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ひとつなぎの願い
海賊歓迎の町
「寒ムーッ」
「ックシュン!!」
『あ!雪だよ!雪が降ってきた!!』
「「うひょー!」」

双子岬からウイスキーピークへ向かう中極寒の寒さにコートを羽織ったティティは外を舞う雪に気が付きウソップルフィと共に甲板に飛び出した。

「スゲー甲板の上真っ白になっちまった!」
「アンタらついでに雪掻きでもしてなさい・・・」
「そうだ!!こんだけ降ってんだ!雪像作ろうぜ!雪像!!」
『私雪像とか作った事ない!やってみたい!!』
「よっしゃ、んじゃ誰が一番上手く作れるか勝負だ!」
「『おぉ!!!』」

ナミの言葉など聞かずかろうじて防寒したティティと違い軽装のルフィとウソップに眉を寄せた。

「出来た!!カマクラに集う雪うさぎ達!!」
「おっしゃ俺もできた!!空から降って来た男雪だるさんだァ!!!」

カマクラとその中に無数の雪兎を作ったティティと不格好な雪だるまを作ったルフィは両の手を合わせて喜び合う。

「はっはっはっ・・・まったく低次元な雪遊びだなテメーらのは」
「『なにィ』」
「見よ!!俺様の魂の芸術!!!スノウクイーン・・・」

職人が作ったと思わせるような美しい雪像にティティとルフィは目を輝かせる。

『凄い!ウソップ!!』
「うおおスゲェ!!!よし雪だるパンチ!!!」

ルフィの言葉と共に雪だるまの腕として刺さっていた棒がウソップの雪像の頭を粉砕した。

「うぉ!!?何しとるんじゃお前は!!!っとっと・・・」

雪像を壊され怒ったウソップがルフィの雪だるまを蹴り飛ばしバランスを崩すとティティのカマクラに突っ込んでしまった。

「ああぁぁ!!!雪だるさん!!!?」
『あぁ!!私の雪うさぎファミリーが!!!』
「やったなぁ・・・!!」
『ウソップ覚悟!!!』

其処から最早雪合戦、雪を使い思い思いに攻撃する三人終いにはパチンコと能力を使いだしたウソップとルフィ。

『――・・・このぉ・・・ブリザァド!!!』
「「ぶほぉ!!?」」

二人に総攻撃されたティティは杖を振り吹雪いた雪を二人に集中砲撃する。

「ティティ、テメー!!」
「魔法は卑怯だぞ!!!」
『能力と武器を使った二人に言われたくない!!』
「この寒いのに、なんでアイツらあんなに元気なの・・・」

船内の窓から雪遊びをするティティ達の姿にナミは震えながら呟いた。

「ナミさん!!恋の雪かきいか程に!!?」
「止むまで続けてサンジ君」
「イェッサー」

自分に忠実なサンジを寒い中外で働かせつつ文句を呟く二人の来客を怒鳴りつける。

「「『ん?』」」

雪に交じり雷鳴が響くと構えていた三人が動きを止めた。

「今度は雷か?」
『危ないね・・・船内に入った方が良いかも・・・』
「へーきだろこれ位!」
『そう?』
「しかしどーなんてんだこの海、さっきまでは暑いくらいだっだぜ?」
『グランドラインの海は季節も天候もデタラメに巡ってるものらしいからソコまで珍しい現象じゃ無いんじゃないかな?』
「これから毎度こんな天気なのか!?」
『さぁ、私は島からほとんど出た事ないから航海については分からない・・・』

気にせず呑気に雪玉を作り始める三人だったが・・・

「あーっ!!!!」
「「「『?』」」」

船に響いたナミの焦りの声にサンジの雪掻きの手まで止まる。

「180度船を旋回!!急いで!!」
「180度?何で引き返すんだ?」
「忘れ物か?」
「船が反転して進路から逆走してるの!!!ほんのちょっとログポースから目を離したスキに!波は静かだったのに・・・」
「あなた本当に航海士?」
「っ!」
「ここはでは、風も空も波も雲も何一つ信用してはならない・・・変わらないものは唯一ログポースの指す方向のみ!!おわかりかしら?」
「偉そうにウダってないでさっさと手伝え」

