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標的142 最強の7人
ボンゴレ匣を開口するべく十年前へと一度戻る事になった新奈達

事の次第を京子とハルに説明するべく食堂で話し合いを行った



「十年前に戻れるの!?よかった」

「流石ニーナさんです!」

「・・・うん、戻れることは戻れるんだけど」



二人の喜びの声に新奈は言い辛そうに一度口を閉じるが



「戻れるのは一時的で…またこっちの世界に戻って来なくちゃいけないの」

「え・・・?」

「・・・その、そうしないとイロイロとまずい事が・・・
それから、過去に戻ってもコッチでの出来事を誰にも口外しないで欲しいの!
他の人達に未来の事を知られると面倒なことが起きるといけないから」

「所謂、タイムパラドックスってやつだ
一つの小さな違いが未来を大きく変えることになるからな」



新奈の言葉にビアンキの横に座ったリボーンが補足し新奈は眉を下げ京子とハルに頭を下げた



「ごめんなさい・・・二人に辛い思いをさせてしまって本当に、ごめんなさい」

「ううん」

「え?」

「謝ることなんてないよニーナちゃん」



いつもの明るい笑顔にやや影は掛かっているものの二人は新奈に笑いかけてくれた



「ニーナちゃんの事、信頼してるから!」

「ハルもです、何だかよく分かりませんけどニーナさんの事、信頼しています!」

「京子ちゃん、ハル・・・ありがとう」

「ううん、コッチこそありがとう、ニーナちゃん
ちゃんと約束守ってくれたもん『十年前の世界に帰してくれる』っていう」



新奈は目を大きく見開いた



「たとえ、またコッチに戻らなくちゃならなくてもニーナさんは立派でした」



二人の言葉に新奈の瞳に薄らと涙が浮かぶ



「どーしたニーナ、泣いてんのかァ?」

「!違うのよ・・・」



ランボの言葉に柔らかく笑い涙を拭うがランボは楽しそうに笑う



「うひゃぁひゃぁ!ニーナの泣き虫!」

「オメーは黙ってろ!」

「ニーナの泣き虫、泣き虫♪うひゃぁひゃぁ」

「つまり、沢田はよくやったという事だ、これ以上気にするな!」

「・・・はい」



獄寺の言葉にもランボは止まらず了平が腕を組み話をまとめると新奈は頷く



「一緒に行きたいけど私達は無理ね…元気でねリボーン十年前の私によろしくね」

「訳分かんねーこと言うなよ!」



リボーンを抱き上げ頬ずりするビアンキに獄寺は呆れ顔でツッコム



「ビアンキ、あの・・・」

「ラルミルチのことなら心配しないで任せて」

「ありがとう・・・」



新奈の杞憂もビアンキは汲み取りその場は解散となった










翌日、休息をとった新奈達は京子やハルを引き連れ再びメローネ基地跡地へとやって来た

もちろ地上にはノン・トゥリニセッテが放射されているため

リボーンは入江が専用の小さなコンテナを作り山本がそれを担ぎ運んだ

装置の前に来るとそのコンテナを開け皆の前に軽やかに降り立ったリボーンに入江が声を掛けた



「やぁ、リボーンさん移動中、大丈夫だった?」

「あァノン・トゥリニセッテ防止のコンテナの中でもちっときつかったがな」



入江は頷いて新奈達に向き直った



「君達も少しはゆっくり出来たかい?」



入江の言葉に新奈達は小さく頷き

草壁の隣に居る雲雀を確認すると新奈は安心したとばかりに胸を撫で下ろす



「(良かった、ヒバリさんもちゃんと来てくれて・・・)」

「正一、最終チェック終わったどこも異常ない」

「ありがと、スパナ」



一息つき視線をスパナから新奈達へと戻す入江



「くどいようだが過去に戻ってもくれぐれもコチラの時代の事は何も漏らさないように」

「(京子ちゃん達には十年前に戻っても
またコッチの世界に来なくちゃいけない事は話したけど・・・)」



入江の言葉に新奈はランボ、イーピンと共に別室で待機している京子とハルの事を按じた



「君達がコッチの世界に来てからすでに数ヶ月経っているが
実は沢田新奈さんが来てから最後の笹川了平君が来るまで十年前の世界では三日間しか経っていない」



「え?(たったの三日・・・そうだったんだ)」

「その感覚のズレに戸惑うと思うけど君達は
『皆でピクニックへ行って迷った』と口裏を合わせてくれ三日間の空白はそれで何とか誤魔化すんだ」



入江の言葉に皆無言で頷く



「アルコバレーノの試練は一週間コッチへ戻る手はずは整えておく」

「(期限は一週間・・・)」

「イイかい?脅すわけじゃないけど、一週間でクリアしなくちゃならないんだ
その期限内に七つの印を全て手に入れないと折角手に入れた印の分も無効になってしまう・・・・
そして、百蘭さんを倒すという希望も失われるんだ大きな賭けだけど君達に託すしかない!」

