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標的147 風をつかまえろ
「じゃあニーナちゃん、山本君にリボーン君も送ってくれてありがとう」

「ううん、じゃあまたね」

「うん、先にウチに入ってるねお兄ちゃん」

「おう」



マーモンから印を貰い並盛神社から京子と共に

笹川家まで共に家路に着き、京子だけ先に家の中へと入った



「やったではないか沢田!」

「これで七つのうち三つ試練クリアだな」

「うん・・・でも気になるなわねマーモンの使ってた匣・・・」



喜び賞賛の声を上げる二人とは違い新奈は浮かない表情をする



「未来で聞いた匣兵器を作った三人の発明家の中にいたわねマーモンの言ってた――・・・」

「あァ・・・イノチェンティ、ケーニッヒそしてヴェルデだな」

「ヴェルデというのがさっきマーモンが言ってた奴だな」

「匣兵器はこの時代にはすでに作られ始めてたってワケか」

「匣の派生する過去なんだから、試作段階の匣があることには不思議は無いんだけど・・・」



眉を下げる新奈達の耳に元気な声が届いた



「退け退け!どくんだもんね!!」

「ランボ!?」

「試練はどこだもんねー!!」



塀から飛び降りるランボを避け走り去って行くのを見送ると

イーピンがランボの後を追うように現れた



「ニーナサン!」

「イーピン?ランボどうかしたの?」



膝を折りイーピンに視線を合わせるように身を屈めると



「ランボ試練受ケルッテ・・・」

「え?何でランボが試練の事を・・・?」

「ソレハ―――・・・」



新奈が訊ねるとイーピンは新奈の部屋で遊んでいた際にリングが輝き

ベットで気を失っていた獄寺が試練の事を口にした事を新奈に伝える



「・・・―――ダカラ」



イーピンの説明に何も言えず重く息を吐く新奈にリボーンが山本の肩から言葉を投げる



「しょうがねーな・・・ニーナ、ランボを連れて来い」

「え?」

「お前はボスだろ、部下の面倒は自分で見ろ」



新奈は首を傾げた後に告げられた言葉に顔を顰めるが

溜息を一つ残しその場を駆け出しランボを追った、走って追えば

並盛中学校前で足を止めたランボを見つけ新奈が着く前に門と飛び越えようと跳躍したが

越える前に新奈がその小さな体を両手で掴み校内侵入を阻止した



「がぴゅっ・・・んぁ?あ、ニーナ!!」

「駄目よランボ」



学校に向けていた視線を新奈に向けるランボその表情は不満そうだ



「イヤだはなせェ!オレっちは試練受けるんだもんね!!」

「試練は終わったばかりだから今日はもう無いのよ」

「ウソだもんね!んなこと言って騙されないぞ!!」

「騙してないわよ・・・!もぉ分かったわよ・・・」

「ん?」



手足をバタつかせ駄々をこねるランボに新奈が折れ溜息混じりにランボを説得する



「次の試練の時は教えてあげるから今日は帰ろう」

「ホント?」

「うん、本当」



新奈の笑顔に納得したのか嘘の様に大人しくなるランボ



「じゃあ帰ろ、お腹減ったもんね!」

「はいはい・・・ん?」



ランボは新奈に抱きつき帰るように促すと新奈は苦笑いを浮かべ

ランボを抱き方向を変えようとした時、視線を感じ其方に目を向けると

中国服を着てサングラスで目を隠しあまつさえ頭に白い猿を乗せた不振人物が屋上に居た



「っ!!?(あ・・・妖しすぎる、休みだからってどうやって学校に入ったの!?)」

「ニーナ!早く帰るんだもんね、ママンのご飯に遅れるじょー!」

「・・・そうね、帰ろうか」



足を進めない新奈にランボは新奈の腕を数回叩き帰る様促すと

新奈が一度ランボに視線を向け一歩進み再度屋上を見ると怪しい人物は消えていた



「あれ?居ない・・・ま、別に気にすることでもないか(妖しかったけど)」

「ニーナ!早く早くー!」

「はいはい」



新奈はランボを抱いたまま家路を急いだ










翌朝母の言葉で新奈は二階から降りてきた



「にーちゃん!手紙が届いてるわよ!」

「はーい」

「母さん、手紙って?」

「テーブルの上に置いといたわよ」



食卓に顔を出し母にの言葉にテーブルに置いてある物に目を向ける



「?いったい誰から・・・」



"沢田新奈殿"と書かれた封筒を裏返すと一番に目に入ったのは封に捺されたおしゃぶりの印



「これは!」

「「「アルコバレーノの試練か!!!」」」



目を見開き手紙を見る新奈の視界に現れた山本、了平、獄寺



「っ!!?三人ともどうしてウチに・・・」

「試練のことが気になってな!」

「今度こそ十代目のお手伝いをさせてもらいます!!」

「極限に試練クリアだ!!」



余りにも突然の登場に新奈は驚いて三人を見返す



「なになに?試練なの?」



