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標的30 豪華客船でかくれんぼ
机に向かい勉学に勤しんでいる新奈の背後で

仔牛とチャイナ娘が追いかけ逃げての鬼ごっこ・・・

当然静かに遊んでいるはずもなく子供特有の甲高い声に新奈は頭を抱える



「二人とも宿題してるから静かにしてちょうだい」

「吋不起、イーピン反省・・・」



素直に頭を下げ新奈の部屋から出て行くイーピンしかしもう一人は違った

その場で駆け回り一人騒ぎ立てる



「ランボさんはもっと遊ぶんだもんね!!」

「・・・リボーン、なんとかし――・・・」



再び部屋を走り回ったランボに困り果てリボーンへと助け舟を求めようと

其方に視線を送ると新奈が全て言い終わる前に

リボーンはランボの足に己の足を掛け窓から外へと弾き出したのだ

庭の木に落下したランボのけたたましい泣き声に新奈は両の耳を塞いだ



「余計に煩くなった・・・」

「騒音に惑わされず集中して勉強しろ」

「そうは言うけど、毎日毎日この騒音の中・・・
工事現場近くで勉強した方がまだましな気がするわ、実害がない分
図書館にでも行こうかな、静かな所に行きたいし・・・」



新奈は部屋を脱出するべく扉の取っ手に手を掛けると



「にーちゃん、やったわ!」

「ぶっ」



眩しい笑顔を携えた母が先に扉を開いた



「ん?あら?」

「か・・・母さん」



内開きの自分部屋の戸をやや恨みつつ新奈は鼻を押さえ涙目で戸を押し返し奈々を見る



「聞いて、当たったの!」

「何が?」

「雑誌の懸賞に当たったの!何と船に乗って島に行く旅!」

「へぇ凄いね・・・でも懸賞でしょ?旅費は自己負担とかじゃないの?」

「ううん、全部タダよ!それにこの船豪華客船なのよ!」



新奈は奈々からハガキを受け取り内容に目を通す


「広いお部屋にふかふかのベット、出てくるお料理も超高級!
分厚いステーキも出てくるわきっと!
船の中にはプールやカジノ、コンサートホールまでついてるのよ」

「凄っ・・・そんな豪華客船って、一体何の雑誌の懸賞なの!?全部タダって怖過ぎるわよ!」

「そして到着するのは南国の楽園・・・」

「っちょ、母さん?」



最早新奈の声は届かず、夢見心地に想いを馳せる奈々



「トロピカルな太陽が人生の嫌な事なんて全部洗い流してくれるわぁ」

「はぁ・・・(嫌な事全部ね・・・)ん?母さん、これ二名様って書いてるわよ」

「そうなのよ・・・母さん、ランボ君達を置いて家を開けられないでしょ?どうしようかしら・・・」



新奈は眉を下げ思案する奈々から再びハガキに目を落とすと

雲雀と並んで浜辺を歩く自分を想い描き頬を染め左右に頭を振り妄想を取り払う



「(何考えてるの私!ヒバリさんにビーチって似合わないでしょ!!)うぅ・・・」

「にーちゃん?」

「っ!な、何でもないよ!それより如何するのコレ」

「それなら心配ねーぞ」

「「え?」ぶっ!!?」



静かにエスプレッソを飲んでいたリボーンの言葉に新奈と奈々は其方へ振り返ると

部屋の扉が勢いよく開き新奈は再び顔面に戸が当たった



「あの子達の面倒なら私が見るわ、安心して」

「まぁ、ビアンキちゃんが?」

「ボクも、ちゃんとお留守番するよ!」



ビアンキの横からフゥ太も顔を出し奈々に笑顔を向ける



「たまには親子水いらずで楽しんで来い」

「本当に!?うれしいわ、ありがとう!!」



リボーンの言葉に奈々は歓喜の声を上げビアンキが戸から手を離したことで

新奈はようやく開放され打ち付けた所を押さえ静かに涙を流した



「痛っ・・・(今日、こんなのばっかり?)」

「にーちゃんと旅行なんて何年ぶりかしら、楽しみよね!」

「(ヒバリさんと行けないのは残念だけど・・・ま、いっか)」



話が纏まり奈々は新奈に抱きつき幸せそうな笑みを浮かべ

其の笑顔に新奈も静かに笑みを浮かべる、密かにリボーンの口角が上がった事には気づかず・・・