毛布に包まり暖を取っている二人を蹴り飛ばし表に出て指示を出すナミに全員動く。

「ブレイスヤード右舷から風受けて!!!左へ180度船を回す!!ウソップ三角帆を!」
「おうっ!」
「サンジ君は舵取って!」
「任せろナミさん!!」
「そこ、任せた!!!」
「人使いのあらい女だ・・・」

容赦なく二人組を扱き使うナミ。

「んんっ!?ちょっと待て!風が変わったぞ!?」
「ウソっ!!?」

帆を操る紐を手に風の変化に気づいたウソップにナミは焦る。

「春一番だ!!!」
『気持ちいー・・・』
「何で・・・ってティティ、動きなさい!!!」

二人組と肩を並べコートを脱ぎ去るティティを折檻して動かす。

「テメーは雪が積もるまで寝てんじゃねー!!!」

この状況でも起きる事のないゾロに怒鳴るが其れでも起きず放置するウソップ。

「おい!!今向こうでイルカがはねたぞ、行ってみよう!」
「あんたは黙って!!!!」

空気の読めないルフィをナミは一喝。

「波が高くなってきたっ!!十時の方角に氷山発見!!」
『氷山の向こうに渦があるよ!!』
「ナミさん霧だ!!!」
「何なのよこの海はァ!!!」

ウソップ、ティティ、サンジから次々と報告される現象にナミは頭を抱える。

「ぶっぶつかるぅぅぅ!!!」

ウソップの叫びにサンジが懸命に舵を切るが高い波に舵を取られ上手くいかない、見兼ねたナミも手伝うが、氷山を横切ると同時に大きな船底から大きな音が響く。

「船底で水もれしてっぞ!!!」
「すぐにふさがなきゃ!」
「よっしゃっ!ティティ、帆は任せた!!」
『うん!』

ルフィとナミの言葉にウソップは板を持ち素早く船底へ向かう。

「雲の動きが早いっ!風だわ!!!」
「っでかい!」
「来る・・・」
「帆をたたんで!!あの風は大きすぎる!!!まともに受けたら転覆するわ!」
『了解!!!』

ナミの指示で素早く帆をたたみに掛かるティティ。

「みんな食え!!!力をつけろ!!!」
「おォ!!!」
「てめェ食いすぎだ!!!」

兵糧とばかりにこさえられたおにぎりを皆頬張り持ち場に素早く戻るが一人その場で口いっぱいに含むルフィの頭を叩くサンジ。

「やべェ帆が裂ける!!!」
「アンタはいいから船底治して!!」
「船底もう一ヵ所やられてるわよ!!」
「ちくしょぉ!!!」


―――
――



先程の天候が嘘のような晴天、暖か陽気に包まれた静かな海域に船はが出ると全員力尽きたように倒れる。

「んー・・・くはっあー寝た・・・ん?」

皆と入れ違いにようやく起きたゾロはぐったりとしている仲間の姿に・・・

「おいおい、いくら気候が良いからって全員ダラけすぎだぜ?ちゃんと進路はとれてんだろうな?」
「「「『(お前ェ・・・)』」」」

ゾロの言葉に全員の額に青筋が浮かび上がる。

「・・・?何でお前らがこの船に?」
「おそーっ!!!」

皆より遥かに元気なルフィが縁からゾロに答えた。

「今そいつらの町へ向かってるんだ、ウイスキーピークつートコだ」
「まさか送ってんのか?何の義理があるわけでもなし」
「うんねェよ」

おどけるルフィに息を吐き二人の前に膝を折り覗き込むゾロに二人は身を起こし後ずさる。

「ま、別にいいけどよ・・・おーおー悪ィこと考えてる顔だ・・・名前、何つったかなお前ら」
「ミ、Mr.9と申します・・・」
「ミス・ウェンズデーよ・・・」
「そう、どうもその名を初めて聞いた時からひっかかってんだ俺は・・・どっかで聞いたことがある様な、ない様な・・・まァいずれにしろ・・・――っ!!?」

