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標的86 最恐の家庭教師
ランボ脱走騒動から一週間・・・

「「「ごちそうさまー!!」」」

「今日も美味かったぞ」

「よかったです」



全員のご馳走様に続いたリボーンの言葉にハルは満面の笑みで礼を述べる



「今日はハルとイーピンが洗い物の当番ね、頼んだわよ」

「オ任セネ!」

「じゃあ私、病室の山本君と獄寺君の食器下げてくるね」

「お願いします」



女性陣は役割がキチンとしているようで其々の仕事に取り掛かる



「フゥ太〜遊んで」

「いいけど、髪がモジャモジャに伸びたね、切ってあげようか?」

「にゃ!?イヤだもんね!!」



ランボの相手をするフゥ太そんな光景に頬を緩め新奈は席を立ち背伸びをする



「さーて、修業行こうかな」

「毎日ご苦労様です、ニーナさん! 愛妻弁当作りましょうか?」



頬を染めて申し出るハルに、新奈は頬を引き攣らせ其れを断った



「い、いいわよ・・・エレベーター降りるだけだし(愛妻弁当って・・・)」



食堂からエレベーターで目的階を押し指貫グローブを着ける新奈



「(ラル・ミルチ・・・今日から新しい修行だって言ってたけどなにするんだろう・・・
超モードでの炎の強化特訓はもうイイって事なのかなァ
前回散々文句言ってのに・・・)とにかく殴るのは勘弁して欲しいな・・・」



