カイとソウ《2》
*
後頭部の髪の毛も丸ごと大きな掌に包まれて、何度も何度も角度を変えて唇が交わる。
ポタポタと垂れる唾液は飲み込みきれなかった僕と恢のもの。
混ざり合って一つの液体になってどちらかのものかもわからない。
あぁ、いいなぁ。
ぼんやりとしてきた頭の隅でそんなことを思う。
一つでも少しでも恢と混じり合えることが幸せ。
だから、キスは気持ち良いのかなぁ?
「そーた…」
「ん?」
「エロい顔してる」
よく恢が言うけど、自分ではわからない。
わからないけど、そう言った時の恢の瞳が熱を孕んでいて僕を欲しがっていて嬉しくなるんだ。
恢の肩に置いていた手を首に回す。
密着した場所から伝わる恢の体温。
安心、する。
「煽るな」
見つめ合う瞳が更に熱を帯びる。
「恢…」
近付く唇に待ちきれなくて、自分から押し付けた。
「好き」
触れた唇は柔らかくて、温かい。
もっと混じり合いたくて恢の唇を舐めた。
「ふぅ…ぅ…ん、ん」
ちゅく、と音をさせると恢の舌を含まされた。
「ァ…もっと……ふぁ…ぁん」
首に回した手に触れる髪の毛を指に絡める。
巻き付くような恢の舌に引っ張り出されて口の外に舌先が晒された。
「ぁふ…っ」
噛み付かれて今度は恢の咥内に引っ張り込まれた。
強い吸い上げに思わず目を閉じると右の目尻を撫でられた。
薄く目を開けた先にあるのは情欲にまみれた恢の瞳。
僕の心を満たす瞳。





チュ、チュウ…
「ん、だめ…っ」
強く吸い上げられる度に跳ねる腰。
それとはしたなく涎を垂らす僕のモノ。
耳朶の後ろ。
たぶん髪の毛で見えないと思うけど…
鎖骨の窪み。
肩の付け根。
二の腕。
脇の下。
臍の周り。
下生えの中。
足の付け根。
あとはもうわからない。
たくさん、たくさん吸い上げられて出来た赤い鬱血痕。
いつもは殆んど付けることないのに…
「そんなに付けないで…」
「なんで?」
「だって…体育で着替えるとき困る」
恢の瞳がすぅっと細くなる。
「あ…な、に?」
両方の手首を握られて布団に押さえ付けられた。
正面にあった顔が首筋に埋まる。
柔らかくて湿った舌が滑る。
喉仏を通りすぎてぴたりと止まった。
「誰にも見せられない体にしてあげる」
低い、囁きが肌を擽った。
「…ぁ、ぁあっ」
きつく、きつく吸い上げられる首の皮膚。
「外に出られない体にするよ」
「んっ」
またすぐに吸い上げられる感覚。
手は…動かない。
「恢…どうして」
「………閉じ込める、て言ったでしょ?」
「…ぁ……」
僕が、望んだこと。
「ね?」
どうしよう。
どうしよう。
僕が望んだこと。
どうしよう。
「本気?」
「当たり前」
僅かに目を瞠って、艶然とした笑みを浮かべる。
その顔が、余りにも綺麗で自信に溢れていたから…
「うれしい」
自然に笑えた。


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あきゅろす。
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