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愛及屋烏
15






テストが始まり、スリザリンの談話室もピリピリとした雰囲気の中、シズクは優雅に読書をしていた。




「シズクー?勉学しないの?」


談話室で読書をしているシズクに、デビットが話しかけてきた。



「ん?私はもう勉強は終わったわよ?前日は脳を休めたいもの」


そう言いながらも、読んでいるものは神代文字で書かれたミズナミ家の軌跡を纏めたとある哲学者の本であった。



「それって何語なの?」

「これは神代文字と呼ばれる字で、古代に日本という国が使っていた言葉よ」


「シズクは博学だねぇー」


のんびりとしたデビットとの会話を楽しみながら、シズクは読書を続けるのであった。






テストが終わったその足で、セブルスに会いに地下室に来ていた。



「お疲れ様です」


物凄い速さで採点をしているセブルスに、紅茶を出し、シズクも紅茶とクリスマスに貰ったお菓子を食べていた。


「やっぱりフィナンシェ美味しい…」


もぐもぐとリスのようにホッペに詰め込みながら食べているとノック音がした。



「シズク…」

セブルスの言葉で慌ててフィナンシェを飲み込み、そっと影の力で自分を透明化させた。
フィナンシェと紅茶もついでに杖を振って片付けた。



「スネイプ先生。スリザリンのディア・マキリメルです」


初めて聞く名前に首を傾げていると、セブルスは扉を開けた。


「何だね?Ms.マキリメル。我輩は採点で忙しいのだが、用事なら手短に願おう」


他の寮生であれば、有無も言わさず追い返していたが、自寮の生徒の為用件だけは聞いていた。



「スネイプ先生。私、今回のテストで魔法薬学を落としてしまうと次の授業に行けなくなってしまいます…」


扉の隙間から見えたディア・マキリメルという生徒は茶色の髪をブロンドに染め、青いカラーコンタクトを入れた少女であった。

話からすると、5年に進級しても、このままの成績では魔法薬学の授業の点数が足りず落第するというもだった。それならば、何故テスト前にセブルスに教えを請わなかったのか、謎である。




「今回の成績では次回お会いすることは無さそうですがね」


眉間に皺を寄せ、バッサリと言い放った。



「そこを、何とかして頂けませんか?」


ディアの甘い声響き、セブルスの手に触れようとした。



「我輩は、そのような幼稚な色仕掛けなどは受け付けん。精々他の教科で挽回するんですな」


「なっ///幼稚…分かりました。失礼します」



バタンッと扉が閉まり、ディアは去っていった。



透明化した自身の纏っていた影を戻し、首を傾げてた。

「色仕掛けでテストの点数が上がるんですか?」


素朴なシズクの疑問に、セブルスはデコピンをお見舞いした。




「フンッ、下らないことを考える暇があれば、戯言薬の材料くらい覚えて欲しいですな」


「5年生は戯言薬のテストだったんですか?それは私も受けてみたいです」


「生ける屍の水薬を作れるシズクには、大した試験にはならないと思いますがな」


サラッと認めるような発言をしたセブルスを驚きの目で見上げると、フンッと顔を逸らされた。


「セブルス、紅茶冷めましたね。淹れ直します」


新しい紅茶を淹れ、忙しそうに採点するセブルスの為に厨房で軽食を作り、甲斐甲斐しく身の回りのお世話をするシズクだった。














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あきゅろす。
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