興味を示したらしくランボとイーピンも机の上に乗り新奈の持つ封筒に注目する



「・・・朝からこんなに集まって」

「いいから封筒をあけんか!」



了平に急かされつつも封を開くと中には手紙と



「『私を捕まえてみない』・・・写真?ぁ、この人」



手紙を読み手紙の後ろに隠れていた写真を皆に見えるように出すと



「「「あ―――!!!」」」



三人同時に叫ばれると堪ったものではない

更に全員写真の人物に心当たりがあるらしく全員一斉に新奈に伝えようとする



「待った!皆一斉に喋ったって分からないから!」

「とにかく、こいつを捕まえればいいのだな!!」

「だったらオレに任せて下さい十代目!!」

「オレも親父に何か知ってるか聞いてくるぜ!」



言うだけ言って沢田家を後にする男三人衆

脱力した新奈の手から写真がテーブルの上へ滑り落ちるとイーピンが声を上げる



「ァ!御師匠様!!」

「え?お師匠?この人がって・・・イーピンのお師匠ってアルコバレーノだったの?」

「そうだ」



いつの間にか新奈の背後に立っていたリボーンの肯定の言葉に其方に目を向ける



「イーピンの師匠は赤いおしゃぶりを持つ武道家の風 フォン だぞ」

「あの中国武道大会で三年連続優勝って言ってた・・・イーピンからは今までそんなこと一度も・・・」

「武道家の弟子は師匠に忠誠を誓ってるんだ、ペラペラと情報を漏らすような真似はしねェ」



新奈とリボーンのやり取りに俯くイーピンの頭を撫でる新奈



「そうだったの、だったら仕方ないわね、イーピンはお師匠様が大好きだもんね」

「ニーナサン…」



イーピンを目を細め優しく宥める新奈にリボーンは



「そんなことより、早く風を見つけなくて良いのか?お前も心当たりがあるんだろ?」



リボーンと目を合わせ頷き玄関に向かおうとした新奈の背にランボが飛び乗る



「ランボさん!試練受けるんだもんね!」

「そうね、約束したもんね・・・」

「イーピンも行くじょー」

「イーピンは試練受けなくても大丈夫だから気にしないで」



ランボの言葉に眉を下げ再び俯くイーピンに新奈は優しく声を掛けるがその顔は晴れない



「(大好きなお師匠様を捕まえる手伝いなんて、とても頼めないもの・・・)」

「ぃえ!?ツマンナイ!一緒に試練しよーよイーピン!!」

「ランボ、行くわよ」

「えぇ〜」



不満丸出しの声を無視して新奈は駆け出す

その後姿にイーピンは不安げに視線を送りその後を追った

学校に着き昨日あの人物を見た屋上を見上げるが見あたらない



「さすがに一晩経ったし、移動してるか・・・」

「ココに試練が待ってるんだな!」

「っ!ランボ」



閉まっている門を飛び越え中に入るランボに新奈は慌てて門を開け元気よく叫ぶランボを抱き上げる



「休みの日に部外者が勝手に学校に入ったところをヒバリさんにでも見られようものなら――・・・」



暴れるランボに眉を寄せる新奈の肩に手が置かれ慌てて振り向くと其処には笑顔のハル



「っ!?・・・ハル?どうして此処に・・・」

「はい、ニーナさんに会いたいなァって思っていたら
ナイスタイミングで目撃したモノですから!これってやっぱり運命なんでしょうか!?」

「運命感じないで・・・」

「待っていましたよ」



新奈達の耳に届く声に目を向ければ屋上にリボーン、ラルそして探していた写真のままの風



「私は風、与える試練は指導力です」



脱皮するように脱ぎ捨てた服から現れたリボーン達と変わらぬサイズの赤ん坊そしてとても馴染みある面差し



「指導力っていうかあの人・・・」

「あのお姿は・・・!」

「ヒバリさんに、そっくり・・・小さいけど」

「ぁ!ニーナさん!今見惚れましたか!?」

「赤ん坊に見惚れるか!!」



ジッっと風を見つめる新奈にハルが肩を掴み自分に振り向かせ喚き、新奈も其れに反論する



「?」

「あァ、お前ニーナの彼氏に激似なんだ」

「そうなんですか」

「まったく、ガキが色気付きおって・・・」



口論する少女達に風は首を傾げるとリボーンが説明を加えラルは新奈達から視線を外す



「「・・・・・・」」

「なっなんだ!?」

「いえ、特に他意はありません」

「素直じゃねーなラル」



二人の視線に噛み付くラルに笑顔で答える風に対しリボーンはラルを鼻で笑う



「っ〜!!さっさと始めるぞ風!!」

「分かりました、ん?・・・ふっ」



頬を染めるラルから視線を外すと新奈達の側の花壇に隠れる弟子の姿に小さく笑みを漏らす



「・・・――ハルはちょっと黙ってて!あの!」

「ん?」



ハルを押しのけ風へと向き直る新奈



「指導力の試練って・・・――」

「ルールは簡単です、私がこの学校内を逃げます・・・貴女達が私を捕まえることが出来れば
試練はクリアです、時間は12時まで・・・それまでに捕まえられなければ失格です」