散々打たれた頬の痛みを思い出し軽く擦り目的階に付いた事で開かれた扉の向こうに見知った二人に新奈は目を瞬いた



「よっ!」

「おはよーございます、十代目!!」

「山本君!獄寺君!」

「今日からオレ達も修業復帰するぜ」

「怪我はもういいの?」

「完璧っス!!体がなまって困る程です!」

「そう、良かった」



二人の元気な姿に新奈の顔に笑みがこぼれる



「三人揃ったな」

「予告通り、本日より新しい修業"強襲用個別強化プログラム"を開始する」



リボーンとラルへと視線を向ける三人



「キョウシュウって何だ?」

「敵に襲撃を掛けるってことだな」



意味が分からなかったらしい山本が訊ねるとリボーンが丁寧に返してくれた



「この十日間ニーナがラル・ミルチに一対一で教えられていたように
一人に一人ずつ家庭教師をつけて修行する・・・リング戦の時と同じだな」



「!じゃあ私にはリボーンが?」

「いや、オレが鍛えるのは、山本だぞ」

「え・・・オレ?」

「リボーンが、山本君を?えぇぇ・・・大丈夫なの?(不安・・・)」

「あはは、よろしくな!」



まさかの家庭教師に目を瞬かせる山本だが何時もの調子でリボーンに笑みを向ける

山本にはリボーンという凄腕が付いた事で獄寺は期待に胸膨らませ目を輝かせる



「じゃあオレには誰が!?」

「隼人の担当は私よ」

「っ・・・この声は・・・」

「ビ、ビアンキ!?」



振り返れば其処には獄寺の姉ビアンキが立って居た当然其の姿を見た獄寺は



「ふげぇ!!」

「獄寺君!」

「じょ、冗談っスよね・・・」

「やはり姉弟、私も嵐属性の波動が一番強いわ」



何時もの如く倒れ何とか踏みとどまり気を持たせている獄寺

見えてはいないがビアンキはリングに嵐の炎を灯して見せた



「修業が無事に終わったら貴方にある物を授けるわ・・・お父様からよ」

「(親父!?)」



ビアンキの言葉に反応し思わず顔を上げた獄寺はビアンキの顔を見てしまい奇声を上げ倒れてしまう



「うがっ!ふごっ〜〜」

「獄寺君・・・リボーン、ビアンキと獄寺君は無理よ!!中止した方がいいって!!」

「お前は自分の修業に専念しやがれ」



組み合わせに無理があると抗議した新奈にリボーンは銃口を向け言葉と共に銃弾を放った

額と拳に灯った新奈の炎の勢いに獄寺と山本は目を見開く



「すげぇ十代目!!また迫力が増してる!!」

「前とはまるで別人だな、また随分を差をつけられたぜ」



驚く二人を飛び越えラルの前に立つ新奈



「始めよう、ラル・ミルチ」

「いや、俺はお前の指導を降りる」



ラルから放たれた言葉に新奈の小さく動揺する



「お前は俺の思い描くレベルにまるで達していない
短時間ではこれ以上のレベルアップは望めないと判断した」

「だが実際にここまで――・・・っ!!?」



凄まじいスピードで新奈に襲い掛かってきた何かを交わすが追ってきた其れを両手で受け止め動いを止める新奈



「ニーナ!」

「十代目!!」

「・・・っ(これは・・・雲の炎)」

「気を抜けば死ぬよ」



其の声に其方に視線を向ければ攻撃の主が其処に悠然と立っていた



「っヒバ――・・・!!」

「君の才能を、こじ開ける」



雲雀の攻撃を止めるのに手一杯で新奈はその場を動けずにいた



「うわっ・・・やってる!」

「やっぱり花火だもんね!!」



全員が新奈に視線を向ける中、フゥ太がランボを連れトレーニングルームへと入って来た

気に留めるものは其処には居ない



「っ・・・!」

「ニーナの奴、手こずってるみてーだな」

「フゥ太見て見て!花火!花火!すっげぇ!!」

「う、うん・・・(将来の事を自分で考えなくなるからって
この時代の情報を教えすぎるのはリボーンに禁止されてるけど・・・)
実はねランボ、三年前までランボの保育係は僕だったんだよ」

「だははは!たまや〜!!ぽちや〜!!」

「何それ・・・"たま"に"ぽち"って・・・って聞いてないか・・・」

「すっごーい!ホイホイ!」



雲雀の匣兵器に押され腕を突っ張れなくなってきた新奈に獄寺と山本の顔が険しくなる



「!?くっ・・・」

「十代目がおされてる!?」

「やべーんじゃねーのか!?」

「にょほほぉ〜きれ〜」

「子供のお前を戦いに巻き込む事にニーナ姉は大反対だったけどそうも言っていられないんだ」

「んぁ?」

「僕が自己満足で勝手に説明するから・・・この光は花火みたいに綺麗だどこれは花火じゃない・・・
これは危ない、くらいは覚えようね?ランボだってボンゴレの一角を担う雷の守護者なんだから」



