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標的146 匣兵器プロトタイプ
いつもの三つ編みが一つに纏められてる髪が左右に揺れる

其の後姿にリボーンはボルサリーノを下げ見送った



「(髪型が変わっただけで・・・女ってのは恐えーな・・・)ラルを呼びに行くか・・・」



表に出ると濃い霧に新奈は一瞬足を止めるが

早足で周囲を確認するように歩みを進める



「・・・霧、濃すぎコレじゃ攻撃されでもしたら――・・・っ!?」



目の前に揺らめく影に足を止め身構える

寄って来た影の見知った姿に胸を撫で下ろす



「あれ?ニーナじゃないか!」

「山本君・・・何で此処に?」

「あァ、電話で呼び出されてさ」

「!山本君も?」



二人は耳に届く駆け足な足音に顔を横に向けると了平が走って来た



「笹川先輩!?」

「おぉ、沢田に山本か」

「・・・やっぱりコレって」

「だろうな」



道中央で集う仲間の姿に新奈と山本は試練であることを確信し頷く



「お前達もか・・・むっ!お出ましか!?」



了平の言葉に其の視線を追い

其方へと目を向けると其処に現れたのは獄寺であった



「あ、十代目!おはようございます!」

「獄寺君?」

「なんだタコ頭ではないか・・・」

「なんだとはなんだ!この芝生!!」

「ちょっと待って・・・獄寺君、貴方も電話で呼び出されたの?」

「いえ、十代目のお宅に伺ったら並盛中だと聞きまして」

「(呼び出されたのは私と山本君と先輩だけ)・・・じゃあ」

「ふふん」



了平と獄寺を嗜め獄寺に確認すると新奈の言葉を遮り妖しい声が響く



「っ!マーモン」

「やぁ、久しぶり」



新奈達の上空に藍色のおしゃぶりを持つ

アルコバレーノ・・・バイパーことマーモンが其の姿を現した



「次の試練はマーモンが?」

「まぁね・・・金にならない事はしたくないけど、僕もアルコバレーノである以上仕方ない」

「どうせ結果は見えてるんだ!さっさと合格の印、渡しちまえよ!!」

「黙りなよ、これを見な」



新奈の質問に答え獄寺を黙らせると

マーモンの横に、檻に閉じ込められた京子の姿が現れる



「京子!?」

「どうして京子ちゃんが・・・?」

「貴様!京子に何をした!!」

「ゲームを盛り上げるためには商品が必要だろ?」

「人質ってワケか・・・」

「そんな・・・」

「汚ねーぞ!!」



困惑する四人にマーモンは商品と提示する



「助けて、お兄ちゃん、ニーナちゃん!」

「今助けるぞ京子ォォォ!!」



京子の助けを求める声を最後に其の姿は霧に消える



「おっと、ヘタな真似は止めてもらおうか、あの子がどうなっても知らないよ・・・」

「なっ・・・なんだと!!?」

「っ・・・」



死ぬ気丸を取り出した新奈への明らか牽制に新奈は死ぬ気丸を懐へ戻す



「彼女を助けたければ僕の試練をクリアすることだね」

「くそっ、あの時・・・なぜあの時京子を引き止めなかったんだ!!そうしていれば・・・」

「先輩、自分を責めないでください、私達が試練をクリアしさえすれば
京子ちゃんは解放されるんです!京子ちゃんに危害を加えることに
マーモンには利益はありません・・・私達が余計な事をしなければ大丈夫です!」

