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標的28 ウソ!私が殺したの?
「ニーナちゃーん!」
「?なに?京子ちゃん」
「うん、明日の日曜日、ニーナちゃんの家に遊びに行ってもいいかな?」
「え?私の家に?別にかまわないけど」
「ホント?よかった!ニーナちゃんに大事な話があるの」
「(大事な話?、相談事かな?其れだとウチは騒がしい・・・ぁ)」

背後から駆け寄って来た京子に騒がしい家族を思い起こすが・・・

「(そう言えばランボとイーピンは商店街の福引に当たって遊園地に行くって)」
「ニーナちゃん?」
「(ビアンキも今朝から食材探しの旅・・・フゥ太はイタリアに帰ってる・・・めっちゃ静かじゃん)」
「やっぱり急じゃ無理かな?」
「ううん大丈夫、明日の日曜日に!」
「うん!」

学校の廊下で交わした会話に帰宅して宿題を済ませ部屋の掃除に掛かると本格的大掃除に発展してしまう。

「にーちゃん、もう寝る時間よー!」
「え?・・・うわっもうこんな時間!?」
「あまり夜中にバタバタしてたら近所迷惑よー!」
「はーい!(粗方片付いたし、シャワー浴びて寝ようっと・・・)」

掃除機を片手に部屋を出る新奈。

「ふぅ・・・」
「部屋の掃除ずいぶんかかったな?」

シャワーを済ませた新奈を部屋で待っていたのはスーツ姿のままのリボーン。

「ぁ、リボーン、うん、やり出したら止まらなくなっちゃって」
「明日何かあるのか?」
「京子ちゃんがウチに来るの、大事な話があるんだって、幸いに騒がしいランボ達も居ないから」
「あまりファミリーを邪魔者扱いしない方がイイぞ」
「邪魔者だなんて、そんな風に考えてないわよ」
「まぁイイ・・・世の中何が起こるか分からないからな」
「意味深ね・・・何か企んでるの?リボーン」

リボーンの口角が上がると新奈は頬を引き攣らせる、が・・・夜も遅いと追求せず床に就いた。

ごそごそ・・・

「んっ・・・(リボーン起きたのかな?珍しい)」

真夜中にする物音に新奈は意識を浮上させると物の崩れる音に身を起こす。

「!、リボー・・・(男、泥棒!?)」
「!?」
「リっ――・・・」

叫びそうになった新奈の口を男は咄嗟に塞ぎ、其の勢いで新奈は壁に頭をぶつけ意識を飛ばす。

「っ(ちょっ、この状況で、まずい・・・)」

―――
――


―いや!いやぁ!!

何度吐いた否定の言葉・・・

聞き入れられずただ痛いだけの行為を男達は繰り返す、何度も、何度も・・・

水音と肉同士のぶつかり合う音

意識の遠のく中視界には穢れを知らぬような純白がチラつく

実際は汚れきった白なのに其の時はその白が死ぬほど羨ましかった

打ち捨てられた体、動かない其の上に舞い落ちる白

其のまま、汚れた体も真っ白にしてくれる気がした

傷ついた体に沁みる白に徐々に体温を奪われ意識が遠のいて行く

あぁ、私はこの時、必死に神さまに縋ったんだ

苦しくて、悲しくて、悔しくて、憎かった・・・

汚れてしまった私を助けてくるはずも無いのに

ただ、ただ願ったんだ・・・タスケテって


―――
――



「ん・・・・・・」

学校の無い日曜の朝、寝苦しさに新奈は目を覚ます。

余りにも最悪な夢を見た所為で目元には涙が溜まっており呆然と天井を眺めていた。

「ゆめ・・・」

ゆっくりと身を起こす。

「?」
「・・・」
「??」
「・・・・・・」
「え?・・・っ!!?」

ベットの足元に見知らぬ男が倒れており新奈は慌ててベットから抜け出し男と距離を取る。

「誰・・・この人・・・」
「とうとう殺ったな」
「っリボーン!?」
「お前の自己防衛本能がヒットマンの才能を目覚めさせたんだぞ」
「はぁ?」
「ごく稀に死ぬ気弾を受け過ぎるとピンチになった時自然に死ぬ気モードになる奴が出てくる」
「え・・・」
「やっとマフィアらしくなって来たなニーナ」
「私がやったって言うの!?まったく覚えが無いんだけど!」