新奈は拳の炎で攻撃を押し返し持ち直すが笑みを零す獄寺山本と違い雲雀の口からは辛辣な言葉が出た



「やった!」

「すげー!押し返した!」

「ふんっ赤ん坊から聞いた通りだ・・・僕の知るこの時代の君には程遠いね」

「なにっ!?」

「程遠いってアレでか!?」



雲雀の言葉にいきり立つ獄寺とは違い山本は驚き目を見張る



「てっめぇ・・・」

「黙って見ていろ」



ラルの一声に獄寺は一つ舌打ちし山本共に再び新奈へと視線を向けた



「(このままでは埒が明かない・・・)」



新奈は瞳を閉じ一度呼吸を整えるすると炎の大きさが不規則に変化し

瞳を開くと共に目の目の匣兵器が炎諸共氷に包まれた



「(死ぬ気の零地点突破・初代エディション)」

「ぁ、花火こおちゃった!!」

「すげっ!」

「さすが十代目!!」

「いいや、まだだ!!」



ランボ、山本、獄寺に続いたラルと共に動く紫色の物体に新奈は目を見張る



「これは・・・っ!?」

「紫色の雲・・・増殖しているのか!?」



新奈の周りを囲んでいく雲に手を翳し凍らせていくが

其れで雲の動きを制限する事は出来ない



「ニーナ姉・・・」

「速い・・・追いつかない!」



新奈の防御を上回るスピードでついに雲が

一部の隙もなく球体に新奈を閉じ込めたそれと同時に雲雀の指に嵌めたリングが粉々に割れた

新奈を閉じ込めた針に覆われた球体は壁から針が抜け地面に叩きつけられるように落ち



「ニーナ・・・!」

「十代目!!」

「何あれ?」

「ボールになちゃった!」



山本、獄寺、フゥ太は驚きに声を上げランボも好奇な目で球体を眺める



「球針態・・・」

「「!!?」」

「絶対的遮断力を持った雲の炎を混合した、密閉球体
これを破壊する事は、彼女の腕力でも炎でも不可能だ」

「なん、だと・・・」



雲雀の言葉に唖然とする一同



「(駄目・・・まるで手応えがない・・・)」



新奈は炎を使い突破を試みるが傷一つ付かない

雲雀は球針態に歩み寄りそれに手を添え新奈へと警告の意味を込めてか笑みを浮かべて静かに告げる



「密閉された内部の酸素量は限られている、早く脱出しないと・・・死ぬよ」

「っ!!?」



其の言葉に新奈は目を大きく見開き頬には冷や汗が伝う



「ふざけんな!!てめーら久しぶりに現れたと思えば、十代目を殺す気か!?出しやがれ!!」

「弱者が土に帰るのは当然の事さ・・・第一、沢田新奈を殺す理由があっても生かしておく理由が僕には無い」

「っ!?ヒバリ!ニーナはお前の彼女だろ!?それも生かす理由にはならねーってのか!!?」

「・・・知らないね、彼女は僕と共に歩いてきた新奈じゃない・・・其れに居ない人間の詮索をしても仕方ないだろ」

「ヒバリ・・・」

「(ヒバリ・・・やっぱコイツ味方じゃねェ・・・)」



其々無言の睨み合いを続ける中一際高い明るい声が其れを止めた



「んじゃ、オレ達も修業始めるか」

「ま、待って下さい!リボーンさん!!このままじゃ十代目が!!」

「ヒバリはやるっつったらやるぜ・・・」

「分かってるぞ、だからこそヒバリなんだ」



同時に振り返った二人にリボーンは何時もの様に慌てる事無く二人を論する



「歴代ボスが超えて来たボンゴレの試練には、混じりけの無い"本当の殺意"だからな」

「・・・ボンゴレの」「試練・・・」

「ふっ・・・」



試練の単語に二人が黙った事に雲雀は鼻で笑う切が付いたとビアンキは獄寺の顔を自分に向け目を合わせた



「さぁ」

「近けェっ!!」

「私達も入江正一を倒す為にレッスンを始めましょ」

「ふげがご!!」

「ご、獄寺!!」



息が掛かるほどの至近距離で姉の顔を見た為獄寺は意識を飛ばし痙攣するように床に倒れ伏した

慌てて獄寺に近づく山本だがビアンキとリボーンは差して気にも留めず己のペースト崩さない



「しょうがない子ね」

「山本、オレは先に行っているぞ」

「なっ!?」

「地下10階に来いよ」

「おい小僧!!」



リボーンはエレベーターへと歩き出し山本声を交わす



「私達も別室に移動よ」



気絶した獄寺を抱えビアンキも移動し、山本も後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした










体当たりでもビクともしない球針態に新奈は暗闇の中焦っていた



「はぁ、はぁ、はぁ・・・(如何したら良いの・・・どうしたら)・・・はぁ!」



両手の炎を断面にぶつけるも球針態が大きく揺れるだけで傷などの外的変化は見られない



「(そろそろ酸素が切れる時間だ・・・)」

「ふぁー・・・」



腕時計を見ながら草壁は横目で雲雀を見るが雲雀はヒバードを指にとめ大きく欠伸をしていた



「(恭さん・・・このままでは沢田さんが・・・本当に良いんですか?)」



草壁の心配の念も雲雀には何処吹く風ヒバードと戯れ待っていた



「(酸素が・・・もう、持たない・・・次が最後の一撃・・・・・・こうなれば一か八か!)」



息が切れ呼吸が浅くなり球針態にを支えに付いた膝を立たせ右拳を構え力を込める新奈



「(最大の炎を・・・一点に集中させる)」



球針態に渾身の力を込めて拳を放った、其の衝撃音は外まで響く



「(ニーナ姉、頑張れ・・・っ、外は雨か・・・)」



ランボのモサモサの頭に顎を乗せ不安げに見つめるフゥ太が何かに気が付いたように天井を仰ぎ見る



「(駄目・・・ビクともしない・・・けど微かに壁の装甲が溶かされた部分がある・・・
リング周辺・・・つまりコイツの弱点はより純度の高い炎
でも、一体どうすれば・・・この球針態を打ち破るだけの巨大な高純度の炎を出せるの・・・)」