「う、うむ・・・」



拳を強く握る了平を新奈は真っ直ぐ見つめ告げると拳を下ろし力を抜く了平



「ニーナの言う通り、今のところ心配はないぞ了平」

「リボーン、ラル・・・人質ってありなの?守護者でもない京子ちゃんを――・・・」

「マーモンの試練だ俺達は口出しはしない・・・
俺は中立、リボーンも試練を与える側だ、お前達に選択の余地は無い」

「自分達で乗り越えろ、それが試練ってものだぞ」



二人の言葉に新奈は苦虫を噛み潰すように言葉を呑みマーモンに向き直る



「人質など言語道断!この正義の鉄拳で京子を救い出してくれる!!」

「じゃあ始めようか、僕の試練は"適応力"だ」

「適応力・・・?」

「一体何をさせる積りだ!?」

「どんな試練だろうと極限打ち勝って見せるぞ!!」



全員の準備が整った所でマーモンは内容の説明に移る



「ふふん・・・これからお前達に
次々と難問を与える、それを解いて行けば笹川京子に辿り着けるよ」

「謎解きか・・・」

「つまり解けなければ、京子ちゃんを助けられない・・・」

「その通り、では第一問『豚の寝ている場所はどーこだ』」



マーモンに告げられた問題に新奈と獄寺はやや拍子抜けの表情を見せる



「っ・・・豚の寝ている場所って・・・なぞなぞが試練!?」

「任せてください十代目!こんな問題オレの頭脳に掛かれば・・・」

「あ、そうそう忘れてた」

「「え?」」



新奈と獄寺のやり取りにマーモンは思い出したようにその姿をある人物へと変える



「邪魔よ隼人」

「っ・・・アネキ、ぐぁ!」

「獄寺君!」

「ス・・・スミマセン十代目・・・後は、頼みます・・・」

「今回の試練を受けるのは・・・沢田新奈、山本武、笹川了平の三名
余計なのには退場してもらわないとね、じゃあ答えの場所で待ってるよ」



倒れた獄寺を無視し、ビアンキの姿から

マーモンへとその姿を戻しながら補足を加え、その姿を消した



「オレ達でやるっきゃねーな」

「極限任せておけ、沢田!」

「はい、問題がなぞなぞなら獄寺君が居なくてもいけると思いますし」

「うむ、豚の寝ている場所は何処だァァ!!」

「!!?(本気で探してる!?)」



眺めるように手を額に添え辺りを見回す了平に新奈は口を開けて驚く



「やっぱ豚小屋じゃなないッスか?」

「!?(山本君まで!?)」

「よーし豚小屋だな!」

「そうじゃなくて・・・」



山本の言葉に反応して豚小屋を探そうとする了平達に静止を掛けるが新奈の声は届かない



「ボサッとするな沢田!豚小屋を探しに行くぞ!!」

「二人とも違いますから!豚小屋じゃなくて――!!」



駆け出す了平と山本の服を掴むが体育会系男子の力で小柄な新奈の体は引きずられた



「そういえば三丁目の渡辺さんが豚を飼ってたような・・・!」

「よーし!三丁目だぁぁあ!!」

「っ・・・――この・・・話を聞けェェ!!」



引きずられたまま足を踏ん張り腕に力で引くと二人を巻き込んで後ろへ倒れる



「って〜・・・」

「何をする沢田!!」

「コレはなぞなぞなんですよ!本当に豚小屋に行ってどうするんですか!!
兎に角答えの場所に行きますから付いて来てください」

「ニーナ三丁目はこっちだぞ」

「方向音痴か沢田!?」

「だから豚小屋じゃないって言ってるでしょ!!」



新奈は二人の手を掴み強制的に連れて行く、着いた場所は



「答えはトンネルだと?」

「・・・豚は音読みでトン、寝ているは単調にネルで解釈して"トンネル"です」

「へぇニーナ冴えてるじゃん!」

「うん!極限見直したぞ沢田!」

「・・・(小学生レベルのなぞなぞなんだけど・・・)」



二人の言葉に額に手を当て軽く落ち込む新奈



「先が思いやられるな」

「ニーナにとっちゃ、これも試練の内ってもんだ」



ラルとリボーンを背に三人はトンネルへと入る



「車が一台も通らねーな・・・」

「本当・・・どうしてかしら」

「それは僕が幻術で今だけ通行禁止にしているからさ
第一問正解おめでとう、ちょっと簡単過ぎたかな?」

「御託はイイからさっさと二問目を出せ!!」

「じゃあ実験を始めるよ」

「「?」」

「実験?」



三人が首を傾げるとマーモンから淡い光を帯びた掌サイズの鉄球が

幾つも飛び出し新奈達の周囲で不規則に弾む



「っ何!?・・・っ!」

「ニーナ!・・・これは」