ゾロが全て言い終わる前にナミの鉄拳によって阻まれる。

「アンタ今までよくものんびりと寝てたわね・・・起こしても起こしてもグーグーと・・・!!」
「あァ!?」

反抗的なゾロの態度にナミは再び拳を見舞う其れも複数発。

「〜〜〜っ!」
「気を抜かないでみんな!!まだまだ何が起こるかわからない!!!今やっとこの海の怖さが認識できた、グランドラインと呼ばれる理由が理解できた!!この私の航海術が一切通用しないんだから間違いないわ!!!」
「んな、きっぱりと・・・大丈夫かよ?」
『不安しかない・・・』
「大丈夫よ!!それでもきっと何とかなる!!その証拠に、ホラ!!一本目の航海が終わった」

不安気にナミを見つめるウソップとティティにナミは進行方向を指さす、その先に見えたのは・・・

「島だァ!!!」
「ココがウイスキーピーク・・・!しかしみょうちくりんな島だな・・・」
「でっけーサボテンがあるぞ!!!」
「ん?」

島が見えると二人組は船の手すりに飛び乗る。

「それでは我らはこの辺で・・・!」
「送ってくれてありがとうハニー達」
「縁があったならいずれまた!!」
「「バイバイベイビー」」

二人は全く同じ動きで飛び込みクロールで島へと勢いよく泳いで行ってしまった。

「え!?行っちゃった・・・」
「一体なんだったんだあいつらは・・・」
「ほっとけ!!上陸だーっ!!!」

唖然と二人を見送ったナミとウソップにルフィが先へと促す。

「正面に川があるわ船で内陸へ行けそうよ」
「ば、バケモノとか、居るんじゃねェだろうな・・・?」
「可能性はいくらでもある・・・ここはグランドラインだ」
『人間の居ない島なんてザラに在るし、未知の生態系だって存在してるだろうね』

怯えているウソップにサンジとティティは追い打ちをかけウソップは震えあがる。

「バケモンに会ったら、島から出ていきゃいいだろ?」
「ちょっとまった!私達はこの島に滞在しなきゃならない時間があるってことを忘れない様に!!」
「何で」

グランドラインのシステムを理解していなかったルフィはナミの言葉に首を傾げる

「このログポースにこの島の磁力を記録しなきゃ次の島へ進みようがないのよ!!それぞれの島でログのなまる早さは違うから、数時間でいい島もあれば数日かかる島もある・・・」
「っ、じゃあ何か!?ソコがすぐに逃げ出してェバケモノ島でもそのログが溜まるまで何日も居続けなきゃなんねェ事もあんのか!!?」
「そういうこと」
「ヒィ!!!」
「まァそしたらそん時考えたらいいさ!早く行こう!!」

新たな地に顔の弛み切ったルフィにの言葉に一同頷く。

「ルフィの言う通りだ、考えるだけ無駄だろ」
『だね!島に上陸しなきゃログが溜まらないんだし・・・』
「何があってもナミさん達のことは俺が守るぜ!!」
「お、オイ待てみんな聞いてくれ・・・急に持病が・・・“島に入ってはいけない病”が・・・」
「じゃ入るけど・・・いい?逃げ回る用意と戦う準備をわすれないで」
「あ、あの・・・だから、俺の持病が・・・みんな聞いてないね・・・」