リボーンはうつ伏せで倒れた男を蹴り、仰向けにすると其の額には鬱血恨。

「お前が殴って殺したんだぞ、コレがその跡だ」
「え・・・えぇ・・・」
「合わせてみろお前の拳と一致すると思うぞ」
「・・・・・・(ど、どうしよ・・・)」

其の場に力なく座り込み口を両手で覆い困惑する新奈。

「ニーナさーん!見てください!」
「!、ハル?」

其の場に似つかわしくない明るい声に新奈は意識を引き戻され笑顔で部屋の扉を開けハルが入って来た。

「今度の文化祭でハル屋形船やることになったんです!」

天真爛漫なハルの存在に今心底救われ新奈は目に涙を浮かべる。

「ハル・・・」
「はひっ?あ、ニーナさん達も劇の練習ですか?すごーい!リアルな死にっぷりですー!」
「違うのハル・・・本当に死んでて・・・私が、私が・・・」
「ニーナが本当に殺したんだ」

泣き出しそうな新奈の代わりにリボーンが答えると顔を蒼白させハルが勢いよく下がり壁にぶつかり、木で作っていたらしい屋形船の着ぐるみは大破した。。

「ハル、私・・・どうしようぅ・・・」
「ニーナさん・・・」

其の時呼び鈴が鳴り新奈とハルの肩が揺れる。

「なんでおめーがここにいんだよ!」
「今日部活ねーし、ヒマだからさ」
「「おじゃましまーす!」」

奈々が出迎えた聞き覚えのある客人の声に、ハルと共に慌てふためく新奈。

「あら、いらっしゃいにーちゃんなら二階よ」

階段を上がってくる音に挙動不審なハルと新奈はぶつかったりと何もできず、新奈にいたっては寝間着のまま獄寺と山本を部屋に迎え入れる事となった。

「おはようございます十代目!」
「よぉ、ニーナ!」
「お・・・おはよう、ございます」
「獄寺君、山本君・・・私、わたし」

笑顔を向けてくる二人に居た堪れなくなり新奈は顔を覆い涙し、ハルは慌てて新奈を抱きしめる。

「「!!?」」
「わたし・・・自首、ひくっ」
「ニーナさんが刑務所から出るまでハル待ってます!手紙いっぱい出します!!」
「は?」
「へ!?」

女子二人の奇行に困惑している二人にリボーンが経緯を説明する。

―――
――


「落ち着けよ、ニーナは覚えてないだろ?」
「そーっスよだいたいコイツ本当に死んでんスか?」
「え・・・?恐くて近寄れなくて・・・」
「じゃあまだ確認してないんだな?」
「おい 起きねーとボムぶっぱなすぞ!」

獄寺がダイナマイトを男に近付けと其の体が微かに動く。

「え!?動いた!!?」
「救急車です!救急車呼びましょ――っ!!」

新奈とハルが行動を起こそうとするとリボーンが其れを制止する。

「その必要はないぞ医者なら呼んどいた」
「え?医者って・・・」
「そう、Dr.シャマルだ」

リボーンに引きずられ顔を出すシャマルは明らかに酒の入った状態だった。

「(酔いどれ・・・)」
「何だよ、俺はコレからおしゃれなセニョリータとデートだってのに・・・」
「ごめんなさいシャマル!だけどお願い看て!私このままじゃ・・・」

混乱しきっている新奈の懇願にシャマルは新奈の手を取る。

「んで、どうした?ドコが悪いんだ?」
「え?いや、私じゃ無くて・・・」
「大丈夫だ!俺が隅から隅まで――・・・」
「十代目から離れろこの変態!!」

獄寺が新奈とシャマルを引き離すとシャマルはヤル気を失くした様に壁に背を預ける。

「んだよぉ隼人・・・」
「話しかけんじゃねー!女たらしが!患者は十代目じゃねェ!!」
「早く看てやてくれよ!」
「あー・・・なんか死かけの奴がいるんだってな・・・んーどれどれ」

獄寺と山本に懇願され男の元ではなくハルに顔を近づけるシャマル。

「キャアアアアアア!!!」
「ゲフッ!」

キスされる寸前にハルは全力で右拳をシャマルに見舞う。

「何するんですか!」
「この元気なら大丈夫だ」

殴られた箇所を抑え立ち上がるシャマルに新奈は抗議の声を上げる。

「誰看てるのよシャマル!ハルじゃなくてこの人よ!」
「あぁ?何度言ったら分かるんだ俺は男は診ねー」
「そーいえばそーだったな」
「知ってたわよね!?前から知ってたわよね!!?」

