[携帯モード] [URL送信]
標的84〜85 アジトはどこだ
標的84 遠すぎる家路


怪我で医務室から出られずトレーニング試みて空振りしている二人を差し置き

新奈はラル、リボーンと共にトレーニングルームに来ていた



「山本と獄寺があーだからと言って、時間を無駄に過ごすつもりは無い」

「っはい、お願いします」

「気合が足んねーぞニーナ」

「え?」



新奈の緊張を感じ取ったリボーンは新奈を見つめ口を開く



「どーせつまらねープレッシャーでも感じてるんだろ
"短い間にちゃんと強く成れるのかどうか"ってな」

「うっ・・・否定は出来ないわ・・・」



自分の心情を言い当てられ眉を下げる新奈に



「くだらん事を考えてないでさっさと始めろ」

「はいっ!」



ラルは腕を組んだまま促すと新奈は飛び上がり

リボーンから離れるリボーンは口角を上げ其れを眺める










「まだまだ集中が足りん」

「すみません・・・」



一区切り付けトレーニングルームから三人並んで食堂へ向かって向かっていると

五月蝿い仔牛の声が耳に届き視線を其方に向ける



「京子のケチケチ!」

「「ん?」」

「ランボさんつまんないんだもんね!!」

「ランボ君お願いだから・・・」



食堂の扉を開ければ京子の前で駄々をこねるランボの姿、イーピンとハルの姿は無い



「どうしたの?京子ちゃん」

「っ、ニーナちゃん!」

「ニーナ!!京子が遊んでくんない」



ランボは京子から新奈に飛び込み新奈は其れを難なく受け止める



「京子ちゃん達は忙しいのよ・・・イーピンと遊んでなさい」

「いないもん!!」

「え?居ない?」



ランボの言葉に新奈は目を見張り京子に視線を向けるが

京子は其の視線から逃げるように下を向くとその視界に黒い影が入り込む



「何があった・・・」

「京子ちゃん?」

「・・・――帰ってこないの」



リボーン、新奈に訊ねられ京子は静かに口を開いた



「まさか外に出たのか!?」



ラルが声を荒げると京子の目から涙が浮かぶ



「イーピンちゃんが病気になってハルちゃんがお医者さんに!」










食堂から会議室に移り、フゥ太、ジャンニーニを呼び六人で緊急会議が始まった



「一度ならず二度までも・・・一体何を考えているんだ!」

「ごめんなさい・・・」



怒り心頭のラルに京子は頭が上がらず下を向いたまま謝る



「申し訳ございません、私がもっと早くハッチの修理を終わらせていれば――・・・」

「いいえ、私がジャンニーニさんを騙して・・・」

「京子ちゃん・・・」



ジャンニーニの言葉を遮り自分が悪いのだと歩みだす京子



「分かってたのに・・・どんな事をしても止めなきゃいけなかったのに・・・!」

「大丈夫よ、必ず私が連れ戻してくるから」



以前の恐怖を思い出したのか、涙を堪えきれなくなる京子に新奈は宥める様に優しく声を掛ける



「簡単に言うが事態は深刻だぞ」



ラルは大きなスクリーンに出された並盛の地図に視線を向ける



「病院の場所は此処だが、恐らく・・・」

「あぁ、帰って来ねーんだ、敵に追われてると見てまず間違いねーだろうな」

「問題は何処へ逃げたか、だね」

「分からない以上、探すしか無いわ・・・一分一秒が
取り返しのつかない事態を巻き起こすかもしれない・・・私達が動かないと仕方が無いわ」



新奈の言葉に全員が顔を見合わせ首肯した



「ビアンキが付いてんだ・・・大体の行き場所なら検討が付く」

「何!?」

「本当?リボーン」

「あぁ、ジャンニーニ地図を出してくれ」



ラルと新奈はリボーンの言葉に過剰に反応しリボーンを中心に作戦が練られていった










「トドメだ・・・脳ミソまで痺れる一刺しを味わいな!」

「待ちなさい」



