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ひとつなぎの願い
買い物と会合
『手持ちは10万・・・ナミへの返済と買い物、今後の事を考えても元手を増やさないと始まらない・・・最も手っ取り早いのは!』

ティティは十万ベリーを片手に派手に輝く店の前に居た。

『ギャンブルでしょう!!』

賭場の前で目を爛々と輝かせ笑う少女に周囲の人間は遠巻きに眺めている。

――何だあの子・・・
――ママ、あのお姉さん
――しっ見ちゃいけません!

周りを気にする事無くティティは賭場に踏み込もうとしたが・・・

「お嬢さん、こういった場所は正装しないと入れませんよ」
『え”・・・そっか、ナミの服結構ラフだから』
「さァ出直して・・・――っ!?」

いきなり目の前に杖を突きつけられ言葉に詰まる従業員にティティは笑みを見せる。

『ドレスだったらイイんだよね?』
「え・・・?ぁ、あぁ・・・」
『種も仕掛けもございません・・・イリュージョン!!』

広げられた左右の手、右から左へティティの体を滑った杖、左手に握られる時にはティティの体はドレスに包まれていた。

「!!?(手品か!?)」
『この恰好なら問題ないよね?』

いつの間にか杖は消えシックなドレスに身を包んだ少女に従業員はただ無言で頷いた。
ティティは其のまま意気揚々と賭場へと入っていた、昼だというのに賑わう其処で人の少ないスロットで取り合えず稼ぐ事に決め現金をコインに換え挑む。

『(面白いくらい出るなぁ、っというか)遅くさえ見える』

――スゲーあの嬢ちゃん!
――さっきからスリーセブンばっかりだ!!

『(20万くらいにはなったよね・・・)じゃあ次は!』

換金場でコインをチップに換え今度は人の集まるルーレットに加わる

「お、お嬢さん見ない顔だね」
『うん!今日、この島に来たんだ!』
「ココのディーラーは手強いぞぉ」
『私、運は強いから大丈夫!』
「皆様よろしいですか?」

テーブルに着いた者達を伺い、ディーラーはルーレットを回し玉を投げ入れると、皆一斉にチップをテーブルに置く。

「俺は黒だ!」
「さっき連続赤だったからな私も黒で」
「オレも!」
「では黒の16で!」
「お、じゃあここは敢えて赤で!」
『赤の20に・・・全部!』
「「「「えええぇぇぇぇ!!?」」」」

ティティが出したチップは自分の有り金二十万全てである、これには全員声を上げて驚く。

「お嬢ちゃん辞めといた方が・・・」
「そうだ!少しチップを残すなりしないと」
『私は負けた時の事なんて考えないもん・・・大体、負けた時の事を考えてる人は何時まで経っても大勝ち出来ないって誰かが言ってたよ』

無邪気な笑みを返され男達もまた笑みを浮かべる。

「んじゃオレも嬢ちゃんに倣って!」
「まぁ、全部って訳じゃねーけど・・・」

テーブルに乗ったチップはルーレットが回り始めた時よりも遥かに高く積まれた。

『おじさん達、凄いね・・・だけど私こーいう運は強いよ!』
「こちとら賭場歴30年のベテランよ!負けてたまるか!!」
「黒こいこい!」

徐々にスピードを落としていくルーレットに全員の視線が集まり玉が穴に嵌った。

『やった!ドンピシャ!!』
「「「おおぉぉ!」」」
「やるねお嬢さん、あっちで私たちとポーカーしないか?」
『私カードも結構強いよ!』
「望むところ!」

何か通じたのだろう、テーブルに居た面々はティティと共に別のテーブルで更にカードを楽しみティティの懐は大いに潤った。

『あ、そろそろ行かないと・・・』
「えーまだやろうや姉ちゃん」
『ごめん、仲間との待ち合わせがあるから急いで買い物しなくちゃいけないの』

充分に楽しめたティティは笑顔のまま席を立つ。

『楽しかった、ありがとねオジサン達!』

換金場でチップを現金に換え鞄に現金を入れてもらい、賭場を出る。

『おっと(魔法掛けたままだった)』

パチリと指を鳴らせばドレスからナミの服へと変わり周囲の異様な目を気にする事無くティティは日用品を買うためローグタウンへとくり出した。

『(いやーまさか10万が一億にまで化けるとは・・・大人の遊び場ってすごい)でもこれで気にせず買い物ができる!』

時間も無い為ティティは値段を気にせず気に入った物を片っ端から購入した、が・・・

『(買いすぎた)調子に乗りすぎたかな・・・』

自分の背丈ほどに膨れている鞄に眉を寄せ荷物を引きずり、待ち合わせの処刑台広場の中心に位置した噴水の端に腰を下ろす。

『(あーもうちょっと計画的に買えばよかった)』
《ティティ・・・》
『っ!リリィ?』

幼少の頃から聞きなれた声が鼓膜を揺らしティティは周囲を見回すも見慣れた姿は見えない。

《聞こえますか?ティティ》

再び耳に届く声にティティは瞳を閉じその声に無言で応える。

『(聞こえるよ、リリィ!)』

見えない、けれど互いに相手を感じた、背中合わせに喋っているような感覚を共有した。

《良かった・・・貴女が答えてくれて・・・》

震えた声にティティは僅かに眉を寄せる。

《800年・・・皆、答えてくれなかった・・・》
『(そっか・・・私にしてみたらほんの一瞬だけどリリィにとっては800年なんだ)』)』

この時ティティの周りでは不穏な事が起きていたがティティの耳には全く届かず自分の片割れの声を必死に拾っていた。

《誰か、知ってる人に会えないかって・・・人の夢を渡って、会った人と話して寂しさを紛らわせて・・・800年!ずっと待っていました!!》
『(待たせて、ごめんね・・・)』