恍けるリボーンの言葉に新奈の目に再び涙が溢れる。

「あいかわらずサイテーだな!」
「ハハハッ!おもしれぇーよ!」
「面白くないよ!」

完全に泣きだす新奈にシャマルは頬を掻き訊ねる。

「てか本当にそいつ生きてんのか?瞳孔開いて息止まって心臓止まってりゃ死んでんぜ」
「ドーコー開いてます」

シャマルの言葉に顔を覗き込むハル。

「息も止まってる・・・」

口元に紙を持って息揺れない事を確認する山本。

「心臓・・・止まってる」

胸に耳を宛て動悸を確認する獄寺、其の結果・・・

「「「という事は・・・死んでる――ッ!!」」」
「俺がふざけてる間に仏さんになっちまったのかもなー仏さんにゃ用ねーや、じゃっ」

そう言ってシャマルは気持の良いほどあっさり去っていった。

「本当に、どうしたらイイの、私・・・」
「安心しろ、こんなときのためにもう一人呼んどいたぞ」
「え?」

リボーンの声と共に開かれた窓から飛び込んできた黒に新奈は目を瞠る。

「やぁ」
「「ヒバリ!!?」」
「テメー何しに来やがった」
「赤ん坊に貸しを作りに来たんだ、まぁ取引だね」

獄寺と山本が思わぬ登場人物に声を上げハルも目を瞬かせる。

「ヒバリさん・・・」
「やぁ、新奈・・・!」
「ヒバリさん!私、どうすれば・・・」
「どういう事?赤ん坊」

涙しながらいきなり飛びついて来た新奈に目を瞠り自分呼んだ者に視線を向ける雲雀。

「電話で話した通りだ、ソイツをニーナが無意識に殺っちまってテンパってるだけだ」
「ふーん、別に新奈は悪くないでしょ、不法侵入してキミに一発で殺られるコレが弱いだけ」
「でも・・・」

新奈の頭を優しく撫でる雲雀に獄寺が眉間に皺を寄せる。

「うん、コレは僕が処理しても良いよ」
「え?」
「死体を見つからないように消して犯罪自体を無かったことにしてくれるんだ」
「それ色んな意味で不味くないですか!?隠ぺい工作って、私と共犯ですよ!?」
「キミと共犯なら悪くない」

軽く新奈頭を叩き窓枠に足を掛ける雲雀。

「じゃあ、あとで風紀委員の人間よこすよ」
「えぇ!?委員会で揉み消してるの!!?」
「風紀委員すげのな!」
「ただの委員会に出来る事かよ!?」
「デンジャラスです・・・」

雲雀の言葉に全員唖然とするばかり。

「またね」

新奈に不敵な笑み向けると颯爽と窓から飛び降りる雲雀を其のまま見送る。

ピンポーンッ

「「「「!?」」」」
「ニーナちゃーん、こんにちわー!」
「あぁ、そうだ京子ちゃん!ど、どうしよう・・・」
「ニーナさん!こうなったら死体を隠しましょう!」
「えぇ!?」

ハルは部屋のクローゼットを開きスペースと見つけると其処を指す。

「ココなら隠せそうです!」
「おし、山本そっち持て!」
「おう!」
「ニーナさんはとりあえず着替えてください!寝間着のままじゃないですか!」
「え?う、うん!」
「「!!?」」

ハルに言われるままに動き其の場で寝間着を脱ぎ捨てる新奈に獄寺と山本は目を逸らし男を隠す。

「ニーナちゃん・・・ん?」
「よ、よぉ!笹川」
「きょっ、京子ちゃん!お日柄もよく・・・」
「い、いらっしゃい・・・どうぞ座って、京子ちゃん」
「ありがとうニーナちゃん」

不自然な体制、強張った表情の面々に迎えられるも特に気にせず新奈に促されるまま座る京子、向かい合った四人は気が気ではなかった。

「でも、あんな事してよかったのかしら・・・」
「非常事態ですししょうがないっス」
「笹川に死体なんかみせられないだろ?」
「背中に十字架背負って生きるのはハルだけで十分です!」
「そうだけど・・・(よしっココは京子ちゃんの話を聞いて直ぐに帰ってもらおう!)っ!?」