渾身の力を込めた新奈の攻撃でも破壊できなかった

其の箇所に手を触れると今までになかった凹凸に新奈は

球針態が高純度の炎に弱い事を理解するも打開策が思いつかず其の場に腰を下ろす



「(こんな所で、死ぬワケには・・・どうすればイイ・・・?まだ、覚悟が足りない、の?)」



呼吸が先程より浅くなり意識が朦朧とし始める新奈・・・額にと持った炎までも消えてしまい

その場に伏してしまった、右手のリングを見つめそれでも思考を止めない



「(何が望みなの・・・これ以上、私に・・・
私に何を・・・足りないの?足りないなら教えて・・・なに、が・・・)」



意識を失いそうになる其の瞬間

ボンゴレリングが光り輝き僅かに身を起こした新奈の額に一筋の光が伸びる



「っ?」

《殺れ!殺れ!!殺れ!!!》

「っ!!?」

『どうか命だけは助けてくれ!!俺が死んだら子供が、妻が――・・・ぐぁぁぁ!!!」



知らない人が、命乞いをする姿が見える。しかし、次の瞬間。

聞き知らぬ声・・・見知らぬ者の命乞いの姿・・・飛び散る鮮血、多くの悲鳴、炎に染まる館



「(なに・・・・・・コレ?頭に直接流れ込んで来る)」

《報復せよ》《嵌ろ》《根絶やせ》

「(何!?・・・何なのコレ!!?)」

「ボンゴレの・・・」

「っ!!?」

「ボンゴレの業」



今まで新奈一人しかいなかった其の空間に複数人炎の仮面目元を隠したスーツの男達に囲まれていた



「抹殺・復讐・裏切り・飽くなき権力の追求・・・マフィアボンゴレの歴史だ」

「大空のボンゴレリングを持つ者よ、貴様に覚悟はあろうな」

「えっ!?」



新奈は周りを囲む者達に圧倒され見返しのみである



「この業を、引き継ぐ覚悟が」

『助けてください!!』

『ギャアアア!!』

『惨い・・・むごすぎる』

『父をかえせェェ!』

『息子を返せ!!』

『ぐわぁ!!目がぁぁぁ!!』

「嫌・・・やめて・・・・・・」



残酷な光景が新奈の頭の中を支配していき新奈の瞳か大量の涙が流れ落ちる



「これがボンゴレの背負いし業・・・」

「これがボンゴレの歴史」

「真実から目を逸らすな!!」

「真実を受け入れろ!」

「覚悟はあろうな!」

「この業を引き継ぐ覚悟はあろうな!!」



目を閉じても頭に直接流れ込んでくる残酷なまでの紅い世界・・・耳を塞いでも聞こえる残酷な言葉・・・



「や、やめて・・・やめてぇぇぇ!!!」



新奈は懇願するかのように大きな声で泣き叫んだ

其の声に雲雀の顔に笑みが浮かびラルの顔に焦りの色が濃くなる



「酸素量は限界です、精神的にも肉体的にも危険な状態だ・・・」

「これでは無駄死に以外の何ものでもない!ただちに修業を中止すべきだ!!」



草壁の言葉にラルは修行の中断を雲雀に進言するが雲雀は其れを冷たく見返す



「君だろ?手にリングをつけて戦うよう、沢田新奈に指示したのは」

「!」

「それは正しい、そして君の求める沢田新奈になれるかどうか・・・彼女は極限状態の中、器を試されているんだ」



雲雀の言葉にラルは歯噛みする



「最も、この若さでこの試練を受けた歴代ボンゴレはいないそうだが」

「今の沢田では無理だ!っ、リボーン!?」



ラルは同志の姿に驚きの声を上げるがリボーンは球針態を其の大きな黒曜石の様な瞳で静かに見つめた



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