リリィの堰を切る声はティティの胸を締め付けた。

《責めている訳じゃありません・・・むしろ“あの事件の”引き金は私・・・》
『(違う!!リリィだって被害者だよ!?)』
《けれど私の力が暴走しなければあのような事には・・・》
『髪に魔力を溜めている私達にとってそれを失う事はどうにもできない事、リリィが責任を感じる必要は無い!それなら力の強い私が・・・守れなかった私が悪い!!』

互いが自分自身を責め、どちらも引かないが話が進まないと気づいた二人は現状について話した。

『(私は今、封印を解いてくれた人達と海賊をやってるんだ)』
《海賊!!?ティティが!?大丈夫なんですか?海賊は当たり前の様に人を傷つける・・・ティティは呪が・・・》
『(うん、だけど大丈夫だよ、私よりリリィの現状を教えて、それに他の皆の事も・・・)』
《私や他の皆もまた封印されています・・・ティティと同じような封印式です》
『(じゃあ助けられるね!)』
《恐らくは・・・それと私に掛けられた封印が一部解かれた様なのです》
『(どういうこと?)』
《私にもよく分かりません・・・もしかしたらティティの封印が解けた事と何か関係が有るのかも・・・》
『(私は特に何もしてないよ?)』
《封印が連動していたのか、或いは私達だから・・・かもしれません》
『(“双子の奇跡”で片しちゃう?)』
《ふっ、それも良いかもしれません》

ティティは瞳を閉じたまま笑う

『(必ず助けるよ)』
《・・・はい》
『(んで、また皆でお祭りしよう!)』
《・・・・・・はい》
『(一緒に踊ろう、リリィ!!)』
《・・・・・・・・・はい!!》
「オレは!!!!海賊王になる男だ!!!!」
『え!!?』

其処で初めて船長が処刑台に張り付けられている事態に気づきティティは目を瞠った。

『え?ルフィ?なんで・・・』
「「その死刑待て!!」」
『ゾロ、サンジ!!』
「おい!ティティ!!」
「ティティちゃん!!」

状況が分からず、広場の入り口からの呼びかけに其方を向けば二人とも戦闘中だ。

「何でもイイ!処刑台を壊せ!!」
『っ!うん!!』

ティティは手を翳し、何も無い空間から愛用の杖を出現させるとティティの周囲を文字の羅列が囲む。

「ぎゃはははははは!!そこでじっくり見物してやがれっ!!!てめェらの船長はこれにて終了だァ!!!!」
「ゾロ!!サンジ!!ティティ!!ウソップ!!ナミ!!わりいおれ死んだ 」

振り上げられた刀に死を悟ったルフィの顔は恐怖の色を見せず満面の笑みをティティ達に向けた。

「なっ!?」
「ばかヤロっ!」
『ルっ!!』

三人はルフィの笑顔に限界まで目を見開き一瞬動きを止めた、その一瞬に強い光が処刑台に落とされた。

「「『・・・・・・・・・』」」

ティティ達だけでなくその場居た者は誰も動けなかった一番に口を開いたのは瓦礫の中から這い出し自分の帽子を拾い頭に被った少年。

「なははは、やっぱ生きてた・・・もうけっ」

とルフィは笑いながら麦藁帽子をかぶった…

「今のお前か?ティティ」
『ううん・・・私は何も』
「・・・おい、お前神を信じるか?」
「バカ言ってねェでさっさとこの町出るぞ、もう一騒動ありそうだ」

――広場を包囲!!海賊どもを追い込め!!

ティティ達は続々と集まる海軍に目をやり逃げようとする。

『あ』
「どうしたティティ?」
『荷物どうしよう、せっかく買ったのに・・・』
「ティティちゃぁん!このサンジにお任せあれ!」
『え、でも・・・』
「イイからそいつに任せとけ」
「よし!!逃げるぞ!!」

ルフィの掛け声で一斉に走り出しゴーイングメリー号を目指す四人に海軍は襲い掛かるがあっさり跳ね除けられる。

「なぁ、止まって戦おうぜ!!」
『こんな数相手にしてたらキリがないよ!?』
「いけるよ・・・」
『駄目!このままじゃグランドラインに入れなくなるよ!!』
「何!?」
『分かったら走る!!』
「おう!」

ティティに論され、ルフィは後ろを気にせず前進する。

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あきゅろす。
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