四人で小声で話し改めて京子に向き直ると全員の視界、京子の横にあの男の腕がクローゼットからはみ出しているのが見え顔が強張る。

「「「「っ・・・・・・」」」」
「どうしたの?みんな・・・ん?」

手だけでなく上半身も倒れる様にクロゼットから出てくる其れに京子も振り返ろうとした瞬間。

「うひゃぁひゃぁひゃぁひゃぁ!」
「ランボ、待ツ!!」
「ランボさん、悪くないもんね!」
「どうしたの二人とも(助かった・・・)」

遊園地に行ったはずの二人の窓からの訪問に訳を聞くとランボが招待券を失くしてしまったらしく、騒ぐだけ騒いで部屋から出て行ってしまった。

「いつも元気ね・・・あれ?」
「はひ!」

ついに男に気付いた京子の視界に霊柩車の着ぐるみを纏ったハルが滑り込む。

「そ、それは!文化祭の小道具もマネキン人形“死んでるくん”なんです――!」
「死んでるくん?」

ハルの体を張った虚偽に目を瞬かせる京子。

「ハル、その恰好は?」
「去年の文化祭の小道具が役に立ちました!」
「さすが緑中!」
「つか、霊柩車の着ぐるみってどーゆー文化祭だよ・・・」
「文化祭?」
「(さすがの京子ちゃんでもこの嘘は・・・)」
「そうなんだー」
「(信じたー!?そうよね・・・笹川先輩の嘘も簡単に受け入れる様な子だもんね)」

嘘を其のまま呑み込んだ京子に新奈は本題を早々に切り出す。

「で、京子ちゃん、大事な話って?」
「あ、そうだった・・・あのねニーナちゃんにお願いがあるの」
「お願い?」
「そう、実は――・・・」
「沢田ァ!!ボクシング部に入れェェエエ!!!」
「っ!!?」

呼び鈴も無で突如新奈の部屋に現れたのは京子の兄の了平だった。

「もう、お兄ちゃん・・・ウチで待ってて、て言ったのに」
「おう!しかし、俺の極限を継げるのは沢田だけ!その事を考えるとジッとしていられなくて・・・並盛町を三周半してココまで来てしまったのだ!!!」

この二人の会話に全てを悟った新奈は額に手を宛てる。

ピンポーンッ

「すみません、宅配便でーす」
「(なんてタイミングの悪さ!!)」
「沢田さーん、お留守ですかー?」
「ニーナちゃん荷物届いてるよ?」
「え・・・うん(この状況で部屋を離れる訳には・・・)」
「そっか、お兄ちゃんと話がしたいのね・・・分かった、私が荷物取って来てあげる!」

京子は新奈の想いを別の意味で汲み取り部屋を後にする。

「今のうちに死体・・・もとい、死んでるくんを片付けましょう!」
「何だか知らんが手伝うぞ!」
「えぇ!?」

動こうとした新奈を手助けしようと動いた了平だが其処に再びランボとイーピンが乱入し、あろうことか手榴弾を爆破させてしまう。

「あのアホ牛・・・」
「はひっ!」
「どうした?」
「し・・・死体がありません・・・」
「「「なにィ!!?」」」
「さっきの爆発だな」

ハルの言葉に新奈、獄寺、山本は周囲を見回すが男は見当たらずリボーンは其れを冷静に分析する。

「外に飛ばされたの!?」
「・・・ぁ、あそこだ!」

新奈と山本は窓から顔を出し周囲を見回すと山本が走り去る運送業者のトラックの上に目的の男を見つける。

「さすが山本、野球部仕込みの動体視力だな」
「なんの!十代目のお役に立つのは俺です!」
「おう!何だか分からんが手伝うぞ!」

獄寺、了平に続き新奈達も表に出る、京子とすれ違った際、ハルの顔に紙が張り付き其れを手にしたまま追いかける。

「!コレは・・・」

家を出る際に紙の内容を確認したハルは慌てて新奈に声を掛ける。

「ニーナさーん!」
「っなぜに携帯電!?」
「コレは去年の運動会で来たんです!ほら、前屈すると二つ折りになるんですよ」

走りながら器用に繰り広げる携帯着ぐるみのハル。

「でも、こんな事してる場合じゃないんです!」
「いや!やってるのハルなんだけど!?」
「コレを見てください」
「何?」
「その番号に電話すれば運転手さんに繋がります!」
「本当!?」

