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ひとつなぎの願い
出航
「一体何なんだこの嵐は!」
「今にこの島から脱出出来なくなるぞ!ナミさんが速く船に戻れって言ってた通りだ!!」
「走れ!走れ!!走れー!!!」
「どっちだ海は!?」
「雨がひどくて方角がよくわかんねーぞ!?」

――居たぞー!!!

『まだ増えるの!!?』
「しつこい奴等だ・・・おい、止まって戦うか!?」
「そんな時間はねーよ!ぉ・・・誰だあのレディー!!」
「ロロノア・ゾロ!!!」
「ん?」

サンジが逸早く視認した女性がゾロを名指しした。

「あなたがロロノアで!!海賊だったとは!!私を騙したんですね!!」
「何!?お前彼女に何をした!!?」

全員その場に足を止め視線はゾロへと向けられるが当の本人は気にせずティティ達より前に出る。

「お前が俺の名を聞かなかっただけだ・・・騙した訳じゃねェ」
「アナタみたいな悪党が名高い刀を持ってるなんて許されません!名刀和道一文字回収します!!」
「・・・・・・やってみな」

ゾロの不敵な笑みを合図に女海兵とゾロの刀が火花を散らす。

「この野郎レディーに手ェ出しやがって・・・」
「邪魔しないでください!これはロロノアと私の勝負よ!他人は御無用願います!!」
「――・・・だ、そうだ、先に行ってろ」

刀を交える二人に言われ怯むサンジと対照的に笑みを浮かべるルフィとティティ。

「行くぞ」
『うん!サンジ、行こ!』
「ん・・・おいゾロ!レディーを傷つけたら許さねェからな!!」

二人に促され、後ろ髪を引かれる思いでその場を走り去るサンジにゾロは鼻で笑った。

「出口が見えた!港はこの先だ!!」
『あれ?出口に、誰?』
「おい、今度は誰だ・・・」

目指す港を目前に立ちはだかるは葉巻を二本口に含んだ体格の良い海兵。

「来たな麦わらのルフィ・・・」
「お前誰だ!!」
「おれの名はスモーカー海軍本部の大佐だ・・・お前を海へは行かせねェ!!!」

スモーカーの目はルフィをしっかりと捉え、同時に両腕を煙に変え、ルフィを捕らえてる。

「ルフィ!!」
「何だ何だ?!」
『っ悪魔の実!?』
「そうだ、俺はモクモクの実を食った!この体は自在に煙になる!!」

捕えられたルフィはもがくも拘束を解けずサンジはティティの荷物を手放し駆け出した。

「この、クソ野郎!!」
『待ってサンジ!!』

ティティの制止は間に合わずサンジの蹴りは空を切るようにスモーカーをすり抜け鋭い眼光がサンジに向く。

「い?!」
「雑魚に興味はねぇ!!」
『きゃっ!』

スモーカーによって吹き飛ばされたサンジはティティを巻き込み壁に叩きつけられた。

「サンジ!ティティ!!ゴムゴムの銃!!!」

仲間を傷つけられた事にルフィの表情に怒りが加わり、スモーカーに拳をぶつけるもルフィの攻撃はスモーカーをすり抜ける。

「ティティちゃん、ケガは!?」
『大丈夫・・・血も出てないし、動ける!』

サンジの手を借りティティは立ち上がり、ルフィとスモーカーに視線を向ける。

「ルフィの攻撃が全く効かねェ」
『あの人、自然系の悪魔の実の能力者なんだ・・・』
「ロギア?」
『ほぼ無敵に近いとされる自然を操る能力者達の総称だよ・・・あの人にただの打撃は効かない!』
「んじゃルフィに勝ち目は・・・――」
「うわぁ!!!」
「お前が3千万ベリーだと?」

頭を掴まれ地に押し付けられたルフィに二人は同時にその名を呼ぶ、スモーカーは背負た十手に手を掛けた。

「ふん、悪運尽きたか・・・」
「さぁ、それはどうかな?」
「テメーは・・・」
「『っ!?』」

スモーカーに攻撃しようとしたティティとサンジも謎のマント男の登場に足を止めた。

「な、なんだ?誰だ?誰だ?」
「政府はお前の首を欲しがってるぜ!」
「世界は我々の答えを待っている・・・!」

男が言葉を紡いだ瞬間、突風が吹き荒れローグタウンに居た者達は吹き飛ばされた。

「「うぉぁぁああ!!!」」
『きゃぁぁああ!!!』

飛ばされたティティは体の上に落ちた瓦礫を落としつつ起き上がり辺りを確認すると、其処は港、目と鼻の先にはゴーイングメリー号。

「ルフィ走れ!!!島に閉じ込められるぞ!!!バカでけェ嵐だ!!!グズグズすんな!!!」

共に飛ばされて来たゾロはルフィの首根っこを掴み走りだし、ティティとサンジも其の後に続く。


走り去るルフィ達の後ろ姿にマントの男は口角を上げ両の手を大きく広げた

「フフ・・・行って来い!!!それがお前のやり方ならな!!!」

「なぜあの男に手を貸す!!!ドラゴン!!!」

「男の船出を邪魔する理由がどこにある・・・」

―――
――



「おっ?来たァ!急げ!急げ!ロープが持たねェ!!」
「ぐず!!早く乗って!!!船出すわよ!!!」

四人が乗り込むとウソップはロープから手を離し、岸から離れる

「うひゃーっ船がひっくり返りそうだ!!!」
「あの光を見て…」
「島の灯台か!?」
「導きの灯…あの光の先にグランドラインの入口がある!」
「あの先にグランドラインが・・・」
「どうする?」
「し、しかしよぉ何もこんな嵐の中を・・・――」

皆、ルフィに笑みを向ける、全員の答えは決まっていた。

「よっしゃ偉大なる海に船を浮かべる進水式でもやろうか!!」

樽を持ってきたサンジに続くは・・・

「おいぃ!」
「おう!いいぞ!!」
「やりましょう!」
『進水式って何やるの?』
「すぐ分かる」

戸惑うウソップ、笑顔で応えるルフィとナミ、ゾロに促されティティも皆と樽を囲う。

「俺はオールドブルーを見つけるために!」
「オレは海賊王!!!」
「俺ァ大剣豪に!」
「私は世界地図を描くため!!」

樽に足を乗せ其々の夢を改めて確認するように誓いを重ねる皆に気持ちを高揚させティティも夢を乗せる。

「私は故郷のみんなに会うために!!」
「お・・・俺は、勇敢なる海の戦士になるためだ!!!」

六人の想いが乗せられる。

「いくぞ!!!グランドライン!!!」
「「「「『おう!!!』」」」」

ルフィの声と共に足は高く振り上げられ仲間の声で足は振り下ろされた。


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あきゅろす。
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