M.I.W 2011
オレンジ
ちぎられた部分をただ探していた。
黒焦げた片目がただ痛くて、泣いた。
生ぬるい風に吐息を奪われていく。
オレンジの空は長々と続いて見えたんだ。
水面に浮かんだ魚。
羽根をもがれて溺れた。
伸ばされた無数の手を払いのけて、
原形をとどめない家路を歩いていた。
罪なき消失の歴史。
肉を並べて嗚咽。
真っすぐ現実を見ていた、言葉を失ったあの日。
陰りを帯びた嘘を笑う、さよなら邪悪なる過去。
声がいつか奪われて、伝う意味すら失って。
明日も明後日もオレンジ色の夕暮れをこの目に焼き付けて。
振り返ればあの日のまま、手を振っている。
今日はあの頃みたいに石を蹴って帰ろう。
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