余所行きの格好をした奈々と可愛らしいひらひらのチュニックに七部丈のデニムに身を包んだ新奈

髪も下ろして南国の似合う仕様だ、何だかんだと旅行は楽しみなのだろう



「それじゃ行って来るわね、後はよろしく」

「えぇ」

「達者でな」

「行きましょにーちゃん!」

「母さん、そんなに引っ張らなくても時間まで余裕あるでしょ」



新奈は母に手を引かれビアンキとリボーンに見送られ並盛港へと向かい其処から大きな船へと乗船した



「わぁ・・・凄い、船の中なんて信じられないくらい豪華・・・」

「やっぱり豪華ね」



中に入って早々に見た広い吹き抜けの高い天井や

豪華な装飾品、展示物に新奈と奈々は感嘆の息を漏らす

部屋に着き荷物を降ろし新奈は大きなベットに腰を掛け伸びをしてベットに倒れこむ



「ふかふか(リボーン達がいないだけで
こんなに静かなんだ・・・それだけでも十分に来た価値があるわ)」

「それじゃ、さっそくご飯を食べにいきましょう」

「うん!」



御馳走に胸を膨らませ、新奈と奈々は食堂へとやって来た



「うわぁ、食堂も広い」

「231号室の沢田です」

「沢田様ですか?先程テーブルにご案内しましたが・・・」

「「え?」」



ボーイに示されたテーブルには、ぼろぼろに食い散らかされた食事に新奈と奈々は唖然とした

テーブルの下に腹を抱え幸せそうに倒れている仔牛が新奈の視界に入った



「もーランボさん、お腹いっぱいだもんね・・・」

「食い倒れて寝てる・・・」

「あら、ランボ君、どうして此処に?」



新奈の視線を追い奈々もランボの存在に気づきランボを抱き上げる

奈々が抱き上げるとランボは目を覚まし奈々に必死に手を伸ばし強く奈々にしがみ付く



「あらあら・・・」

「ランボ一体どうしたの?」



ランボの頭を撫でながら訊ねると聞き覚えのある声に新奈は素早く振り返った



「アホ牛ったら、ママンがいないって言ったら泣き出してさ」

「ビアンキ!?何でいるの?」

「もうニーナもママンも帰って来ないっていったら、この子まで泣き出して散々よ」

「イーピンも!?何でそんな嘘つくのよ」

「皆一緒ガイイ、離レ離レ悲シイ・・・」



イーピンは新奈に抱きつき笑顔を向ける



「そうそう、大勢のほうが楽しいしな!」

「ハルもそう思います!」

「だからボク達も来ちゃった、ごめんねニーナ姉」

「!?山本君、ハル、フゥ太まで・・・」



新奈は驚きに目を瞬かせる



「よぉニーナ、凄げぇよな・・・オレこんなデッカイ船、初めて乗ったよ」

「ハルは家族で乗った事ありますけどニーナさんと一緒だとドキドキします・・・
新婚旅行の予行演習みたいで!そして二人を乗せた愛の船は・・・南国へ――・・・素敵」



山本が率直な感想を述べる横でピンク色の空気を醸し出すハル・・・

妄想の中の南国へ降り立った新奈はハルによってありえない美化がされている事だろう

其れを思うと新奈は暗い気持ちへ誘われイーピンを奈々の元へと下ろす



「ニーナ今日は随分可愛い格好してんのな」

「そりゃあ旅行だったらおめかしするでしょ・・・って一体どうして此処に?」

「小僧が『一緒にどうだ』って誘ってくれたんだ」

「え"っ!?じゃあ獄寺君も?」



山本に声を掛けられ此処に居る経緯を訊ねれば

赤ん坊家庭教師の仕業であることが判明し

新奈は何かを起こすであろう友人を警戒し周囲を見回す



「それがさ、一緒に行こうって誘おうと思ったらいなくてさ
一応携帯の留守電に、待ち合わせの場所と時間は入れといたんだけど、来なかったんだ・・・」

「そうなの(これ以上騒ぎが大きくならずに済んで良かったかも・・・)」

「あと小僧に言われて笹川と笹川兄も誘ったんだ
だけど、丁度家族旅行と重なってたんで、今回は遠慮しておくってさ」

「そう・・・(笹川先輩が来ないのはある意味助かる)」

「ごめんねー寂しかったのねぇ、でもそれじゃあ皆来ちゃったの?」