「ボサッとしてると危ないよ」

「怯むな、こけおどしだ!!うぉぉお!」



避けてバランスを崩した新奈を支え山本は冷静に周りの球を見る

マーモンの言葉に了平は拳を構え球に拳を向け弾き飛ばす



「何!!?っ!!・・・くっ、京子・・・」



壁に弾かれ了平の頬に向かって勢いよく飛び了平はまともに顔面に其れを受ける

新奈も試しに一つ弾き飛ばすが

了平の時同様己に返って来た、寸でで避けるが手が出せず三人は球に翻弄される



「どうすれば・・・」

「このままじゃ、完全に足止めだぜ」

「しつこいぞ!」



学習能力の乏しい了平が再び球を勢いよく弾き飛ばし新奈達に返って来る



「いつまで遊んでんだ?」

「このままだと失格だぞ」

「っ・・・・・・ようは打ち返さなきゃ・・・・・・ぁ、山本君!」

「?・・・そうか!打ち返さずに、斬りゃぁイイんだ!」



リボーンとラルの言葉に焦る新奈は思い付いた様に山本に顔を向けると

其の声に答える様に山本は時雨金時で周囲の球を全て真っ二つに斬った



「ありがとう山本君」



新奈は安堵の息を吐くが目の前の

宙を舞う赤ん坊の拍手に睨みつけるように其方に視線を向ける



「ステージクリアおめでとう・・・
では第二問『沢田新奈の家でワニがひっくり返ってるよどーこだ』」



問題を出すとマーモンの姿は消えた



「私の家に鰐?」

「沢田がワニを飼っていたとは初耳だ」

「飼ってませんよ・・・」

「とにかくニーナん家に行ってみようぜ」

「うん」



首を捻る新奈に驚いたと言わんばかりの了平に返すと

山本の言葉に頷き三人は沢田家へ駆け出す



「(普通に鰐じゃないわよね・・・なぞなぞで考えて・・・
私の家で鰐がひっくり返ってる・・・ワニが、ひっくりかえる・・・わにわにわにわ・・・ぁ、庭!)」



家に到着すると新奈は家の中ではなく庭に入り足を止め周囲を見回す



「沢田、どうした!?」

「答え・・・ウチの庭のはずなんです」

「庭?」



了平と山本は新奈に倣い庭を見渡す



「何処なのマーモン!」



新奈が名を呼ぶと代わりに目の前に鰐が現れ新奈は一歩引いた



「ぬおぉぉぉお!!」



了平が前に駆け出し鰐の口を掴み上下へ大きく広げその口を封じる



「先輩!?」

「大丈夫だ!力比べなら任せろ!」



リビングの窓が開き奈々、ランボ、イーピンが顔を出す



「あら?ワニ?」

「母さん!?」

「ワニワニだもんね!」

「ホントォ!」

「!?これは!どういうことだ?」



鰐の姿は粘土のように崩れ其のまま小さくなり土へと還っていくようだ



「っ?・・・(一体、何)」



了平の声で視線を其方に向け新奈は其の光景に目を瞬かせる



「第二ステージクリア・・・そろそろゲームも終わりにしようか?」

「京子はどこだァァァ!!」

「並盛神社さ、でもそこまで無事辿り着けるかな?」

「・・・並盛神社」



現れたマーモンに叫ぶ了平、其の答えにマーモンの消えた空を眺め呟く新奈



「にーちゃん、今の子消えちゃったけど、ワニといいどうなってるの?」

「っ・・・えっと」



返答に困る新奈に上階から助っ人が現れた



「どうだった?ママン、オレ達のわにわにイリュージョンは」

「リボーン!」

「イリュージョン?なんだリボーンちゃん達の手品だったの?」



上階から飛び降りてきたリボーンにより

奈々を誤魔化せたことに息を吐く新奈に背後から声が掛かる



「沢田」

「ラル?」

「神社へ行け」



新奈はラルの言葉に頷き了平と山本も其の後に続き駆け出した

周囲に濃い霧が掛かるが三人は構わず駆ける、そして一つ角を曲がると

其処に目指しているはずの場所とは違う建物が建っていた



「えっ・・・?」

「並盛中に来ちまったぜ?」

「全然方向が違うではないか・・・」

「家を出てから真っ直ぐ並盛神社に来たのに・・・」

「とにかくも戻ろう!」

「「はい」」



了平の言葉に新奈と山本は頷き元来た道を引き返し霧の中を走りまた角を曲がる



「っな、また!?」

「やられたな、こりゃぁ幻覚だぜ、町中を迷路にされちまった・・・」

「じゃあ並盛神社にはどうやって・・・」

目の前の並盛中を見やり悔しげに唇を噛む新奈

「はぁ、はぁ・・・どうしよう、これじゃ堂々巡り・・・・・・」

「疲れたんだろニーナ、ちっと休めよ」