「あと一時間・・・でもそれって鬼ごっこ?」

「ただの鬼ごっこだと思って甘く見るな、風は素早いぞ」

「風 フォン ってのは風 かぜ という意味だからな」



風の説明を受け眉を寄せる新奈にラルとリボーンの注意が飛ぶ



「貴女は、今学校内に居るメンバーを使って
私を捕まえるのです・・・つまり、その時の貴女の指導力を見る訳です」

「今学校内に居るメンバーって・・・ランボとハル?」



風の説明に新奈は思わずランボとハルの顔を見やり風達へ視線を戻す



「ハルは守護者じゃありませんし・・・!」

「今回の試練は特別です、メンバーの能力を見極め活用出来るかも指導力の大切な要素ですから」

「質問なんですが・・・貴方は攻撃を仕掛けてきますか?」

「基本、私は逃げるだけですが、もちろん攻撃されれば反撃します」



ハル達を巻き込む事に罪悪感を拭えない新奈は風に問いかけると

変わらぬ笑みを浮かべたままの答えに新奈は眉を下げ思案するがハルの呼び掛けに振り返る



「(単純な鬼ごっこで考えれば二人に危険は無いだろうし・・・
ランボは兎も角、ハルは攻撃なんて仕掛けないから――・・・)」

「ニーナさん、よく分かりませんが・・・ハルはニーナさんの為に頑張ります!」

「ハル・・・」

「ランボさんだって試練クリアでキラキラのピカピカだもんね!!」

「ランボ・・・」

「では始めましょう」

「アルコバレーノ風の試練開始」



二人の答えに風の言葉と共にラルが試練開始の合図を言い渡す



「二人とも風を捕まえるだけで良いから、怪我はしないようにね・・・行きましょう」

「はい!」

「おう!」



新奈達は駆け出し現在風の居る屋上へ向かう



「試練クリアだもんね!」

「捕まえます!」

「二人とも待って!」



二人はフェンスの上に立つ風に飛び掛りフェンスへとぶつかる、軽やかに逃げる風を見つめ唖然とする



「はひ!?グレートです」

「試練飛んでった・・・」

「鬼さんこちらですよ」



屋上から飛び降り軽やかに下へと降りていく風に新奈も目を瞬かせ風の向かった場所へと駆け出す



「っ・・・(体育館!)」



新奈に続きハルとランボも屋上を後に階段を駆け下り外を通り体育館への扉を開くが風の姿は無い



「誰も居ないです!」

「入っていったのは確かだから隠れてるんでしょうね・・・ハルは右から進んで」

「はいっ」

「ランボは左から」

「分かったもんね」



新奈は入り口から真っ直ぐステージに向けて周囲を見ながら進むと舞台天井上から風がステージへと降り立つ



「「!」」

「でたんだもんね」

「今度こそ捕まえます」



またも二人同時に飛び掛り風にあっさり交わされる



「(あぁ・・・アレじゃその内ぶつかるわ・・・早く捕まえないと)」



二人の行動に不安を覚えつつ自分に向かってくる風に手を伸ばすと

すり抜けるように自分の肩を踏み台にされ尚手を伸ばすも風は手からすり抜けた



「(何、今の・・・体重が軽いとかそれ以前に余計な力が入ってなかった・・・
いなされた感じ・・・中国拳法ならではなのかなあの避け方)ハル、ランボ、大丈夫?」

「はい、大丈夫です!すみませんニーナさん」

「まだ時間はあるわ、とりあえず風を追いましょう」

「うぅ〜絶対捕まえるもんね!」



先陣を切って駆け出したランボの後を追う新奈の視界に入った風に二人に声を掛け校舎へと入って行く



「待てェ〜!!」

「ハルが絶対あの人捕まえます!」

「これで終わりだもんね!!」



廊下を走る中でランボは手榴弾を風へと投げるが風はそのまま走り去り

新奈は慌てて其れを拾い窓から外へと投げ大きな爆音が響く