「(私達が・・・やるしかない!)」

「やひゃっひゃ!ランボさん登場!」

「ランボ走ル駄目!」



緊迫した空気は小さなヒットマンによって崩されランボ、イーピンに続いて京子とハルが入って来た



「待たせてすまなかったね、コレで全員揃ったじゃあ皆用意はいいかい?」

「・・・はい」



新奈は入江に返事を返し全員に目線をやり獄寺、了平が頷き返事を返す

そんな中いつも笑顔を絶やさない山本は浮かない表情をし新奈の視線に気づかない様子だ

新奈は未来に来たばかりに十年後の彼から直接聞いた訃報が頭を過った



「ぁ・・・(山本君はそれを知った上で十年前の世界に帰るんだ)山本君・・・」

「大丈夫さ、一緒に居られる時間がどれ位あるかわかんねーけど精々親孝行するぜ!」



山本は笑みを浮かべるもそれは引き攣ったモノで

新奈と獄寺は眉間に皺を寄せそれを見返し入江の声に其方に目を向けた



「さぁ、それじゃあ出発するよ・・・スパナ」

「了解」



スパナがキーボードを叩きだすと装置は中央から光出し

十年前から来たメンバーもまた光に包まれその場から消えた



「行ってしまったな」

「あぁ」

「委員長…頼みます」

「皆・・・頑張って来てくれ」










見慣れた並盛商店街に出た一行は本当にもとの時代なのかと探るように当たりを見回す歩く



「ここは・・・」

「本当に戻ってきたの?ぁ、ヒバリさん」



去っていく雲雀に声を掛けるが雲雀は新奈の言葉にも足を止めなかった



「まったく、仕方のないヤツだ」

「あれ?クロームちゃんは?」

「はひ!いつの間にかいなくなっちゃいました!」



雲雀に呆れたと腕を組む了平だがもう一人の存在の消失に京子とハルが騒ぎ新奈は溜息を吐く



「!十代目」

「っ何、獄寺君?」

「あれを見て下さい」

「え?」



獄寺の視線を辿ると其処には工事中の看板



「並盛地下ショッピングモール駐車場入り口、建設予定地・・・
それって、未来でメローネ基地があった場所?」

「まだ出来てないんスよ!」

「って事は…此処は間違いなく十年前の並盛」



新奈は顔を綻ばせクロームの事で騒いでる京子とハルを宥め

そこから其々の家へと全員で向かった、最初は一番不安大きい山本の家



「それじゃあ皆またな」

「うん、また・・・」

「大丈夫だってニーナ!じゃあな」



笑顔で背を向け家の暖簾を潜る山本にやはり新奈は心配でしょうがなかった



「(未来で死んでしまう事が分かっている親に冷静でいられるとは思えない・・・)」



不安要素を残し次に向かったのはハルの家、家を前にハルの目には涙が浮かぶ



「なんだか…凄く懐かしいです…じゃあ、ニーナさん、皆さん大変お世話になりました!」



ハルは目に浮かんだ涙を拭い、振り返ると頭を下げ門を開き中へと入っていった



「ニーナちゃん、私達も此処で」

「おぅ、またな」



ハルが家に入るのを確認すると京子と了平が進む方向を変える



「ぁ、はい…先輩、京子ちゃんを・・・よろしくお願いします」

「任せろ沢田!」

「じゃあ、またね」



京子と了平は新奈達に背を向け帰路へとついた・・・そして沢田家の門の前に着くと



「じゃあ十代目、自分は此処で・・・」

「うん、気をつけて」

「はい」



控え目に返事をし獄寺が新奈に背を向けるとランボとイーピンは大喜びで家の中へと入っていった



「帰ってきたんだ・・・本当に」



懐かしさに頬を緩ませランボとイーピンの後に続いて家に入る



「母さんただいま!」

「「ママァン!!」」

「ただいま・・・?」



いつも母の居るリビングと台所にその姿がなく新奈は首を傾げる



「ママンいないじょー」

「買い物にでも行ってるのかしら・・・」

「ニーナ姉?」

「!?フゥ太・・・吃驚した」



背後から現れた自分よりずっと視線の低いフゥ太に向き直った