上陸を拒否するウソップの言葉を無視し、船はゆっくりと内陸へ進む。

「さぁて・・・何がでるか・・・」
「た、たのむよぉ・・・」
『・・・っ(血の、臭い・・・それも、凄く濃い・・・)』

霧に包まれた中僅かに鼻孔を刺激した臭いにティティは左の二の腕に手を翳し意識を集中すると何も無かった其処に紋章が浮かび上がる。

「あ?何か動いてんぞ!」
「人か?人が居るぜ!」
「みんな、注意して・・・」
「くそ・・・こうなりゃ腹括った!バケモノでも何でも、出て来いってんだァ!!!」

霧の中動く影に気付いたルフィにサンジも目を細めナミの注意にゾロとティティは武器に手を掛け恐怖を振り払うように意気込むウソップ。

「ようこそ!!!歓迎の町ウイスキーピークへ!!!」
「海賊だぁ!!!」
「ようこそ我が町へ!!」
「グランドラインへようこそ!!」

視界が開けるとウイスキーピークの住人達から異様な程の歓迎をうけ、一行は唖然とする。

「おお?」
「何だ化け物どころか歓迎されてるぞおれ達」
「どうなってんだ・・・!?」

笑顔のルフィを始め困惑する一味に次々声援が飛ぶ。

「海賊さーん!いらっしゃい!!」
「海の勇者達に万歳!!!」
「うおぉぉ!かわいい娘もいっぱいいるぜ!!」
「やっぱ海賊ってのはみんなのヒーローなんだね!」

女性に目のくらむサンジや歓迎に応える様に投げキッスをするウソップを尻目に・・・

『どうするの?ナミ』
「そうね・・・とりあえず攻撃はされなさそうだけど・・・」
「とにかく船を着けよう、話はそれからだ」

ティティ、ナミ、ゾロは冷静に港へ入れる様に船を動かす。

「いら゙・・・ゴホン、マーマーマーマーマ〜〜♪いらっしゃい私の名はイガラッポイ、この町の町長をしております」
「俺はルフィ!おっさん髪巻き過ぎだな!」
「驚かれたことでしょうがここは酒造と音楽の盛んな町ウイスキーピーク、もてなしは我らが町の誇りなのです!自慢の酒なら海のようにたくさんございます!あなたがたのここまでの冒険の話を肴に宴の席をもうけさせては頂けま゙ぜ・・・ゴホン、マーマーマ〜♪頂けませんか?」
「「「喜んで〜っ!!!」」」

横巻きロールの長身男に歓迎されと肩をくみはしゃぐサンジ、ウソップ、ルフィ。

「三バカ・・・」
『(こんなに血の匂いが濃いのに、平和・・・なのかな?)』
「ねェところでこの島のログはどれくらいでたまるの?」
「ログ?そんな堅苦しい話はさておき旅のつかれを癒して下さい!!さァみんな宴の準備を!!冒険者達にもてなしの歌を!!」
「宴だァ!!!」

ナミの問いに答える事無く宴へと誘う男にティティとゾロは眉を寄せる。

「はぁ・・・何であいつらはすぐに他人を信じるんだ・・・」
「ホント!馬鹿なんだから!」
『でも、ホントにこの町おかしい・・・』
「ん?ティティ、お前腕にタトゥなんてあったか?」
「あら?気付かなかったわ」
『血に酔わない為のおまじないだよ、島に入った瞬間血の匂いがしたから』
「「!」」

ティティの言葉にゾロとナミの警戒はますます強くなるも他三人を放置するわけにもいかず酒の席に付く。

「さぁ!遠慮なさらずお召し上がりください」
「いえ、お酒は結構です」
『私もお酒飲めないので』

差し出されたジョッキに眉を下げ遠慮するナミとティティに男は笑顔で告げる。

「ごしんば・・・ゴホン、マーマーマーマーマ〜〜♪ご心配なく!それは極上ワインの原料となる極上のブドウから作ったスペシャルドリンク!風味はワインその物ですがアルコールは入っていません!」
「ふーん・・・ホントだ!美味しいわ!ティティ、アンタもこれなら飲めるんじゃない?」
『・・・!おいしい』
「ね!」

ナミが口を付け勧め、ティティも口を付ける笑みを溢す。

「今年もよいブドウが採れた!さぁ、収穫を祝って恒例の乾杯競争だ!!」
『乾杯競争って何?』
「つまり、乾杯を続けて最後まで残った者が勝者となるコンテストです!皆さんもどうぞ!」
「私はいいわ、そんなにたくさん飲めないから」

断わろうとしたナミを動かす魔法の言葉を男は放った。

「優勝賞金は・・・10万ベリー!!!」
「おかわりーぃ!!!ゾロ、アンタも参加するのよ!お金無いんでしょ!?」
「あ”ぁ?」
「ティティもよ!」
『え!?私も?』
「コレなら飲めるでしょ?」
『いや、アルコール入って無くてもお酒だよ!?そんなに飲めないって!』
「やりなさい」

有無を言わせぬナミに押し切られたがティティは二杯目途中でソファーに倒れ込む。

「「「弱っ!!!」」」
「ティティ、ホントに飲めないのね」
「本人が言ってるのにオメーが無理やり飲ませたんだろ」
「まぁいいわ、優勝して必ず10万ベリーをゲットするわよ!」

こうしてティティが眠る間にウイスキーピークの夜は更けて行く。

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