山本からの情報と奈々の言葉に新奈ははっと気づき再び周囲を見回す



「って事はまさか・・・」

「ルネッサンス☆」

「服を着なさい!!」



水瓶を手に妖精に扮したリボーンが彫刻のように自然に溶け込んでいたが

葉っぱ一枚で一箇所だけ隠された全裸の妖精に新奈は全力で突っ込みを入れた



「イタリアでは水瓶の石像はヴィーナス像の方が主流なんじゃないの」

「オレの変装にツッコむとは余裕だなニーナ」

「そうだった・・・そんな事よりどっから入って来たのよ!!」

「正面からだぞ、正々堂々ガードマンを倒してな」

「はっ!?なんて事してんのよ!そんな事ばれたら――・・・」



新奈がリボーンに抗議しようと口を開こうとしたが

入り口から数名の船員が駆け込んできた事で

リボーン達は素早くテーブルの下に隠れテーブルクロスで其の身を遮った



「お騒がせしてすみません、こちらで不審な子供を見ませんでしたか?」

「い、いいえ」

「そうですか、此処には居ないようだ」



食堂の乗客に聞き込みし船員等が去ったのを確認し

新奈はテーブルクロスを捲り侵入者達を叱り付ける



「やっぱり探されてるじゃない!!」

「ニーナさんすみません、ハルには
ビアンキさんとリボーンちゃんのバイオレンスを止められませんでした」

「いいのよハル、愛のためには何をしても許されるのよ」

「許されるか!」



当たり前だと言わんばかりのビアンキの言葉に新奈は青筋を立てる



「いーじゃねーかかくれんぼくらい、楽しそうだし!」

「山本君・・・」



立ち上がり新奈に笑顔を向ける山本に新奈は溜息しか出なかった



「やべーな」

「ん?」

「見つかったらニーナとママン諸共途中の島で降ろされちまうぞ」

「なっ、何でリボーン達の起こした騒動に母さんまで巻き込まれるのよ!?」



未だに服を着ずに全裸状態のリボーンが愛くるしい背を新奈に向け嫌な言葉を吐き出す



「心配しないで上手くやるわ、私達も快適なバカンスを楽しみたいもの・・・ねぇ、リボーン」



何を考えているのやらリボーンを抱きしめ笑い声を漏らすビアンキ

そんな彼女を無視して新奈は訊ねる



「まさか島に着くまで隠れ通す気?」

「何言ってんだ、俺達はヒットマンだ・・・」



リボーンの手の上のレオンが銃へと其の姿を変え

奈々に会えた事で元気を取り戻したランボとイーピン、そして

妄想の淵から帰ってきたビアンキが並び立つ



「ガードマンを消す!」

「何言ってるの!?そもそもの原因は貴方達なのよ!!」

「行くぞ!」

「っちょ、待ちなさい!!」



リボーンの言葉を合図に走り出す四人、新奈の伸ばされた手は虚しく宙を彷徨う



「今度は鬼ごっこか、コレだけ広い船だといくらでも遊べるな」

「ボクも隠れたほうがイイ?ニーナ姉」

「やっぱり皆が居ると楽しいわ」

「兎も角四人を捕まえないとガードマンの命が危ないわ・・・山本君、ハル、フゥ太、手伝って!」



新奈は頬を引き攣らせ山本達に振り返り奈々を残して三人と共に食堂から駆け出した



「皆どこに行っちゃったのかしら・・・」

「みんな『かくれんぼが上手いマフィアランキング』の上位だから簡単には見つからないと思うなー」

「フゥ太・・・貴方本当に、色んなランキング作ってるのね・・・」



食堂から並んで走ってきたが分かれ道に差し掛かり一同は足を止めた



「とにかく端から探してみよーぜ、オレはこっちに行ってみるな」

「ハルはこっちに行きます」

「うん、お願い、捕まえたら私の部屋に連れて来て231号室よ」



山本とハルが左右を指差し新奈は其れに頷く



「はい!ニーナさんの為にハルは身の危険を顧みず任務を遂行します!」

「オレ、小さい頃から鬼ごっこは得意だったんだ任しとけ!」

「早く見つけないと・・・行きましょうフゥ太――・・・っ!?」



二人が其々の道へと駆け出すと新奈は

残った道の前に立っているフゥ太に声を掛けるが其の言葉は悲鳴によって掻き消された



