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愛及屋烏
7







翌朝、目が覚めると瞼は腫れており、見るも無惨な表情であったが、心は晴れやかであった。




「…セブルス、ありがとう」




横で眠るセブルスの額に口付け、お風呂場へ向かった。

魔法で瞼を冷やし、元のぱっちりとさはた目元に戻し、充血した瞳には自作の目薬を点した。



「ふぅ…今日はハロウィンか…」


シャワーを軽く浴び、制服に着替えると既にセブルスは大広間に向かった後のようだった。


「一声かけてくれてもいいのに…もう」


拡張魔法をかけたポシェットを下げ、シズクは談話室へ降りていった。



「シズク!トリックオアトリート!!!」


ユーリアが満面の笑みで両手を差し出していた。



「おはよう。ユーリア。はい、どうぞ」

ピンクのリボンで可愛らしくラッピングしてあるマフィンを取り出すと嬉しそうに受け取ってくれた。



「シズク!俺も!トリックオアトリート!!!」


「おはよう。シズク。トリックオアトリート」


マシューとデビットもニコニコと微笑みながら、両手を差し出して待っていた。


「はい、お二人ともどうぞ」


マフィンを渡すと、マシューはその場で食べ始めた。


「うまっ!何だこれ!シズクパティシエになれるぜ!」


目を輝かせながらパクつくマシューは、昔飼っていた犬にソックリで思わず笑ってしまった。



「もう、マシューったら意地汚いんだから!」



ユーリア達もお互いにトリックオアトリートと言い、お菓子を交換していた。

シズクも、3人からそれぞれお菓子をもらい大広間に向かうと、むせ返るような甘さが広がっていた。


「流石、本場のハロウィン…」




大広間には、コウモリが吊るされ、カボチャのランタンが置かれていた。



「シズク、早く座りましょ?」



ハロウィンの飾り付けに圧倒されていると、ユーリアに促され、スリザリンのテーブルに座った。


何人からか、トリックオアトリートと言われ、余分に作っておいたクッキーを渡すと、みんな喜んで食べてくれていた。




「甘いものばっかりで、胸焼けしそう…」

「ほんとね。パンプキンばっかりで飽きてきたわ」



パクパクとパンプキンプリンを食べながらユーリアが言うので、つい笑えてきてしまった。



「何よ?このパンプキンプリンは美味しいわよ?」




口にパンプキンプリンを放り込まれ、咀嚼すると、仄かな甘さが広がり美味しかった。



「ふふっ!そうね、確かに美味しい」



楽しそうに笑いあいながら、その日の夜。




「トリックオアトリート!」




満面の笑みで両手を差し出すシズクに、セブルスは綺麗にラッピングされた箱を渡した。



「え…く、くださるんですか!?」



セブルスがまさか、ハロウィンに参加しているとは思わなかったシズクは、目を見開いて驚いていた。



「シズクのことだ。何かしてくると思ったのでね」


いつもの嫌味な口調も健在である。



「ありがとうございますっ…あ、これは私からです」



「…我輩はトリックオアトリートとは言っていないが?」


「いいじゃないですか!それに、今言いましたよ!」


ブルーのリボンでラッピングしてあるお菓子の箱を渡し、セブルスに貰った箱を開けると、宝石のようなチョコレートが並んでいた。



「わぁ…綺麗ですね…」



キラキラしているチョコレートに見惚れながら、今年のハロウィンは幕を閉じた。






シズクの、お菓子は美味しいとスリザリンでは評判になり、また作って欲しいと色んな人に催促されるのであった。



















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あきゅろす。
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