「駄目でしょランボ!」

「だってランボさん試練クリアしたかっただけだもんね」

「だからって学校を壊すようなことは駄目!」

「じゃあコレでいきましょう!」

「?・・・・・・ハル?何処から持ってきたの?」



ランボを叱る新奈にハルは何処から取り出したのかバケツと虫捕り網に新奈の頬が引き攣る



「ハルぅ〜ランボさんにコレ頂戴!!」

「はい、どうぞ」

「この状態でクリアできるとは思えない・・・」



ランボに虫捕り網を渡すハルに新奈は遠い目をし呟きはテンションの高い二人には聞こえない



「もぉー逃がさないもんね!!」

「御用です!!」



ハルの用意したアイテムを手に風を捕まえようとするもあっさり逃げられ追い続けるが



「まっ待つんだもんね!」

「に、逃げないでください!」



新奈が危惧していた通り同時に飛び掛った二人は頭をぶつけその場で蹲る



「ハル、ランボ大丈夫!?」

「ハルが突っ込んできた!石頭!!」

「ごめんなさい・・・ハルも痛かったです・・・」



新奈が駆け寄ると二人は涙目でゆっくり身を起こす



「ランボさんもうやめるもんね!!」

「ニーナさんごめんなさい・・・ハル全然役に立たないです」



完全に諦めている二人に新奈は膝を付き二人に視線を合わせる



「そんなことないわ、ハルもランボも頑張ってくれてるわ・・・
でも、バラバラに追いかけても絶対に捕まえられないのここは協力しないと・・・
ランボだって試練をクリアしてキラキラのピカピカが見たいでしょ?」

「うん!見たい!!」

「お願い、絶対に試練をクリアしないといけないの」

「そうでした!ニーナさんに喜んでもらう為に頑張りましょう、ランボちゃん!」

「うん、試練クリアでキラキラのピカピカだもんね!」

「でも、どうするんですか?」



新奈の真剣な表情にハルとランボは笑顔で課を見合わせ再度新奈に振り返る










「待つんだもんねェ!!」



――まず、ランボが風を美術室に追い込む



校舎隅の大きな美術教室に風は駆け込み

ランボの視界から一度消えると眼前にバケツを持ったハルが姿を現す



「がおぉぉお!!逃がしませんよ!」



――ハルは物陰に隠れてて風が現れたら大きく威嚇する



「ん?」

「逃がさないんだもんね!!」



――ランボも入り口を押さえて其処から逃げられないようにするの



風が振り返れば出入り口をランボが手を広げ行く手を塞いでいる


「やぁ!」



――そうなれば、逃げ場はもう一つのドアだけ



バケツを被せるように風に向けるハルだが

其れを交わし前方の出入り口へと向かったって跳躍すると扉が開かれ新奈が姿を現す


「っ!」

「風、これで――・・・っ?」



宙を飛んでいる風を待ち構える新奈の肩に置かれた手に顔を向ければ其処には



「君達だね、僕の学校で遊んでいるのは」

「ヒバリさん!?此れには訳がァ・・・っ!」

風に背を向けてしまった新奈は踏み台にされ雲雀の胸に顔を打ち付ける



「「!?」」

「あぁ〜来たもんね!ぐぴゃっ!!」



同じ顔に雲雀と風はやや目を見開くも風は体勢を立て直しランボを足蹴に地面に足を付けた

フリーになった出入り口に足を向ければ可愛い愛弟子がソレを遮る



「イーピン、久しぶりですね」

「御師匠様ニーナサンニ捕マッテ下サイ!」

「そう簡単にはいきませんよ」



その言葉を合図にするように二人は跳躍し宙で組み合う



「新奈、アレはどういう事?」

「前の骸の時の様な諸事情です」

「ふーん・・・だからって僕の学校で暴れて良い事にはならないよ」

「いはいれふぅ〜!」(痛いです!)