「何!?」



新奈はフゥ太と共に悲鳴の上がった方向へと向かった



「あの人だかり、何かしら・・・まさか(もう事を起こしちゃったの?)」



其の人だかりの中心には見慣れた人物が女の人の腕を掴み慌てふためいていた



「此処何処ですか!?何丁目ですか!!?」

「何ですかあなた・・・!?」

「私、早くラーメンを届けなきゃいけないんです!」

「大人イーピン!?」

「え?アレが噂の?イーピン美人になるんだねー」

「(ランボ・・・十年バズーカで)」



新奈の脳裏に事の原因がありありと浮かび頭を抱えると

イーピンが新奈に気づき女性から手を離し新奈に縋り付いて来た



「あ!沢田さん!此処何処ですか!?迷子になっちゃったみたいで・・・」

「えーっと・・・っ!?」

「あの子の連れか?」

「まぁあの子の?」

「アイツがあんな格好させてんのか?」

「うっ(なんか変な注目を集めてる・・・)」



周囲からの視線と声に新奈は冷汗を流すが切羽詰ったイーピンは気づかない



「早くしないと川平のおじさんのラーメン伸びちゃうんですぅ」

「わかったから、案内するから落ち着いて!」

「わぁ、助かります、今度ラーメン奢りますよ」



安心したイーピンを新奈は自分の部屋へと連れ込み部屋の戸を閉める



「此処部屋ですよ?何の部屋ですか?何で閉めるんですか沢田さーん!!」

「しばらく待ってたら見慣れた場所に戻るから!
フゥ太、他の皆探してくるからイーピン戻ったら一緒に部屋で待ってて」

「わかったよ、ニーナ姉!」



扉の外にフゥ太を待機させ新奈は他の三人を探すべく再び船内へと繰り出した



「何でこんなに走り回らないといけないのかしら
私、母さんと旅行に来ただけのはずなんだけど・・・」

「ニーナさん、ランボちゃん見つけて部屋に送り届けておきました!」

「オレは獄寺の姉さんを見つけたぜ!」



意気消沈の新奈の前からハルと山本が現れ新奈は安堵の息を吐いた



「っと言う事は残っているのはリボーンだけ・・・」

「あと探してないのは何処だ?」

「えっと・・・下の方、かな」



顎に手を沿え山本の質問に答え、ロープの引かれていた階段を下りると格納庫の様な場所に出た



「うーん・・・こんな所にリボーンが居るかしら?」

「とにかく片っ端から調べてみようぜ」



そして一番手前にあった扉を開ければ豚の鳴き声と共にラーメンを啜る音

見慣れた背中に新奈は驚きに声を上げた



「ごっ・・・獄寺君!?」

「あ"ァ・・・十代目!!」



振り返り新奈を確認すると獄寺はラーメンを放り目を輝かせた



「あれ?」

「はひ?何してるんですか?」

「十代目!よくオレの居場所がお分かりに!態々探しに来てくださったんですか!?」



山本とハルを無視して獄寺は新奈に羨望の眼差しを向ける犬耳と尻尾を垣間見た瞬間であった



「探してるのはリボーンなだけどね・・・獄寺君、何でこんな所にいるの?」

「そりゃあ――・・・」

「やっぱり姉さんと家族旅行したかったんだな!」

「違う!オレは十代目の右腕として・・・何時、如何なる時でも、御側にいようと!」



山本の言葉に青筋を立て獄寺は新奈の横に立ち其の右手を己の左手と絡め高らかに演説した



「隠れて乗り込んだのね・・・」

「慣れれば此処も快適ですよ、コイツらも歓迎してくれてますし」



豚を撫でる獄寺を眺める三人、新奈の視界には転がったカップラーメンのパッケージが見え

其の商品名に冷汗を流す、豚小屋でとんこつラーメンを食べる人間を歓迎する豚・・・

新奈の提案で場所を変え、獄寺にも事情を説明し再び船内を歩き回る



「それじゃあ後はリボーンさんだけなんですか?」

「そうなの、早く捕まえないと何をしでかすか・・・」

「けど、これだけ探して見つからないとなるとよっぽど上手く隠れてるんだな」

「流石リボーンちゃんかくれんぼの天才ですね!」

「それじゃ困るのよ!」



新奈は一度頭を振り己を落ち着かせた



