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愛及屋烏
12





「セブルスさん、お願いがあるのですが…」



クリスマス休暇の最終日、薬草図鑑を持ったシズクは、キラキラとした目でセブルスに詰め寄っていた。



「…なんだね?」

眉間に皺を寄せ、セブルスはシズクへ視線を移した。


「欲しい薬草がありまして…少し冒険に行くつもりなのですが、同行して頂けませんか?もちろん、夕食までには帰ります」


1人で行ってもいいのだが、是非、セブルスにもあの光景を見せてあげたい。




「…危険はないのだな?」



「おそらく」



言葉を濁しながらも、承諾を得たとばかりに、支度をしてきますと伝え、自室へ戻った。




「影よ我が望みに答えよ。15まで成長せよ」




父にクリスマスプレゼントに渡された禁書に、影の力を利用した成長魔法が載っていたため、実践してみた。





「なかなか…目は黒く…服装も黒めで…」



べ、別にセブルスとのペアルックをイメージしてなんかいないけど…少しくらい楽しんでもいいよね?




「…支度とは…っ!?」




時間が思ったよりもかかってしまったらしく、痺れを切らしたセブルスがノックもなく入ってきた。



「セブルスさん…エッチですね」



シズクの成長した下着姿に驚き、慌てて扉を閉めた。



「な、な、なぜ!?」



あのセブルス・スネイプが狼狽えているなんて、少しおかしくなってクスクスと笑いながら黒のワンピースに袖を通した。




「セブルスさん。お待たせしました」



ニッコリとした微笑み。スラリと伸びた手足、膨らんだ胸元まで視線をずらし、先ほどの下着姿を思い出したのか、セブルスは視線をあからさまに逸らした。


「…何故成長した」



「ふふっ、ミズナミ家の魔法ですよ…セブルスさん」



さぁ行きましょうと手を繋げば、またもや動揺しているセブルスに笑いが堪えきれなかった。



「ふっふふ…あははっ!セブルスさん…かわいいですね」



ご機嫌なシズクと、ご機嫌斜めなセブルスは、影に包まれ、姿を消した。





「ここは…」


急に家から移動してきたため、キョロキョロと辺りを見回す。


「ここは、ミズナミ家の所有している山です」



勿論、この山にもたくさんの影の力が使われており、シズクにはまだ分からない術式が盛り込まれている為、多少の危険があるため、父からは影を通じて居場所が分かるように魔法をかけられていた。



「セブルスさん、これは、ブボチューバーですね」


別名、腫れ草とも言いおできを治す薬に使われる材料であった。


「これは、1年の授業で習うものだが…おできを治す薬に使われ、石油臭のする黄緑色の膿。原液は直接触ると皮膚に害が出る為、不用意に触らないようにしたまえ」



薬草一つずつに、説明や補足を加えてくれるセブルスのベルベットボイスにうっとりと聴き入りながら、幾つかの薬草を摘んで帰宅した。









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