雷の炎を纏った蜂で自信の周囲を囲っているブラックスペルの男が

今まさに倒れ動けないビアンキに止めをさそうとした瞬間

眼前の廃墟の上に橙の炎を額に灯した少女が視界に入った



「っ!?貴様は・・・!!?」

「ニーナさん!」

「っ・・・どうして此処が」

「リボーンよ・・・ビアンキならアジトから一番離れたこの辺りを選ぶだろうって・・・愛されてるわね、ビアンキ」



辛うじて身を起こすビアンキに優しい笑みを向ければ新奈に同じように笑みを反すビアンキ

男に視線を向け新奈はリングからマモンチェーンを外し其れに炎を灯すと拳に炎が灯り額の炎も更に大きくなった



「っ!ククッ随分デカイ獲物が飛び込んで来たものだな、俺はついてるぜ・・・エレトゥリコ・ホーネット!!」



男の掛け声と共に新奈に襲い掛かって来た蜂の群れは次の瞬間美しい氷の中へと其の姿を移し地面へと落ちていった



「なっ何!!?」



新奈は蜂に気を取られた男の隙を付き其の頬に己の拳を力の限り打ち込み男は気を失った

其れを確認した新奈は自身のリングに素早くチェーンを巻きつけビアンキに駆け寄る



「ビアンキ!」

「大丈夫よ・・・」

「ニーナさーん!!あだっ!」



新奈の元に飛び込んできたハルに軽く拳を突き出し其の額に軽く当てた新奈はビアンキを起こし肩を貸す



「私、リングのチェーン一度取っちゃったから直ぐ移動しなくちゃ・・・動ける?」

「平気・・・私もチェーン取ったから」



ビアンキもまた自分のリングにチェーンを巻き直し新奈の肩に体重を掛ける



「行くわよハル」

「・・・はい」



足早にその場を去りアジトへと帰路に着く

其の道すがら二人の後ろを数歩離れて歩く眠ったイーピンを背負うハルに新奈は声を掛けた



「これからは勝手にこんな危険な真似はしないのよ、ハル」

「・・・はい、反省してます」

「っ!?ハル・・・?」



新奈の腕にしがみ付くハル、其の為ビアンキと新奈の足は動きを止める



「ニーナさんが・・・ニーナさんが助けに来てくれると信じていました」

「そう・・・帰ろう、ハル・・・皆待ってるよ!」

「はい!」



ハルは新奈に引っ付いたままアジトへと帰還したのであった

標的85 アジトはどこだ

其の翌日また新たな事件が幕を開けようとしていた



「ニーナ準備はイイか?」

「いくぞ」



リボーンの声に深く息を吸いリングに炎を灯す事で応える新奈

其れに頷いたリボーンを確認したラルは匣を取り出し百足の匣兵器を新奈へと向けた

自分の周囲を取り囲んだ其れを掴む新奈



「もっと集中しろ!!其れぐらいの攻撃にフラつくんじゃない!!」



百足による炎の吸収に顔を顰めるとラルの激昂が飛ぶ

百足を払いのけ宙へと逃れる新奈に其の尾が勢いよく振り下ろされ

新奈は床へと逆戻り辛うじて防いだもののラルは不満らしい



「まだ集中力が足りない!」

「っ・・・」

「ラルの攻撃はまだまだ本気じゃねー・・・もっと死ぬ気の炎の錬度を上げねーと怪我じゃすまねーからな」



立ち上がりリボーンに頷くがラルの言葉に息を詰める



「今のままミルフィオーレと戦ったらお前は死ぬ」

「っ!?」

「皆を護る為に強くなるんだろニーナ、これくらいでへこたれんじゃねェ!」



リボーンの言葉に再び頷き真っ直ぐラルを見返す新奈にラルは目を鋭くし再び匣に炎を注ぐ



「ラル、もう一度お願い」

「よし、行くぞ!」



修行中にアジト内の警報が鳴り響き新奈とラルのは動きを止め新奈の額から炎が消えた



「何?」

「何かあったみてーだな」

「・・・行って来い沢田」

「はい!」



そして元凶の元である出入り口の一つCハッチへと向かうと




「出せ出せェェオレっちをココから出すんだもんね!!」



天井からの網に釣るされている仔牛・・・ランボの姿に新奈、リボーンは足を止める



