[携帯モード] [URL送信]
標的77 覚悟の炎
「やっぱりニーナちゃんだ!良かったぁ」



突如十年前の京子入れ替わり困惑する新奈に笑いかける京子



「何で十年前の京子ちゃんが・・・一体どうなってるの!?」

「みんなで探してたの、ニーナちゃんと獄寺君の事・・・ん?十年前って?」

「っ!それは・・・」

「?」

「(此処が十年後の未来だなんて言っても理解できる訳ない・・・)」

「あれ?ここ何処だろう?」

「ぅ・・・ここは――・・・」

「おい・・・」



未だ戸惑う新奈に首を傾げ質問する京子に如何するべきか

思案しようにも敵はそんな余裕は与えてはくれなかった敵の声に其方に顔を向けると鎌を構えていた



「京子ちゃんコッチ!」

「っ!?きゃあぁぁ!」



京子の手を引き其の炎の刃避けるも爆風に体が飛ばされ二人は地面に投げ出される



「「っ!」」

「ははっ・・・どーゆー手品かしらねーが、女の雰囲気が急に変わったな」

「え?」

「っ・・・・・・」

「どちらにしろ、もう直ぐ消えるんだ・・・関係無いか!!」



太猿の攻撃に新奈は京子の手を引き走り出す今度は全力で止まらず其の手を引く

其の背に太猿は次々に炎の刃を向けていく、曲がり角を視界に入れ新奈は京子の手を強く引っ張る



「京子ちゃんこっち!」

「きゃぁ!!」



衝撃で体が軽く飛ぶが新奈は上手く着地し

京子の手を軽く上げ滞空時間を上げ着地のタイミングを上手く合わせ逃げる



「はっ・・・少しは楽しませてくれるか」

「はぁはぁ・・・(このまま逃げ続ける訳には・・・走ってばかりじゃ体力が持たないし)」



息切れで新奈に付いて行くのやっとの京子見やり眉を寄せ

もう一つ角を曲がると前方は瓦礫で塞がれ逃げ場が無かった



「っ!?(しくった!・・・京子ちゃんの前だけど仕方ない!)」

「遊びは終わりだな」

「「っ!!?」」

「くらえ!!」



背後に目を向ければ鎌を大きく構える太猿

言葉と共に放たれる刃に新奈は京子を突き飛ばし隅へと押し退ける



「危ない!!」

「っ!?きゃっ!」



壁に背中を強かに打った京子は痛みに身を縮め目の前を舞う煙にゆっくりと目を向ける



「あっ!!っ・・・ニーナちゃん!!」

「お嬢さん、次はあんただ」



煙が晴れると其処にはうつ伏せで倒れている新奈、慌てて駆け寄ろうとするが太猿の声に足を止める



「安心しろ、痛みを感じる間もない」

「ぁ・・・」

「さらばだ!うぉぉ!!」

「きゃあぁぁぁあ!!」



残虐な笑みを浮かべる太猿に顔色を青くし振り下ろされる刃に頭を庇うように身を縮め叫ぶ京子



「何!?」



攻撃に舞う土煙崩れる一体を見据える太猿だが後ろの静かな音に目を向け其処に見た姿に目を瞠る



「・・・ん・・・っ!?」



強く目を瞑る京子はいつまでも来ない衝撃と自分に触れる暖かさにゆっくりと目を開く



「ニーナ、ちゃん・・・?」



いつもの柔らかな雰囲気の友人ではなく凛とした空気を纏った友人の姿に京子は目を瞬かせる



「ほぉ、その炎の色は大空の属性、なかなかのレアだぞお嬢ちゃん・・・
だがタラタラと相手してやるつもりはない・・・
向こうに雨の守護者っていうデケー獲物を待たせてるんでなぁ」