「ニーナ姉こそ、どこに行ってたのさ」

「それは・・・ピクニックで迷っちゃって」

「ピクニック?三日間も?」

「ぅ、うん・・・思いのほか私、方向音痴だったみたい
あはは――・・・小さいままだ、やっぱり帰ってきたんだ私達・・・」

「え?変なニーナ姉」



懐かしむような視線にくすぐったさでも感じたのか

頬を赤めるフゥ太に誤魔化す様に母の行方を聞くと



「ぁ・・・えっと、そうだ、母さんは?」

「ママンならベランダで布団干してるよ」

「ベランダ?」



目的のベランダのある和室の前へと行きやや頬を染め戸に手を掛ける新奈



「なんだか照れくさいな・・・久しぶりに母さんの顔を見るの」



戸を開くとランボとイーピンが元気よく中へと入り奈々へと走って行く

しかも何やら未来の事を話そうとしているランボ



「ランボ!駄目でしょ」



止めようとすると奈々は満面の笑みで振り返る



「にーちゃん!お帰りなさい、ランボくん、イーピンちゃんも」

「ただいま・・・・・・!?」

「ちゃおっス」



振り返った奈々の腕の中に

いつの間にか居なくなっていたリボーンに新奈は驚き思わず声を上げた



「リボーン!いつの間に!?」

「ズルイぞ!リボーン!!」



大好きな奈々に抱かれてる憎い存在に

ランボは怒りを露わにしイーピンは羨ましげにリボーンを見る



「はいはい、さぁいらっしゃい」

「「わぁーい!」」



リボーンは奈々の腕から離れ広げられた手にランボとイーピンはその腕の中に飛び込む



「リボーンくんに聞いたわよにーちゃんピクニックっで迷っちゃったんだって?」

「え?・・・あァ、うん」

「ねェねェ!オレっちね未来にね行ってきたんだ!」

「え?みらい?」

「ランボ、駄目!」

「んでね、ピカピカのドッカーン、ピーって帰って来たの!」

「そう!良かったわね、凄ーく楽しいピクニックで」

「うぅー違うじょ!オレっちは!ぅぐ」



冗談で流してくれる母に感謝しつつこれ以上は新奈はランボの口を手で強制的に塞いだ



「どうしたの?にーちゃん」

「え?あはは・・・」

「ママン、お腹すいたぞ」

「はいはい、すぐおやつにするから皆手を洗ってらっしゃい」

「「はーい!!」」

「ランボさんねェーたこ焼き!」

「イーピンも」

「はいはい」



奈々は二人のリクエストに答えたこ焼きを作り新奈の部屋へと持ってきてくれた



「はいランボ君、イーピンちゃん、仲良く食べるのよ」

「わぁーい、たこ焼きだもんね!」

「ママン、アリガトウ!」



自分の部屋でボンゴレ匣を見つめ其れを横に置き深い溜息を吐く

その横ではランボとイーピンがたこ焼きを食べている



「(アルコバレーノの試練・・・一体どんな試練なのかしら――・・・)っ!?」



たこ焼きを食べ終えたランボが新奈の匣を手に取った



「ぬあはは!これオレっちのだもんね!」

「ランボ!駄目よ、それは――・・・」

「このアホ牛が!」

「え?」

「ぐぴゃっ離せぇアホ寺!!」



匣を手に部屋を飛び出したランボを追おう立ち上がるが

其れより早くランボは捕獲され部屋に戻ってきた獄寺に襟首を掴まれうえ匣を取り上げられて



「獄寺君!?」

「ぁ、どうも十代目」

「ありがとう・・・どうしてウチに?」



ランボと匣を受け取り訊ねると獄寺は頬を掻きながら答えた



「いやー・・・家に居てもすることが無いんで来ちまいました」

「ニーナ離せぇー!ランボさんソレで遊ぶんだもんね」

「コレは駄目なの・・・下でイーピンと遊んでて・・・イーピン、ランボの事お願いね」

「了解!」



文句を言いながらもイーピンと共に下に降りるランボを見送ると新奈の肩に獄寺の手が置かれる



「十代目!十代目がアルコバレーノの試練に合格する為の作戦会議をやりましょう」

「え?作戦会議・・・?」