「ランボ?何したの?」

「何もやってないもんね!突然これが降ってきたんだもんね!!」

「ウソ付け」



新奈とリボーンは呆れた様子でランボを眺める



「はひ!?ランボちゃんどうしたんですか!?」

「ニーナちゃん早く出してあげて!」

「出して上げようにも届かないよ・・・」



後から来たハルと京子は心配した様子でランボを按じていたが

新奈は二人の気を解す事そうにない天井近くに吊るされているランボを溜息混じりに見上げた



「ランボ!」

「あらら、やっぱりトラップに触ったのですね」



ハル達から遅れて到着したフゥ太とジャンニーニ

どうやら事情を把握しているらしく新奈は其方に訊ねた



「トラップって?」

「はい、勝手にハッチを出入りする者を捕らえるボンゴレ最新式の罠です」

「ランボ!勝手に外に出ようとしたのね!?ダメだって言ったでしょ!」

「ランボちゃんを早く助けてください」

「はい、しばしお待ちを」



ハルに促され懐からリモコンを取り出したジャンニーニが操作すると

天井から鋏を持ったアームが現れ網を切りランボを床に落とした



「(ボンゴレの最新式のトラップが網とハサミで良いの・・・)ランボ、どうして外に出ようとしたの!?」

「だってここに居るの飽きちゃったんだもん・・・外に出たい!ペロペロキャンディー食べたい!!」

「ランボ我儘!」

「我慢できないんだもんね!!」



新奈とイーピンの声を蹴散らしその場で両手足をバタつかせごねだすランボ



「ほらランボ君飴玉ならあるよ、コレで我慢して・・・はい」

「あーん・・・が・ま・ん〜甘々・・・」



京子の差し出した飴玉を舐め治まったかと思われたが甘くなかった



「ん〜やっぱり我慢できないもんねェ!!でかいペロペロキャンディーが舐めたいよォォ!!」

「ランボ君・・・」

「何とかならないんですか?」

「うーん・・・疲労回復に飴は用意してありましたがペロペロキャンディーまでは・・・」



ジャンニーニとハルのやり取りが耳に入ったらしくより一層激しく泣き喚くランボに頭を抱える一同

新奈はフゥ太に促されリボーンと共に修行に戻ったが身が入らず午前の修行は早々に切が付いた

リボーンと共に会議室の前を通るとジャンニーニが画面と向き合っていたので声を掛ける



「ジャンニーニ、お昼一緒に行きませんか?」

「申し訳ありません、今ちょっと手が離せませんので」

「あれ?フゥ太は?」

「ちょっと外で配線トラブルがありまして修復に行ってもらってます」

「え?フゥ太一人で・・・?」



ジャンニーニと一緒に居るだろうフゥ太がまさかの外に居るとの事で

不安げに訊ねる新奈にリボーンが余裕の笑みを浮かべる



「問題ねーだろ、フゥ太はこの時代の人間だ、お前達より状況判断は的確だぞ」

「それもそうね・・・」



リボーンの言葉に納得し頷くと背後から京子、ハルイーピンが駆け寄ってきた



「あ、ニーナちゃん」

「?どうしたの?」

「ランボ君見なかった?」

「え?見てないわよ?」

「ランボちゃん、ご飯の時間になのに何処にも居ないんです」

「ランボ行方不明!」

「え・・・またこのパターン・・・」



未来に来てから何度目かのパターンに新奈は眉を寄せる



「あ、フゥ太さんの方修理が終わったようです」



ジャンニーニの声に会議室を振り返る画面に映ったフゥ太が何かを掲げたので其れに首を傾げた



「?フゥ太何か持って・・・」

「ん・・・『ランボが捕まった』?」

「え?」

「ランボ君が?」

「捕まった!?」


リボーンが読み上げるとハル、京子、新奈が声に出して状況把握すると新奈の行動は其処から早かった



「リボーン、私フゥ太と合流して探してくる」

「あぁ、気をつけろよ」

「うん、ジャンニーニ、ハッチお願い!」