めずらしい属性の持ち主に口角を上げる太猿、其の言葉にゆっくりと顔だけ其方に向け見据える新奈



「下がってなさい」

「はい・・・」



京子を下ろし立ち上がり太猿に向き直り真っ直ぐと見据える新奈の言葉に京子は言われた通り下がる



「来るかよっ!!」



グローブで太猿に向かって飛ぶ新奈に太猿は刃を振る、新奈は両の手を前に構え其の攻撃を受けた



「ニーナちゃんっ・・・ぁ」

「(零地点突破・改・・・)」



爆煙から涼しい気な顔を見せた新奈に京子は目を見開く



「加速したのか!?どーなっている!!?」



太猿に接近しその攻撃を容易に交わし其の後ろを取ろうと動くが

相手はそう簡単には取らせてくれず次々と攻撃するが当たらない



「ハエか、コイツは!!ええい、鬱陶しい!!」



右手のリング赤い炎を灯し匣に注入すると太猿の背に炎がゆらりと立ち上る



「屁でも喰らいな」

「っ!?」



次の瞬間、太猿の背から幾つもの針が生え背後をとったニーナの肩を突き刺さった



「・・・ニーナちゃん?・・・・・・・・・ニーナちゃん!!!」

「ぐっ・・・!」



京子は目を大きく見開き新奈の名を大声で呼ぶ

地面へと落下した新奈の姿に立ち上がるが敵の存在に駆け寄ることが出来ない



「そういやぁボンゴレの十代目もグローブに炎を灯したそうだな・・・まぁ、今となってはどーでもいい事だがな!!」

「・・・ニーナちゃん!」

「来ないで!」



太猿の鎌がいっそう強い炎を放ち京子は駆け寄ろうとするが制止の声が掛かる



「・・・大丈夫、其処に居て・・・貴女は、護ってみせる・・・・・・私の、命にかえても」



京子を制止しゆっくりと立ち上がる新奈

その瞬間・・・首から下げられたリングにも新奈の宿す橙色の炎が灯り新奈の炎が大きく広がる



「っ・・・この感じ」



いつもと違う感覚に新奈はゆっくりと太猿へと顔を向けた



「・・・・・・(炎が変わった!?ただデカくなったんじゃねェ・・・
純度の高い大空の炎になっている・・・・・・経験で分かる、あーゆーのはヤベー・・・)」

「怖じ気づいたの」



新奈の目に迷いを振り払い鎌を再び大きく構える



「ふざけるな!!女と炎は使い様だ!テメーのようなうるせーハエには、殺虫剤をまくまでだ!!」



太猿は匣を開匣すると三つの炎が飛び出し新奈に向かってくる、新奈は宙を舞い其れを交わすが追ってきた



「っ!」



「逃げ切れるものか!!黒手裏剣 ダークスライサー はお前だけを貫くぞ!!」



急旋回で交わし瓦礫に埋もれるも直ぐに新奈へと襲ってきた



「炎に反応するのね」



炎を大きくし瞬間的に離れると自分の残した炎の回りを旋回する其れに新奈は目を細める



「その通りだ!お前の発するようなでかい炎のみを追尾し、炎を吸収するたびに加速する!!
そしてしまいには、目標物の1.5倍の速度に達する!!回避は不可能だ!!!」

「なら――・・・」



再び新奈の後を追う裏剣、太猿の説明通り明らかに加速している其れに新奈は太猿の側を介し逃げた



「なぬ!俺に向かって!?っとでも言うと思ったか!使用者には絶対に当たらんようにできている!」



太猿を綺麗に避けそのまま新奈に迫る、太猿の言葉に新奈は飛び回ることを止め宙に静止する



「・・・なら、逃げるのはやめよ(零地点突破・ファーストエディション)」



瞳を閉じ両の手を前へと掲げ手裏剣を手で受け止めた瞬間其れは光に包まれる音と共に凍り付いていく



「なにぃ!!?」

「っ・・・!!?」



太猿は予想だにしなかった事態に目を見開き、京子は美しい光景に目を煌めかせる



「ばっバカな!!黒手裏剣を凍らせただと!!?」

「不思議・・・体が軽い・・・」



