ひとつなぎの願い
凪の海域
「おい大変だ!!!ナミ光がとぎれた、やべェな!!導きの灯なのにな」
嵐の中、船首にぶら下がりながら灯台の灯を見失ったルフィが焦りナミを呼ぶ。
「灯台の灯だもんそりゃ途切れもするわよ・・・そのために航海士がいるんでしょ?大丈夫よ方角くらい覚えてるから」
ナミは船室で着替えを終え雨具を着込み海図を取り出し眺めていた。
「ほお、やるなお前」
「それよりあんた降りなさいよそこ!!」
「いーやこの場所は譲らねェ」
「誰が譲れっつったのよ!!」
『海に落ちないでよルフィ!』
「平気だ!」
部屋に荷物を放り込み濡れたままのティティにナミは呆れ混じり睨み付ける。
「アンタ着替えなさいよ」
『この嵐だし、着替えても同じでしょ?・・・ちゃんと洗って返すよ』
「もぉ・・・・・・・・・しかしまいったな・・・このまま進むと噂通り」
『?とりあえず一服しよう、サンジがおやつ作ってくれるって』
「え?えぇ・・・」
『ルフィ!いったん中に入っておやつ食べよう!』
「おう!!」
ティティに促されナミとルフィは船内で皆が集まるラウンジへと向かう。
「サンジ!おやつ!!」
「ナミさーん!ティティちゃーん!本日のデザートはナミさんの愛情ったぷりのミカンを使った爽やかオレンジムースでっす!」
『わァ、綺麗!』
「お前殺されるぞ・・・」
「ちゃんとナミさんから頂いたんだよ!!」
一番に駆け込んできたルフィをかわし、サンジはティティとナミの前にデザートを差し出した。
「『おいしい!』」
「幸せ――!!」
二人の笑顔を貰い満足するサンジ、他は出されたおやつを貪り食う、一息つくとナミは片づけられた卓上へと地図を乗せる。
「皆、コレを見て!」
「「「「『ん?』」」」」
「噂には聞いていたし、海図にもそう描いてある・・・もしそうだとしたら、グランドラインの入口は山よ!」
地図の中央“赤い大陸”を指すナミに全員首を傾げる。
「「山?」」
「何だ 山へぶつかれってのか?」
「なんだいそりゃ・・・」
『そんな事したら沈んじゃうでしょ』
「えぇ・・・私もまさかとは思ったんだけど、山に向かって運河が描いてあるわ、それを登れって事なのかも」
『船で山登りって事?』
ルフィとウソップが声を揃えゾロ、サンジ、ティティが続き、ナミが地図の内容を説明する。
「うほぉ!おもしれー!!」
「何言ってんだ運河が在ろうと船で山を登れるわけねーだろうが」
「だってそう描いてあるんだもん」
「そうだぞ、ナミさんの言うことに間違いがあるかァ!!」
「そりゃバギーから奪った海図だろ?当てになるかよ」
『バギー?』
喜びの声を上げるルフィだがゾロは疑念を抱き問い掛けるが全面的に攻められ元の地図の持ち主を引き合いに出すと聞き慣れない名前にティティがゾロに訊ねる。
「ローグタウンで会ったろ?」
『えー・・・会った記憶はないけど・・・』
「ルフィを処刑しようとしてたデカッ鼻だよ」
『あぁ・・・そんなのも居た気が・・・』
「だいたい何でわざわば入口へ向かう必要があるんだ・・・南へ下ればどっからでも入れるんじゃねェのか?」
記憶を掘り起こしているティティに構わずゾロは自分の考えを口にすると意外な人物に否定された。
「それは違うぞお前っ!!」
「そうちゃんとわけがあんのよ・・・」
まさかのルフィ・・・ナミも驚きつつルフィの言葉を肯定した。
「入口から入った方が気持ちいいだろうが!!」
「違うっ!!」
指差しゾロを罵倒するルフィをナミは青筋を浮かべ殴る。
『あはは・・・ん?』
「どうした?」
『なんだか静かになったような・・・』
「ん?突然嵐がやんだぞ?」
「本当だ静かだ・・・」
ティティの言葉に外を覗いたウソップとサンジにナミが困惑する。
「え・・・そんなまさか…嵐に乗って入口まで行けるハズなのに…」
慌てて外に出るナミにルフィ達も続く。
「おーっいい天気だーっ!!」
「どういうこったこりゃー」
「はっはっはっはっはっは!!」
ルフィ、サンジ、ウソップの呑気な顔とは裏腹にナミは冷や汗を流す。
「しまった・・・カームベルトにはいっちゃった!」
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