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短編『PSO2キャラの日常』
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アークスシップ・ロビー、ゲートエリア。


キャンプシップへと向かう出入り口に出てすぐ、一人の女性アークスが待っていた。
それは緑色の髪を後ろで広がるように伸ばし、年上であるのだがどこか頼りないようなやんわりとした雰囲気を醸し出す女性だった。
彼女は、ルシア。
クユラやセシルと同じ所属のアークスである。

ルシア「おかえりなさい」

クユラ「…ただいま」

セシル「ルシア姉どうしたの?」

ルシア「このあとちょっと用事があるから、マイルームでアイテム分解を代わって欲しいなぁって」

何故かクユラ達の所属では、アイテム分解を強要される。
目標が書かれたボードに毎度のように「PAディスクを砕こう、あ、法撃系は必ずね。あと13武器を砕いて素材集めよう、頼んだ」と書かれている。

誰が書いたものなのかは分からないが、クユラ達は何故かこれに逆らえなかった。

セシル「じゃあ、僕が代わるね」

ルシア「ありがとう♪」

そう口にしてルシアはその場から歩いて去ってしまった。
ゆったりとした足取りでどこに行くのか気にはなったが、深くは考えないことにした。

セシルも仕事を代わりに引き受けて戻ろうとした道中、コーデカタログの通知を見て嬉しそうにしている。

クユラの所属のコーデカタログは、彼の、セシルの可愛らしいコーデが登録されており、一定の人達から人気を得ているようだ。
それをセシルが、女子のようにキャッキャと喜びながらマイルームに帰るのを見送った。

クユラ「このあとは…」

クユラがキハクとヨルカに向き直ると同時にクユラは声をかけられる。
そこには和服に身を包み、濃い目の桃色のミディアムヘアーの少女が立っていた。

彼女はシオリ。

キハクやヨルカと同じ所属のアークスである。

シオリ「クユラさん、クエスト回りを手伝って欲しいと仰ってましたよね?」

クユラ「……?」

シオリ「そのメールを見て、しっかり準備をしてきましたよ!さあ、行きましょう!」

ビシッと指を指し、ドヤッとした表情で見つめてくるが、クユラは戸惑ってしまう。

何故なら、クユラはキハク、ヨルカ、シオリの3人と行く予定だったのだが、シオリが準備をしっかりするためになかなか現れずにいた為、急遽セシルを呼びつけてクエスト回りを終えてしまっていたからだ。

クユラ「……えっと」

クユラはシオリに説明しようと口を開きかけたその時、キハクとヨルカが二人の間に入り、説明する。

言い方はともかく…。

キハク「クユラちゃんなら私がちゃあんと守りきりましたから、終わりましたよー」

ヨルカ「シオリが全然来ないからもう済ませてしまいましたよー」

シオリ「……え?」

シオリがクユラの方を向くと、クユラは苦笑しつつ、一つ、うんと頷く。

キハク「クエスト回りをいつ誘って貰ってもいいように準備を済ませるのが一流だよ」

ヨルカ「第一、シオリは準備にいつも時間がかかりすぎですよぉ?」

シオリ「はぅ……あぅぅ…」

シオリが涙目になりながらクユラを見る。
この三姉妹、一人のミスに容赦がない。
仲がいいから出来る芸当なのだろうが、今回はやはり少しシオリが可哀想か。

クユラは少し考えてからシオリの頭にポンッと手を置いて口にする。

クユラ「…このあとの緊急クエスト、ついてきてくれる?」

シオリ「ふぇ…?」

クユラ「…シオリの力、頼りにしてる」

シオリは先程出会ったルシアと同じで、後継クラス『ヒーロー』である。
ヒーローは、最初に発足された後継クラスで、大多数との戦闘を想定して設計されたものではあるが、単体の敵にも強い力を発揮するクラスだ。

クユラはいつも思っていたのだが、この三姉妹の力は自分なんかよりも遥かに強力なものだった。
頼ってしまうのは悪い気もしていたが、今回はその自分の甘えに従おうと思ったようだ。

シオリ「は、はい!分かりました!クユラさんは私が守ります!」

シオリは元気を取り戻し、張り切っている事を示すかのように両手でガッツポーズを行う。
クユラはそれを見て安心し、キハクとヨルカに向き直る。

すると二人が何かをおずおずと待っていた。

クユラはよく分からず、口にする。

クユラ「二人も……来てくれる?」

ヨルカ「し、仕方ないですねぇ…」

キハク「むぅ……シオリばっかり…ずるいです」

クユラ「???」

ヨルカはため息をつきながら承諾する。だがどこか寂しそうだ。
キハクは子供っぽく膨れっ面だったが、シオリを一度キッと見てからいつもの自信満々のドヤ顔へと戻る。

クユラ「さて、準備を…」

クユラは現在いるゲートエリアから、ショップエリアへ向かおうとするが、その視線の先に一人の青年を見つけ、固まっている。



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