右手に炎を灯し天井に足を付いた新奈の左手には凍り付き、動きを止めた黒手裏剣



「このぉぉおお!!」



鎌を持ち襲ってくる太猿を迎え撃つように新奈は天井を足蹴に太猿に向かう



「なぁ!!?バカな!!ほ、炎を・・・・・・凍らせるなど!!」



宙での擦れ違い様に新奈は太猿の足の炎を凍らせ地に落とし自身も地面に降りる



「こ、これではまるで噂に聞いたあの、ボンゴレ十代目・・・!貴様、何者だ!!!」



膝を付き忌々しげに新奈を見る太猿



「きさまっ・・・貴様何者だぁ!!!」

「ニーナちゃん!」



零地点突破の氷で足を封じられても尚新奈へ鎌を振り下ろすも新奈にいとも簡単に受け止められる



「このっ!!」



新奈の掴んだ其の場所から凍りは広がり太猿の鎌は完全に凍結、そして新奈の手に再び炎が灯る



「いくわよ」



太猿を、殴り飛ばし天井を突き破るほどの力で外へと飛ばされる太猿の姿を、野猿を片付けた獄寺は見た



「っ―――・・・!」

「!?ニーナちゃん!」



太猿が消えたのを見届けると新奈の額の炎と共にリングの炎も消え膝を付く新奈に京子は慌てて駆け寄る



「京子ちゃん・・・よかった・・・護れ、て」

「大丈夫!?ニーナちゃん!ニーナちゃん!!」



肩の傷を抑え倒れる新奈を抱きとめ涙を流し新奈の名を呼び続ける京子



「しっかりして!ニーナちゃん!ニーナちゃん!!!」










「!?・・・笹川の声?」



外で手紙を見ていた獄寺の耳に京子の声が届いた



「はひっ!?京子ちゃんも居るんですか?」

「そーいや獄寺めちゃめちゃ耳が良いんだったな!」

「そーなんですかぁ?それで京子ちゃんは何て言ってるんですか?」

「離れてて聞こえるか!とにかく行くぞ十代目に何かあったのかもしれねーし・・・!」



手紙を懐にしまい駆け出す獄寺を追うハルとランボ、イーピンを抱える山本



「はひっニーナさんも居るんですか!?何処ですか!!」

「うるせーアホ女!」

「はひっ!ハルはアホじゃありません!!」

「まぁまぁ、早くニーナ達の所行こーぜ」



足を止め睨みあう二人を宥め先に促す山本に舌打ちする獄寺



「チッ・・・ま、確かに一度アジトに戻ってリボーンさんにも指示を・・・」

「リボーンちゃんも見つかったんですか!?」

「〜〜テメーはもう黙ってろ!!」



しつこいハルに目を向けることも無く走り出すと段々と京子の声がハッキリしてくる



「ニーナちゃん!お願い目を開けて!!」



ようやく着いた其の場所では左肩に深い傷を負い倒れている新奈の姿



「っ!!?十代目!!」

「ぁ、獄寺君!ニーナちゃんが・・・!!ニーナちゃんが!!!」

「っ、ニーナ!」

「・・・ニーナさん!?」



慌てて駆け寄る獄寺とハルに眠っているランボとイーピンを預け駆け寄る山本



「たっ大変です!病院!救急車!」

「待て!!(兎に角アジトに・・・)オレが運ぶ、山本テメーはそいつ等連れて付いて来い」

「あ・・・あぁ!」



獄寺はあまり揺らさないよう新奈を抱き上げ山本に強く言うと

ハルと京子は新奈の姿に不安気の表情をするも大人しく付いてくる

獄寺は先程十年後の山本と通った入り口から中へと入り階段を降り、エレベーターへと全員入るよう指示する



「?早えーなお前ら―――・・・!!?」

「リボーンさん!十代目が!医務室は何処に!?」

「落ち着け・・・」



大きな足音を立てリボーンの居る談話室に入ってきた獄寺に抱かれている傷だらけの新奈

そして其の後ろに居る面々に状況を察したリボーンは目元を隠し指示をだした



「(色々・・・面倒くせーことになりそーだな)」


[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!