「よく伸びるね・・・(柔らかい)」



二人の攻防を尻目に雲雀は新奈の頬を力いっぱい引っ張る



「ニーナサンニ、ランボニ、喜ンデ貰ウ!(御師匠様ゴメンナサイ・・・)餃子拳!!」

「餃子拳!」



地に足を着けた二人は互いに餃子饅を取り出し同じ技を繰り出す丁度真ん中に倒れていたランボに大打撃



「ぐっぴゃァァ!!くちゃい!!」

「ランボゴメン!餃子拳!」



イーピンはランボを風へと飛ばし、ソレを避けた風は新奈の方へと飛んでくる



「ん?・・・そう、それで良いのですよ・・・」



そのまま新奈の腕に吸い込まれるように腕へと大人しく治まる風



「そこまで、風は沢田新奈に捕まった、この試練合格だ」

「や・・・やったもんね〜キラキラのピカピカだもんね〜」

「やりましたねニーナさん!はひっ、ニーナさんどうしたんですか!?そのほっぺ!」



ラルの言葉にフラフラになりながらも歩み寄るランボを駆け寄ってくるハル



「ちょっとね・・・でも、私何もしてないのに」

「それが良かったんだぞ、お前が動いたら風はまたするりと逃げる所だった」

「風 かぜ 追ウト逃ゲル」



雲雀に引っ張られ両の頬が真っ赤になっていた新奈の疑問に

リボーンが答えイーピンが補足するように付け加える



「でも、イーピンはメンバーにいなかったからルール違反じゃ・・・」

「いいえ、最初からいましたよ」

「物陰に隠れていたからお前達は気づかなかったようだがな、俺達はずっと分かっていた」



新奈の腕から降り答える風とラルの言葉にリボーンの横に居るイーピンに目を向ける新奈



「そうだったの・・・(イーピン、
お師匠様が相手なのに、最初から来てくれてたのね・・・)・・・イーピン、ありがとう」

「ニーナサン・・・!」



イーピンを抱き上げ抱きしめる新奈にイーピンは満面の笑みで抱き付く



「イーピンが貴女を助けようと思った事こそが、貴女の指導力が優れていた証なのです」

「え?」

「イーピンから届く便りにはいつも貴女方と過ごす楽しい毎日の事が書かれていました・・・
恥ずかしがり屋のイーピンが此処まで心を開き
イキイキと日々を過ごせるのも沢田新奈、貴女の指導力があってこそでしょう」

「そんな・・・でも、イーピンが楽しく過ごせてるならそれでも良いかな」



頬を染めイーピンを顔を向き合わせ笑い合う



「ふぅー・・・さぁリングを出して下さい」

「あ、はい」

「合格の証を授けましょう」



風へと右手を差し出すとボンゴレリングに赤い光が注がれ

ランボのリングも連動して輝き喜びの声を上げた



「キラキラでピカピカだもんね!」

「ヨカッタネ、ランボ!」

「ニーナさん!ハル、お役に立てたんですね?」

「うん、ありがとうハル、ランボ・・・イーピン」



新奈はイーピンを降ろし笑みを向ける



「ニーナサン!・・・ァ・・・御師匠様ゴメンナサイ」

「気にする事はありませんよ、イーピン・・・
貴女の友を思う気持ちは私にも伝わりましたイーピンももう、一人前ですね」

「謝謝、御師匠様」

「ねェ君達・・・いつまで群れてるの?」

「ヒバリさん」



師弟の深い話を切る一声に全員の視線は雲雀へ向けられる、一人過剰反応する少女が一人



「ん?」

「お、久々だな」



赤面したイーピンの額にチューピンが現れ、リボーンは其れを楽しげに見た



「あッ筒子時限超爆・・・!」



新奈は慌ててイーピンを掴み美術室の窓を開け外に放り投げ本日二度目の爆破が起こった



「危なかった・・・」

「やれやれ、やっぱりまだ半人前だったでしょうか・・・はぁー」

「あの技をイーピンに教えた貴方が言いますか・・・」



窓から風へ向き直り視線を合わせる新奈に風は苦笑い



「早く出て、鍵締めるから・・・」

「あ、スミマセン、ヒバリさん!」



雲雀の言葉に慌てて風を抱き上げ

全員に出るよう促すと、ハルはランボを抱え慌てて美術室を出る



「リボーンとラルも早く出よう」

「あぁ」

「・・・・・・」

「リボーン?」



雲雀の横で出口からラルとリボーンに声を掛けるが

一人返答が無くジッと自分を見つめており首を傾げると



「お前等にガキが出来たらそんな感じだろーな」

「「・・・・・・」」

「確かに私と貴方は似ていますからね」

「ま、僕も驚いたけど僕としては新奈似の子供が良いな自分と同じ顔は要らないよ」

「なっ!?」

「貴様等!ふざけてないで――・・・」



女二人はリボーンの言葉に目が点になったが

風と雲雀は互いの顔を見て笑っていたその言葉に新奈は赤面し、ラルは青筋を立てる



「そうかそうか、お前はコロネロと――・・・」

「黙れ!!!」



卑しいリボーンの笑顔にラルが銃を手にその場で乱闘が起こったのであった


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