愛及屋烏 2 ホグワーツの自室に無事到着し、荷物を杖を振って簡単に片付け、右手の指輪に影を付け見えなくすると、ユーリア達と大広間へ向かった。 「ミズナミさん。こっちに来て」 上級生の見覚えないスリザリンの生徒に手を引かれ、されるがままに席に着席した。 「オレ、リクっていうんだ。リク・オパール」 「オパール先輩ですね。宜しくお願いします」 上級生の為、ニッコリ愛想笑いを浮かべると、嬉しそうにリク話し出した。 「ずっとミズナミさんと話してみたかったんだ!」 「そうでしたか。光栄です」 「僕の母が日本人で、ここにはあんまり黒髪の人もいないからさ…」 「ふふっ、お母様の黒髪が恋しいんですか?」 「ちょっ///そんな風に言わないでよ!オレ、マザコンじゃないし!」 シズクが茶化せば、顔を真っ赤にしてぶんぶんと両手を振った。 スリザリンらしからぬ反応にどうしたものかと思案していると、隣からデビットの声がした。 「シズク、そっちのローストビーフ取ってくれる?」 「ちょっと待ってね。はい、これくらいでいい?」 年頃の男の子だし沢山食べるだろうと山盛りに盛れば、笑い声がした。 「シズクっ!盛りすぎだよ…ッくす」 「デビットは細いんだから食べなきゃダメよ。ほら、あーん!」 フォークで突いて口の中に放り込めば、もぐもぐと咀嚼していた。 「君は?ミズナミさんの友達?」 そんな光景を射殺さんばかりの視線で見ていたリクのことを、デビットしか気付いていなかった。 「はい!デビット・ウォールスです。リク先輩って呼んでいいですか?」 ニコニコと愛想を振りまくデビットに、リクも微笑んで答えた。 「あぁ、もちろんだよ。デビット」 「男の子は仲良くなるのが早くて羨ましいわ」 何も気付いていないシズクは、呑気に笑っていた。 一部始終を、教員席から見ていた視線にも気付かずに…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |