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標的80〜82 最強の守護者
標的80 不協和音



大きな音と共に目の前の大きなモニターに移るS7Sの文字



「何これ!?」

「救難信号をキャッチ!!味方からのSOSです!!」

「味方って…!?」

「ボンゴレ内で取り決めた秘密信号なんです」



ジャンニーニはパソコンを操作し新奈とリボーンは其れを見守る



「信号の発信源をキャッチしました!モニターに映しますよ!!」



ジャンニーニの言葉に目の前の画面が切り替わり



「あ、あれっはヒバリさんの・・・ヒバード!!」

「発信機を取り付けられてんだな」



其処に映し出されたのは見覚えのある丸々とした黄色い鳥



「ん?まずいですよ、信号が弱まってます!」

「っ!?」

「旋回するぞ」

「固定カメラでは追いきれません!モニターをレーダーの映像に切り替えます」



ヒバードを映していたモニターは其の場所を簡単に示すレーダーへと切り替えられた



「何があった!?」

「何スか、今の警報は!?」



先ほど鳴り響いた警報を聞き付けラル、獄寺、山本が駆け込んできた



「ヒバリさんの鳥からSOSが・・・」

「何だと!?」

「あの、ヒバードとかって言う・・・」



駆け込んできた三人に新奈は顔を向け答える



「場所は?」

「現在七丁目を時速37キロで移動中、高度下がります!25、20、15・・・き、消えました!!」



ラルの声にモニターから目を離さず答えるジャンニーニだが

モニターから其の反応が消失すると全員の顔に不安の色が浮かぶ



「消滅した場所には何があるんだ?」

「待って下さい、今出しますので・・・出ました!神社です!!」

「並盛神社?ヒバリのヤツ、あんなトコで何してんだ?」



キーボードを素早く叩き場所を割り出されると其の場所に山本は眉を寄せた



「信号が弱まってましたし、単にバッテリーが切れただけかもしれません」

「バッテリー切れ?(ヒバリさん・・・大丈夫よね)」

「もしくは敵に打ち落とされたのかもな」

「っ敵!?だったら急いで――・・・!」

「敵の罠かもしれんぞ」

「えっ罠?」

「そういう線もあるという事だ」

「じゃあ・・・どうすれば・・・」



リボーン、ラルの言葉に新奈は不安ばかりが募り拳を強く握る



「どっちみちヒバリの唯一の手がかりだ、指をくわえてるワケにはいかねーだろーな」

「ですが・・・見て下さい一つ一つの点が現在確認できるリングです」



ジャンニーニがレーダーを切り替え多くの赤い斑点がモニターに映し出される



「つまり、少なくとも上にこれだけの敵がいるワケです」

「なに!」

「あんなに!?」

「その中でも一際強いリング・・・恐らく隊長クラス」



印の多さに驚きに声を上げる獄寺と新奈

モニターの中央付近にある二重丸の大きな印・・・ジャンニーニの言葉を次いでラルが口を開く



「γだな」

「ガンマ?」

「お前達の戦った兄弟・・・奴等が所属する第三部隊の隊長だ、電光のγ・・・名のあるヒットマンとして
マフィア幹部を何人も葬った男だ・・・奴に潰された組織は両手の指でも足りない」

「そんな奴が・・・」



ラルの説明にレーダーの大きな印を、目を細め見つめる新奈



「へっ、ガマだかサンマだか知らねーが、心配いりませんよ、十代目!」

「獄寺君?」



妙に自身ありげな獄寺に振り返る新奈



「昨日あれから自主練しましてね、色々試してパワーアップしまくりましたから」

「だなっ!」

「え、嘘!?私、普通に寝てた・・・」



獄寺の言葉に頷く山本、そんな二人に新奈は自分の不甲斐無さに頬を引き攣らせる



「十代目はお怪我をしてるんです、当然ス!」

「でも・・・」

「そういや獄寺、自主練の後一人で何作ってたんだ?」

「作ってた?」



眉を下げる新奈の為か山本が素早く話題を変えると新奈は首を傾げた



「昨日お貸しした工具で何とかなりましたか?獄寺様」

「おぉ、バッチリだぜ!十代目見て下さい!」

「何?」

「My匣のカスタマイズも完璧です!」



獄寺は髑髏の装飾が施された匣を取り出し満面の笑みで新奈に見せる



「・・・・・・(獄寺君・・・変な所、凝り症よね・・・)」

「引いてます?」

「別に・・・」



その場が沈黙に包まれ獄寺は目の前の新奈に訊ねると新奈は獄寺から視線を逸らし一応否定する



「こ、これは匣の強度の為にも必要な事なんすよ!!皆やってるんス!!」



慌てて新奈に弁解する獄寺を慌しい足音が遮る



「ニーナさん!!」

「ハル?」

「よっ」

「今頃遅ぇっつの」



血相を変えて駆け込んで来たハルに三人は其々反応する



「大変なんです!!」

「分かってるって」

「ヒバードの事なら今ちょうど話合ってる所だから――・・・」

「違います!」



山本と新奈はハルを落ち着けるように

状況を説明しようとするがハルは其れを否定すると新奈は目を瞬かせる



「京子ちゃんがいないんです!!!」

「っ!!?」

「ちゃんと探したのか?」

「トイレ行ってんじゃねーのか?」

「書置きがあったんです"一度家に行って来ます。ランボ君のおやつをもらってくるね"って」



ハルは持っていた京子の書き置きを新奈に差し出し、其れを受け取り確認する新奈



「あの笹川が・・・」

「無茶する奴には見えねーのに」

「余程了平の事が心配だったんだな」



山本、獄寺、リボーンの言葉にハルは俯いたまま両の手を握る



「今思えば昨日途中から急に元気が無くなって・・・
きっとあの時から・・・すみません!ハル京子ちゃんの事もっと注意してあげられてれば」

「ハルの所為じゃないわ、自分を責めないで・・・(私だって、気づかなかった・・・)」



新奈はハルの頭を優しく撫で慰めるとジャンニーニの声に再びモニターの方へと向き直る



「しかし・・・このアジトから黙って地上に出る事は不可能ですよ、六つあるハッチには
全て声紋指紋ロックが施されているのですから・・・一応開閉記録をチェックしてみますが
・・・っ!?私、Dハッチのロックを修理中でした、開いた形跡が――・・・」

「何でそんな大事なところの修理を放置しておくのよ!?」

「も、申し訳在りません・・・」



ジャンニーニのうっかりに新奈は眉を寄せる



「っ・・・どうすれば・・・!」

「落ち着け沢田・・・」



頭を抱える新奈にラルが落ち着くよう眼光を光らせ新奈はラル達へ視線を向ける



「雲の守護者の鳥からの救難信号が出ているんだ、今はどうするべきか総合的に判断すべきだ」

「総合的に・・・?」

「この場合、最優先事項は京子を連れ戻す事だな、次にヒバードの探索及び調査だ」

「笹川了平の妹がまだ敵に捕まっていないと仮定して――・・・」

「京子ちゃん・・・っ!?」



自分の言葉を遮ったハルをラルは眼だけで黙らせハルは新奈の背に隠れる



「捕まってないとして、出来れば戦闘は避けたい・・・
敵に見つからぬよう、少数で連れ戻すのがベターだな」

「それはヒバード探索にも言える・・・やはり少人数で動いたほうがいいッス」

「んじゃ、いっその事二手に別れて、両方いっぺんにやるってのはどーだ?」

「そー上手く行くかド素人!十代目は怪我してんだ!」

「そっか・・・」

「ならば、雲の守護者探しが後回しか」

「イヤ、SOSが本当にヒバリからのだった場合、のんびりしてらんねーのも確かだ」

「そりゃぁそーッスけど・・・」

「どうしましょうか、十代目」

「決めてくれよ、ニーナ!」



全員の意見に不安要素を抱えつつも双方急を要する難問、獄寺と山本が新奈へと話を振る



「え・・・私が決めてイイの?」

「当然だ」

「ボスはお前だ」



ラルとリボーンから獄寺山本に視線を移す



「オレ等は十代目に着いて行くだけです!」

「任せるぜニーナ」

「獄寺君、山本君・・・・・・私も行く!京子ちゃんとヒバード、両方一緒に進めましょう!!」

「十代目のお考えなら賛成ッス!」

「そうと決まれば準備開始だな!」



新奈は二人に頷きラルへと視線を向ける



「あの、ラルさん・・・作戦指揮って分からなくって・・・細かい作戦とか一緒に考えていただけますか?」

「よかろう・・・」



ラルの横に歩み寄りモニターへと共に視線を移し

異常な数の印を見つめるその光景をハルは面白く無さそうに睨む



「問題になるのは戦力の配分だ、特に連携を欠いた場合各個撃破の危険がある」

「はい・・・でも戦力の配分といっても、今の私の戦闘力では
獄寺君や山本君にも及びません・・・ラルさんも戦力に換算していいんですか?」

「あァ・・・」

「だったら決まりです!」



ラルの顔に視線を向け笑みを浮かべる新奈

背後で時雨金時を大事そうに持つ山本をチラリと見やる



「決まったか?」

「皆に説明しろ沢田」

「はい」



リボーンの言葉に頷くとラルに促され新奈は分担を口にする



「分担は・・・私とラル・ミルチで京子ちゃんを追う、獄寺君と山本はヒバードを探して」

「や、山本とスか・・・?」

「・・・まずい?」

「い、いえ・・・十代目の命令とあらば・・・よ、よろこんで・・・」

「顔が喜んでねーぞ・・・」



不満顔の獄寺に新奈は不安気に聞き返すと

堪えるように身を震わせる獄寺に山本はツッコムがラルが其れを遮り作戦の詳細を伝える



「獄寺と山本はBハッチより神社へ、俺と沢田はDハッチより笹川宅へ向かう・・・
通信は敵に傍受される危険がある、その為、お互いに連絡は取れない
万一の場合でも救援は期待できない、その事を肝に銘じておく事だ・・・」

「あぁ!」

「上等だぜ!」

「原則として戦闘は回避しろ、それでももし回避不能な事態が起きた場合は・・・それぞれの判断で対処しろ」



四人は其々戦闘の出来る装いに着替え其々支持された出入り口へと向かい駆け出す



「ラルさん・・・あの、もし・・・もし京子ちゃんが捕まっていたら、私はどうすれば――・・・」

「修行の足りぬ現段階で敵と戦うべきではない・・・だが、お前が戦おうとするのなら
恐らく俺は止められない・・・此れだけは守れ、必ず指にリングを付けてハイパー化するんだ!」



不安を口にした新奈への忠告とばかりに告げられたその言葉に

新奈は疑問を抱えずには居られなかった・・・ハッチから外に出て道端に身を隠しながら

ラルに先導され笹川宅へ向かう途中新奈の脳裏に誰かに呼ばれる感覚に一瞬後方を確認する



「っ!?」

「どうした?」

「今、何か・・・」

「この辺に敵は居ない、行くぞ!」

「は、はい!」



誰も居ないことを確認し足早に前へと進むラルを追う新奈



「沢田、お前は此処で待っていろ」

「え?でも・・・」

「笹川の妹が家に戻っているか確認してくるだけだ直ぐ戻る」

「はい・・・」



笹川宅近くの並盛公園まで来るとラルは新奈を残し単身行ってしまい新奈は草陰に身を隠しラルを見送る



「(獄寺君と山本君・・・大丈夫かな、戦力的に問題は無いだろうけど・・・
あの二人が上手く連携を取れるかどうか・・・もし個人プレーに走ったら
修行をまともに受けてない現段階じゃ・・・ラルさんの言う通り
各個撃破の危険が――・・・って私が心配するまでも無く二人とも解ってるよね)」



