の羞恥を蝕む。
「そーた、言って」
吹き込まれる恢の言葉にドロリと先走りが溢れ出た。
「ねぇ…そーた」
チュッ
頬にキスをした恢の顔が僕の正面に来る。
「恢の…奥に、欲しい」
「俺のなーに?」
「ぁ…や、いじわる…っ」
恢の表情が楽しそうなのがちょっと悔しい。
「ちゃんと教えて」
「ひぁあっ!や、ぁ…んっ」
指が前立腺を押し上げるように潰す。
手を伸ばして恢のモノに触れると、恢の呼吸が一瞬だけ止まる。
「そーた」
先端から人差し指を滑らせて掌で包み込んだ。
「これ、ちょーだい…」
裏筋を擽るように指を滑らせるとビクビクさせながら膨らんで反り返る。
「は…っ…やべぇ」
「ぁぁああっ」
一気に指を引き抜かれて体が仰け反った。

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