ハルから紙を受け取り告げられた言葉に足を止める新奈、ハルは改めて紙を受け取り携帯に番号を打ち込み耳に当てる。

「「・・・・・・」ぁ」

どうやら繋がったらしく、ハルを見守る新奈。

「すみません!そちらのトラックに大切なものが乗ってるんですが・・・」
『はい、なんでしょう?お荷物番号をお知らせください』
「あ、いえ!荷物じゃないんです!」
『え?それじゃあ何ですか?』
「死体です!」
『・・・ふざけるなっ!!』
「はひっ・・・切られちゃいました」
「そりゃ着られるわよ・・・」

電話は諦め新奈とハルは再び走り始めしばらくすると山本の背中を発見した。

「山本君!」
「ニーナ!悪ィ見失っちまって・・・」
「配達業者さんはそんなに広範囲のに配達はしないと思います!時間指定の荷物とかもありますから!」
「ココから近くって・・・」
「ウチの家は結構近いけど」
「じゃあそっち行ってみましょう!」

三人は其のまま商店街の方へ駆け出す。

「ビアンキ――!!」
「ん?ニーナ?」
「お願い!あの宅配便止めて!」
「何で私が・・・・・・まぁいいわ、新しく手に入れた食材を試すチャンスだし」

途中自転車に跨ったビアンキを見つけ声を掛ければトラックを追い掛けるビアンキ。

「はひっ!?」
「どうしてそんな大きな物がリュックの中から出て来るの!?」

自転車を漕ぎながら背負っていた小さな鞄から人ひとり包める程の大きさの分厚い布のような物を取り出しピザの生地の様に指先で回しながら広げる。

「ポイズンクッキング・クラゲ姿焼き!!」
「あれクラゲなの!!?」

トラックの前方へと投げられた其れは橋に大穴を開けたがトラックは其の穴さえも飛び越え進む。

「チッ、逃した・・・」
「いや・・・そーともいえねーぞ!」
「イーピンニ御任セ、餃子拳!」
「ランボさんも負けないモンね!!」

小さなヒットマンの攻撃をくらって尚も進むトラックに新奈は肩を落とす。

「あぁ・・・」
「ニーナ!とりあえず商店街の方に行ってみようぜ!」
「諦めるのはまだ早いですよ!ネバーギブアップです!」
「・・・山本君、ハル・・・うん!」

そして、目的のトラックを捉えられたのは山本の家の前に止まっている時だった。

「・・・皆ありがとう、私やっぱり警察に行くね」
「十代目・・・」
「ニーナ・・・」
「沢田?」
「うぅ・・・ニーナ」

自分の為に必死に走ってくれた四人に笑いかける新奈に声が掛かる。

「警察に?どうしてですか?」
「だって私は、人を・・・」
「初めまして、十代目」
「え!?」

声の主に視線を向ければ先程まで自分達が死体だと思っていた男が身を起こしていた。

「生き返った!?」
「はひ!?ミステリアスです!!」
「コリャ一体・・・」

全員呆気にとられていると男の横にリボーンが現れ説明する。

「コイツは“殺され屋”のモレッティだぞ」
「殺され屋?」
「自分の意思で心臓を止めて仮死状態になる“アッディーオ”を使うボンゴレの特殊工作員だ」

リボーンの説明に我に返った新奈は拳を握り本日の痴態に頬を赤らめる。

「うそ・・・全部嘘だったのね!?リボーン!」
「そうだ、因みに死ぬ気弾の使い過ぎで勝手に死ぬ気モードになると言うのもウソだ!」
「なんでそんな嘘吐くのよ!?」
「いやーちょうどコイツが日本に遊びに来たんでな」
「十代目に挨拶がてらアッディーオを見てもらおうと思いまして」

トラックから降りて来た二人に噛み付く新奈。

「他に見せ方があるでしょ!?こんな嘘までついてみんなを巻き込んじゃって・・・」
「知らないのか?4月にはウソを吐いてイイ日があるんだろ?」
「それは4月1日!エープリルフールだけよ!」
「フッ、オレにとっては4月中は何時でもエイプリルフールだぞ」
「そんな訳あるか!!!」

新奈声が空しく響き渡った。

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