「山本君平気なの?(並中から神社まで全速力で往復したのに・・・)」

「ま、鍛えてるからな」

「日々のロードワークがモノを言うのだ」

「(私もランニングとかした方が良いのかな・・・)」



息を整え汗を拭い二人の言葉に耳を傾ける新奈



「そんな事より先を急ぐぞ!」

「まぁ先輩落ち着いて」

「落ち着いてなど居られるか!!」

「まぁまぁ、幻術ってのは焦っちまった方の負け・・・
そーいうもんなんスよ焦れば見える物も見えなくなっちまう」

「山本君・・・」



険しい表情を浮かべた山本に新奈は目を細めた



「ニーナ、目の前の物は何もかも嘘っぱちだ
でもコレだけは言えるぜ、本当の並盛町は今も変わらずここにある」



いつもの澄んだ目で見返す山本に新奈も笑顔で頷く



「よし!だったらオレに任せろ!」



理解したらしい了平は首から下げていたタオルで自身の目を覆い隠した



「どうするんですか?」

「ロードワークで走り続けた町だ、目を瞑っていても体が覚えている」

「!?」

「なるほど!」

「二人とも!オレに付いて来い!!」



了平は先陣を切って走り出す、其の速さはとても目隠しをしている様には感じさせない



「先輩!前は行き止まりです!」

「いや、ここは一本道だ!」

「っ」

「臆するな!」



了平は新奈の言葉に躊躇も見せずそのまま壁を突っ切った



「本物の並盛町・・・」

「やるッスね先輩」

「このまま極限突っ走るぞ!!」

「はい!」

「おう!」

「うおぉぉお!待ってろよ京子ォォ!!」



其のまま了平を先頭に町を驀進し並盛神社の石段を駆け上がると周囲の霧が晴れる



「着いたな・・・よし!並盛神社だ」

「お疲れ様ッス先輩」

「はぁはぁ・・・(何故二人とも息が切れないの?)・・・ぁ、京子ちゃん」

「京子!」



石段を登り切り息を整えていると新奈の視界に本堂の階段に京子の姿を見つけ駆け寄る



「大丈夫?京子ちゃん・・・」

「うん、ありがとうニーナちゃん」

「マーモン!?」



振り返った京子はマーモンの姿へと代わり宙へと舞う



「どーお?笹川京子の声にそっくりだろ?」



京子の声でそう訊ねると全員構えマーモンを見据える



「おのれ謀ったな!!」

「マーモン!本の物の京子ちゃんは何処なの!?」

「あぁ笹川京子ね・・・ショッピングを楽しんでるよ、今はお茶の時間かな?」



思い出したと言わんばかりに横に現在の京子の様子を映し出す



「え・・・?それじゃあ」

「人質と言うのはウソだったのだな!!」

「当然さ、関係無い人間を巻き込んでも、一銭にもならないからね」

「ほぉ・・・良かった・・・」



新奈はマーモンの言葉に胸を撫で下ろす



「まずは通常状態のお前達で色々試してみたかったのさ・・・
イキナリ本気のお前達相手じゃ実験にならないからね」

「私達で試す・・・?私達を、じゃないの?」



マーモンの妙な言葉に新奈は眉を寄せ訊ねるとマーモンは馬鹿にしたように笑う



「さてと、ハンデは無くしてやった・・・
最後のテストは全力の君達相手に試させてもらおうかな・・・バイパーミラージュ!!」



マーモンの其の身が輝くと轟音と共に新奈達を津波が襲う



「ぷはっ・・・これは!?」



津波から身を起こすと神社は消えまるで海の上のような感覚に戸惑う新奈



「どうなっている!!?ぶふっ!」

「幻覚ッス!落ち着いて」

「なんと・・・!これがか?」



完全に溺れていた了平は山本に言われ気を落ち着かせ起き上がる



「幻覚はサービスさ、メインディッシュはコレだよ」



マーモンは自分のおしゃぶり大の箱と手には余る指輪を取り出し其れに炎を宿した



「え・・・アレって」



新奈がマーモンの手に見たものに目を見開くと

マーモンは構わず箱を開け中から無数の海星が現れる



「匣兵器!!」

「まさかっ!」

「何でこの時代に匣兵器があるの・・・!?」



新奈と山本はまさかの匣に驚きを隠せない



「ぁ・・・じゃあ今までマーモンが使ったのも匣兵器だったのね・・・
どうして貴方が匣兵器を持っているの!?マーモン!!」

「そんな事言ってる暇あるのかい?どうやら単純な生物なら長持ちするようだね」



新奈を嘲笑いマーモンの言葉に答える様に海星は宙を動く



「さぁ、最終実験だ・・・本気で戦わないと命を落とすよ」