二人の心配を拭い去るように頭を振り周りを警戒しラルの帰りを待っていると

後方からの気配に新奈は振り返るとラルが歩み寄ってきた事で安堵の息を吐き訊ねた



「どうでしたか?」

「やはり、笹川の妹はまだ捕まっていないようだ」

「ほっ、良かった・・・」

「だが、これ程の監視の中見つかっていないとすると一体――・・・隠れろ!」



激しい雷の様な音にラルは素早くマントで自身と新奈を覆い隠れる



「γだ!!」

「あ、あれが?」



上空を飛ぶその姿にラルは其れが誰であるか逸早く気が付き、新奈は目を瞠る



「何か見つけたのか?あの方向・・・(まさか!)」



γの向かって方角にある施設を考えラルの眼光が鋭くなり立ち上がる



「奴め・・・神社に向かったな」

「え!?じゃあγが、獄寺君と山本君の所に!?」

「あの方向には神社以外主要な施設はない」

「じゃあ敵に見つかったって事?どうしよう・・・」



ラルの考察に新奈は焦りの色を見せるがラルは冷静に状況を判断する



「こうも敵の目が多くては、すぐに助けに行くのは不可能だ・・・」

「でも、このままじゃ二人が・・・!」

「それに例え俺達が駆けつけて四対一となっても、今の俺達の戦闘力でγに勝てるかどうか・・・」

「そ、そんなに強いんですか!?獄寺君・・・山本君!」



新奈は拳を握り締め瞳を強く閉じ二人の無事を祈る事しか出来なかった


標的81 コンビネーション

街中で京子を探そうにもミルフィオーレの人間が其処彼処に居り、ラルと新奈は身動きが取れずにいた



「このルートも使えそうにないな・・・」

「・・・これじゃ京子ちゃんを探せない・・・獄寺君達もヤバい状況だろうし・・・え?」



新奈の頭部に何か当たり新奈は上を仰ぎ見る其れに気づいたラルが新奈に訊ねる



「どうした?」

「誰かが何か投げたの」



新奈の視線の先には窓から覗く人影・・・ショートボブにウエーブを掛けたスーツの女性



「おい、此れを見ろ」

「黒川?」



ラルに言われ直ぐ手前の表札に目を向ければ慣れ親しんだ友人の苗字



「もしかして花ちゃん!?え、何・・・?」



新奈に手を振ると部屋の奥を指し其方に注目すると、探し人の姿に新奈とラルは安堵の息を吐く



「ぁ、京子ちゃんもいる!」

「笹川の妹が敵に捕らなかった理由が分かったな」

「はい・・・」



ラルに頷き花の家の玄関へと足を踏み入れ扉を開けると二階から京子と花が降りてきた



「京子ちゃん!!」

「ニーナちゃん・・・!!」

「無事でよかった・・・」

「シッ!声が大きいぞ」

「すみません・・・」



ラルに注意され今更ながらに手で口元を覆い声を抑えて謝る新奈



「(あれ?ニーナも縮んでる)」

「ごめんなさい、私・・・どうしてもお兄ちゃんが心配で・・・」

「・・・気にしないで」



謝罪する京子に笑みを浮かべる新奈に京子も薄い笑みを返す



「それよりいいニュースがあるの!ヒバードが現れたの!」

「ヒバード・・・?」

「それって――・・・」

「急ぐぞ沢田」

「はいっ」



花の言葉を遮りラルが新奈を急かし新奈は花へと視線を向ける



「ごめん花ちゃん・・・もう少しの間、京子ちゃんを匿っていてくれないかな?」

「そりゃいいけど・・・」

「ありがと!ヒバードの事で行かなくちゃいけないの!じゃあ後で!」



ドアを開けて外に出るラルに続き新奈も要件を伝えるとその後を追い扉を閉めた

花の家から並盛神社へと向かう途中



「ちょっと待て!」

「っ!」



道の角でラルに制止され後ろに張り付く様に素早く止まる

ラルは角から顔を覗かせ三人の黒服の人間を確認する



「(さっき・・・黒川の家でヒバードの事だけを伝えて、獄寺と山本の事は話さなかった・・・
余計な心配をさせない為の配慮か・・・コイツ子供とはいえ、やはりあのボンゴレ十代目と同一人物なのだな)」

「?何ですか?」

「イヤ、こっちは駄目だ、別ルートを行くぞ」



角を覗き見た後新奈に視線を向けたラルに新奈は首を傾げると何でも無い様に再び別の方向へと先導するラル

迂回ルートである裏道を進む中、新奈は過ぎて行く時間にもどかしさを感じていた



「大丈夫かしら、獄寺君と山本君・・・もっと広い通りから神社に行ければ早く着けるのに・・・」



足を止め通りを覗き込むラルに新奈もその通りを覗く・・・一見黒服の人間は見当たらないがラルはゴーグルを掛け確認する



「どうですか?」

「この道も敵で塞がれている、やはり神社へは大きく迂回するしかないな」

「そんな・・・(獄寺君、山本君・・・)」



ラルの言葉に苦虫を噛み潰すように顔を顰める新奈をラルが急かす



「嘆いている暇があるなら急ぐぞ」

「っはい!」



ラルの後を追い駆け、足を速める


標的82 最強の守護者

大きく迂回し茂みから抜け高台に出た新奈の視線にまだ距離はあるが並盛神社が視界に入った



「見えた!」

「あと1キロ弱といったところだな」

「っ!煙・・・煙が出てる!ラルさん・・・あれって」

「あァ・・・やはりγは獄寺達の所へ」



フェンス越しに見える並盛神社からの爆煙に新奈は眉を下げラルに視線を向ける



「(お願い!!無事でいて!!獄寺君、山本君!)」



強く願っい、ラルと新奈は並盛神社を目指し再び走り出した



「!?何?今の音・・・獄寺君と山本君の身に何か・・・!」

「急ごう、何かが起きている!」



裏道を進む新奈達の耳に街中に響くような轟音が届き足を速め裏道を抜け先を進む



「此処を抜ければ――・・・!?あれは・・・」



茂みを抜け神社の境内へと入ってきて新奈とラルの視界に巨大な針を纏った球体が目に入り足を止める



「・・・っ!」

「遅過ぎるよ君達」



横目で新奈達を確認した紫の炎をトンファーに纏わせた男は其の言葉と共に駆け出した



「あのガキは・・・まさかな」



球体の針に体を貫かれている男が新奈を視界に入れ眉を寄せた

トンファーの男が地を蹴り球体の側に浮いている針の生えた板状の物を足場に

球体に刺さる男の高さまで到達すると強力な一撃を見舞い針が砕け男は地へと落ちた



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