日向七乃2010年作品集 Sand castle そっと手招く 空が嫌いで 窓の外 眺めてるだけ テレビの向こうで片足の少女が杖をついて歩いてる そんな光景を映して気を引く汚い世界に産まれました 砂の庭をどこまで掘っても終わりはなくて 反対側からのぞく絶望が笑う そっと手招く 波の音色に 砂の城 さらわれてしまう 崩れた城は私みたいでどこか微笑ましいな 心の底から愛しいと少女は微笑みながらつぶやいて 孤独に刻んだ日々すら壊れたガラスのように粉々になる そっと明日の扉をあけたら信じれるのかな この世にはもういない片足の自分 そっと手招く 空が嫌いで ためいきを 空に浮かべた もう歩けない いばらの道を 頬濡らす 涙一粒 波の向こうにホントの自分の笑顔があればいいな そっと手招く 空に近づく 青にまた 身体沈めて そっと手招く 波の音色に 砂の城 さらわれてしまう 笑顔を忘れた片足の少女いつか笑えるように 祈りの果てに残す足跡、波がさらっていった [*前へ][次へ#] |