マーモンの言葉其の身を回転させ次の合図を待つその場で回り続ける海星



「京子ちゃんが無事なら・・・」



新奈はヘッドフォンを付け死ぬ気丸を取り出す



「遠慮はしないわ」

「よくも騙したな!極限に許さん!!」

「一丁っクリアと行きますか!」



超死ぬ気モードの新奈に続き了平は拳を山本は時雨金時を構える



「それはどうかな」



マーモンの言葉を引き金に海星は襲い掛かる



「こんなもの・・・おそるるに足りん!!・・・・・・なに!?」



襲い来る無数の海星を了平は全て砕くがその破片は集まり巨大な一つの海星となった



「くっ・・・合体して大きくなった・・・これでは切が無い!」

「だったら!・・・あいつ自身を・・・・・・っ!?」



其の様子を見た山本は刀に炎を宿しマーモンへと向かっていく・・・が其の足を急に止める



「よく見破ったね」



目の前の見えない木に触れる山本にマーモンは褒めるように告げる



「あぁ・・・生憎と経験済みでね・・・」

「なるほどね・・・そう、君達は実際には神社の境内に居る・・・むやみに動くと危険だよ!」



海星が山本に襲い掛かる後ろに後退して避ける山本とは別に

自分に近づく存在に気づきマーモンも動き相手の拳を交わす



「ニーナ!」

「マーモンは任せて・・・二人はヒトデを片っ端から倒しなさい」

「でも、合体して大きくなっちまうぜ?」

「其の方が楽よ」



マーモンから視線を外し新奈は山本達を見やり指示を出す



「!なるほど」

「極限分かった!」

「私達は力を合わせて此処まで辿り着いた・・・必ず勝つわよ」

「「おう!」」



新奈の言葉に笑みを浮かべ二人は一斉に来る海星を刀と拳で砕き互いに背を合わせる



「ニーナの言うとおりだぜ」

「背中を任せられる仲間が居る・・・最早勝利しか無い!!」

「だからお前達は嫌いだよ・・・さてと」



背中合わせに戦う二人にマーモンは重い息を吐き

新奈に向き直ると幻覚で自分の幻影を幾つも作る



『どれが本物かな?』

「そんな事は・・・関係無い」

「なんか・・・コレはヤバイかも」



マーモンに左手を向ける新奈の背後に見える柔の炎にマーモンは冷や汗を浮かべる



「ゲージシンメトリー発射スタンバイ」

「(]バーナー・・・エアー!)」



マーモンに向けて放たれた豪の炎

マーモンは吹き飛び幻術が解け落ちる所を新奈が抱きとめた



「やったな、ニーナ!・・・っ!?」

「一つに纏まったぜ、先輩!」

「おう!コレを待っていたぞ!!」



山本が最後の海星を片付け一つに纏まった海星を二人は同時に攻撃し其れを粉砕

飛び散る海星の残骸に石段を登ってくる二人の少女の悲鳴に駆け寄る二人の姿を

新奈は上から眺め安堵の息を吐きマーモンを抱えたまま本堂の屋根へと降りる



「マーモン大丈夫?」

「平気だよ・・・しかし態々僕を助けるなんてご苦労なことだね」

「ふっ・・・それほどでも・・・」



嫌味を笑顔で流し膝の上から屋根に下ろされ

可愛らしく座るマーモンの背後にリボーンとラルが現れた



「やれやれ・・・ゲームセットだね」

「ボスとしてお前は
守護者である笹川了平と山本武・・・二人の特徴を適材適所で上手く活かしてきた」

「僕の試練は適応力、残念ながらお前はクリアって事さ・・・さぁリングを出しな」



マーモンの言葉に頷き右手を差し出す新奈のリングにマーモンのおしゃぶり光が注がれる



「これで三つ・・・」



新奈は右手を包むようにリングに触れる



「おい、マーモン」

「あん?」

「オメーに聞いとくことがあるぞ」



リボーンに不機嫌ですと言わんばかり振り返る



「そうだ・・・どうしてマーモンが匣兵器を持っているの?」

「コレの事かい?」



新奈に振り返り匣を出すマーモン



「コレは最近マフィアの間で出回っているのさ、ちょっと面白い新兵器としてね・・・」

「新兵器だと?」



その言葉にラルが眉を上げる



「僕はその実験を頼まれていただけさ報酬を貰ってね」

「誰からだ」

「ヴェルデからさ」

「何!?ヴェルデ!?」

「気にいらねーな・・・」

「リボーン?」



リボーンの問いかけに対して出た名前に

ラルが過剰反応すると新奈は眉を下げリボーンを見やる


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