目を瞬かせたこ焼きの残骸を片付けジュースを手に新奈の部屋に落ち着く二人



「まぁ、作戦会議なんて言いましてもアルコバレーノの試練なんて
心配する程の事はないですよ、十代目ならどんな試練でも絶対クリアできます!」

「・・・ありがとう」

「甘めーな」



獄寺と新奈の会話に割ってはいる馴染みの高い声・・・

部屋の入り口に居るリボーンへと二人は視線を向ける



「試練を受けるのはニーナだけじゃねーんだぞ」

「それって・・・まさか皆が試練を受けることになるの!?」



新奈の焦りの言葉にリボーンは新奈のベットへ跳躍し腰を下ろす



「あぁ・・・アルコバレーノの試練はボンゴレリングの所有者の力を試すものだ
つまり、お前ら守護者も一緒なんだ、それなりの覚悟が必要だぞ」

「それならかえって臨むところです!
匣はあるし・・・オレ達相当パワーアップしてるはずですよ!」



懐から匣出し余裕の笑みを見せる獄寺にリボーンは追い討ちを掛ける



「だから甘めーって言うんだ・・・アルコバレーノは最強の七人だぞ」

「最強の、七人・・・」

「っ!」



リボーンの言葉に息を呑む新奈と獄寺



「まず、お前等もよく知ってるコロネロ、イタリアの特殊部隊コムスビンの生え抜きで
狙撃と銃火器の扱いが得意なうえ、空手やサンボの接近戦が得意だ
あのスカルでさえ・・・超一流のスタントマンで
『地獄からかえった男スカル』『不死身のスカル』って呼ばれてるんだ
今じゃカルカッサファミリーの軍師をやってる」

「あの一見間抜けに見えるスカルでさえ・・・そんな」

「ま、それでもオレのパシリだけどな」



マフィアランドであった赤ん坊を思い出し口にした

新奈の言葉はいつもの明るい声に宥められ多少肩のちからも抜ける



「よ、ニーナ」

「山本君」



思わぬ人物の登場に三人の視線は部屋の入り口に向く



「なんだ獄寺、お前も来てたのか?」

「ったりめーだ!オレは十代目の右腕だからな」

「オレもニーナの試練の事が気になっちまってな」



山本が新奈の前に腰を下ろすとリボーンは再び口を開いた



「山本も揃って丁度いい・・・話を続けるぞ」



新奈達の視線は再びリボーンへと向けられる



「次はヴァリアー独立暗殺部隊に所属している幻術使いのマーモン本当の名はバイパーだ
あいつは元々超一級のエスパーだその力にさらに幻術が加わる
幻術と戦う厄介さは山本が身を持った体験したはずだ・・・前は骸が今度はどうなるか分かんねー
まだ他に三人いるぞ、まずは武道の達人風 フォン その実力は中国武道大会で三年連続優勝を果たすほどだ
次はマッドサイエンティストのヴェルデ、科学者としての知識と技術はこの時代トップクラスだ
最後は不思議な直感力を持つルーチェ(今、大空のアルコバレーノは欠番だがな)
分かったか、全員一筋縄じゃいかねー相手だ、それぞれに強力な必殺技も持ってるしな」

「「「っ!?」」」



最後の一言に三人は息を呑む



「必殺技って?」

「そこまでは教えられねーな」

「え・・・」

「忘れんな、オレもアルコバレーノのひとりだ」



新奈の質問に答えることなく部屋の外へと姿を消すリボーン



「っリボーン!・・・・・・」

「ニーナ、心配しても始まんねーよ、オレ達みんなで力を合わせればなんとかなるって!
今までだってそうやって切り抜けて来ただろ!」

「てっテメー・・・オレが言いたかったことを!」



不安の色を見せる新奈に山本は笑顔を向けると獄寺は悔しげに拳を握る



「獄寺君・・・山本君・・・」

「必ずクリアしてやりましょう十代目!未来の運命はオレ達に掛かってるんです!」

「あぁ!」

「うん!」



二人の友人の笑顔に新奈も笑顔で答える、その様子を小さな影が屋根から窺っていた・・・



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