「はい、Dハッチがフゥ太さんの場所に一番近いです!」

「ありがとう!」



其処から駆け出し新奈はフゥ太の元へと向かった



「ぁ、フゥ太」

「ニーナ姉・・・ごめん僕が居たのに」

「気にしないで、ランボは?」

「敵と一緒に手榴弾で飛んで行っちゃって・・・」

「飛んでいったって・・・どっち?」

「あっち、並盛公園の方!」

「とにかく行ってみましょ」

「うん!」



並盛商店街でフゥ太と合流した新奈は簡単に状況を説明してもらいながら並盛公園へと走った



「あ、ランボ達此処に落ちたのね・・・」



砂場の明らかに人が落ちた痕跡に目を向けフゥ太はある物を見つける



「ニーナ姉!・・・ランボの飴玉・・・」

「あっちに続いてる・・・」

「追っていけば」

「うん、行ってみましょう」



公園から神社から抜け穴市街地を抜け河原へと飴玉を辿り着いた



「ランボ!!」

「ニーナ!フゥ太!!」



男に首根っこを掴まれているランボを発見した新奈は声を張り上げると男とランボは新奈達に視線を向けた



「早速来たか」

「此れのお陰でランボが何処に行ったか分かったんだ」



ランボの飴玉を手にしたフゥ太を気にせず男は名乗りを上げた



「俺はミルフィオーレファミリのジャッジョーロ!
こいつを酷い目にあわせたくなかったらアジトの場所を言え!!」

「ミルフィオーレファミリーのジョーロ?」

「ジャッジョーロだ!!どいつもこいつもふざけやがって・・・こうなったら究極の予定変更だ!」



新奈が男の名を反復すると何かきに触ったらしく男は匣を開匣し巨大な雲の炎の竜巻を起こした



「くらえ!バイオレットトルナァダ!!」

「ニーナ姉!」

「下がってフゥ太」



新奈は懐から死ぬ気丸を取り出し口に放り込み其れを呑む



「これで囮が三人になったぞ!・・・っなに!?」



竜巻に飲み込まれたかの様に見えた新奈達だったが新奈は竜巻を片手で抑えていた



「いや、まだまだだ!雲属性の特徴は増殖!!」



拡大する竜巻に新奈は押される事なく己の炎を大きくし押し返す



「馬鹿な、俺のバイオレットトルナァダが押されている!?
っ・・・抵抗をやめろ!でないとコイツが酷い目にあうぞ!!」

「ぎぃゃぁぁ!助けてぇぇ!!」

「っ!」

「卑怯だぞ!!」



勝ち目が無いと悟った男は右手に掴んだランボを掲げて新奈に抵抗を止める様促す

新奈とフゥ太は苦虫か噛み潰した様に男を睨みつけるが二人の反応に男は勝ち誇った笑みを浮かべる



「ねぇ・・・」



背後からの声に男は慌てて振り返ると其処にはトンファーに炎を纏わせ構えた雲雀が居た



「今日彼方此方で風紀を乱していたのは君だろ?咬み殺す・・・」

「ランボ!よかった・・・」



そう言ってトンファーの一振りで男は地に伏し

其の手を離れたランボはフゥ太の元まで飛んできてフゥ太は其れを見事に捕まえた

男が倒れた事で新奈達を襲っていた竜巻は消え新奈も額の炎を消し助けに入ってくれた雲雀に笑みを向けるが・・・



「ヒバリさん!助けに来てくれたんですか?」

「雲の属性のリング、貰うよ・・・」

「(リング目的!!?)」



男からリングだけ奪い取り去っていった雲雀に肩を震わせ視線を落とす新奈にフゥ太は恐る恐る声を掛けると



「・・・あの、ニーナ姉?大丈夫?」

「フゥ太、さっさと帰りましょう」



無駄に綺麗な笑みで振り向かれ其の空気にフゥ太は一歩下がり何かを感じとったのかランボもフゥ太にしがみ付く



「う、うん・・・」

「フゥ太ァ〜ニーナがコワイ・・・」

「しぃ〜ランボ黙って!」



こうしてランボ脱走事件はあっけなく幕を閉じたのであった



[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!