恋 を する
4
起きたら部屋が真っ暗だった。
頭がガンガンするのは泣きすぎたから。
瞼も重くて、吐いた息も重い。
「……隆哉?」
泣く俺を抱き締めてくれた。
大丈夫だと、言ってくれた。
ベッドから降りて部屋の電気を点ける。
座卓に目をやる。
ポット…
「…ケーキ、は」
あれ?
一緒に置かなかったっけ?
目の端にメールの受信知らせる青いライトが点滅するケータイが映った。
「………ぁ、え」
メールは隆哉から。

──ケーキ、美味かった。また食いたい。

「ば、か…、ばか…っ」
じわじわと滲む涙。
そんな、嬉しいこと。
ボロボロになったケーキを持って帰ってくれたんだ。
食べてくれたんだ。
「うれし…」
零れた声は震えていた。


──────


学校に行って、授業を受けて。
放課後は隆哉からのコーヒーの注文がなくて、家でじっとする。
「ふぅ」
ベッドに転がる。
大泣きしてから3日。
ぷつりと途絶えた隆哉からの連絡。
ふくかいちょーもまきちゃんも教室に来ない。
つまらなくて、それから…
「さみしーよぉ」
俺だけ蚊帳の外、みたい。
寂しいのに、襟元に触れてもスカスカ。
触れるのは自分の肌。
「さみしぃ」
コロコロと流れる涙。
あの日からどうにも涙脆くて、だめだなぁ。

かあさんのネックレス。
隆哉のネックレス。

宥めてくれた優しい掌。
温かくて、安心できた大な掌。
「隆哉…」
思い出して、溜め息を吐く。
ぴりぴりと痛む胸とその奥は痺れたように甘くて。
「会いたいよ」




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