「(落ち着け、落ち着け私・・・こんな時こそよく考えるのよ
リボーンならこんな時何処にいる?そういえば、よく何かに変装して隠れてるわよね・・・)」



新奈は足を止め目に止まった絵画をジッと見つめた



「(例えばこんな絵なんかに・・・うーん、目の辺りが不自然――・・・)」

「よく見破ったな」



目を細め其の絵を見つめると探し人の声と共に絵画の女性の横の木から目を口が現れた



「木の方!?」



確かにその絵に隠れてはいたのだが、人ではなく木に隠れていた

予想外の場所からの登場に新奈は驚きの声を上げる



「ちゃお」

「!!?」



額縁を壊し其れを顔につけたまま出てきたリボーンに新奈は一歩下がった



「偉いぞ、洞察力はマフィアのボスに必要な資質だからな!」



体をそのままに首を明らかに360度以上の回転をして見せるリボーンに新奈は言葉が出なかった



「流石リボーンさん!そして其れを見破る十代目・・・流石です!」

「イヤ・・・嬉しくないなァ」

「そんな所にいたのか!隠れるの上手いな」

「イリュージョンです!」



色んな意味で和んでいると新奈達の下に船員が勢いよく駆けてくる



「あ、やばっ見つかった・・・!」

「大変ですどうしましょう!?」

「強行突破しますか!!?」

「駄目よ!!」



新奈とハルが慌てると獄寺はダイナマイトを手に新奈の前に立つ新奈は慌てて其れを抑える

そうこうしている内に、強面の船員に囲まれる新奈は眉を下げ半泣き状態だ



「ぁ、やっぱりリボーンさんだ!」

「ガードマンがやられた手際の良さ、流石リボーンさんだ」

「貴方がこの船に乗ってくださるなんて光栄です」

「騒がせたな、チケットはコレだ」

「リボーンさんならチケットがなくても何時でも歓迎しますよ!」

「どういうことなの?リボーン」

「オレ達の分もチケットはちゃんと取ってあったんだ、この船はマフィアランド行きだからな」

「マフィア、ランド?」

「え!?あの!!」

「マフィアランドは、マフィアが他人の目を気にせずゆっくり寛ぐ為に
各ファミリーが莫大な資金を出し合って建造したスーパーリゾートアイランドだ!」

「雑誌の懸賞の話から、全部仕組んでたのね!ぁ、じゃあその人達は」



さっきの怖い顔は何処へやら

リボーンを囲む晴れやかな船員達を見るとリボーンは新奈の意を汲み取り頷き

船員達は其れに答える様に白い服を脱ぎ捨て

黒スーツにサングラスのマフィアスタイルへと早変わりした



「各ファミリーから派遣されている関係者だ」

「やっぱりマフィア・・・」



新奈はがっくりと項垂れる



「察しの通りあの当選ハガキはオレが出したものだ
偶にはママンを休ませてやろうとマフィアランドに招待したんだぞ」










「見えてきたわ、アレが南国の楽園ね」

「わぁ〜」

「もう着くのね・・・マフィアが作ったってどんな楽園なんだか・・・」



新奈は明後日の方向に視線をやり暗い影を落としていた



「まぁ楽しそう、遊園地みたい」

「え?」



奈々の言葉に新奈は顔を上げる



「ドリームアイランドです!ハルわくわくします!!」



ハルの明るい声に目と鼻の先に見えてきた島に目を向けると綺麗なリゾート地が目に飛び込んできた



「これが・・・マフィアランド?」

「でっかいテーマパークだな!」



新奈の横に獄寺と山本が並ぶ



「一日ではとても回りきれないアトラクションもあるのよ」



ビアンキの登場に例に漏れず獄寺は倒れるが気にするものはいなかった



「『マフィアが童心に戻って遊びに行きたいテーマパークランキング』254カ所中ダントツの一位なんだよ!」

「わーい!ランボさん遊ぶもんね!!」

「遊園地イーピンモ大好キ!!」



ファイアランドを前にした全員のテンションが上がっていき、新奈にも笑みが零れた


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