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標的25 勝ちたい!目覚めの瞬間
「生きたまま捕獲はできなかったがしからねーな」

「(何だろ・・・この凄く嫌な感じ・・・・・・)」



銃で頭を撃ち抜いた骸の亡骸に目を向けるリボーン、新奈、獄寺



「ついに・・・骸を倒したのね」

「アネキ!」

「ビアンキ!よかった意識が戻ったのね」

「ムリすんなよ」



意識を取り戻したビアンキの声に獄寺、新奈、リボーンと口を開く



「肩、貸してくれない・・・隼人」

「!・・・しょーがねーなー・・・きょ、今日だけだからな」



ゆっくりと起き上がったビアンキに眉間に皺を寄せながらも近づく獄寺



「(・・・っ!!)獄寺君!!行っちゃだめ!」

「え?」

「ん?」



新奈の声に、獄寺は足を止め振り返り、リボーンもその声に新奈に視線を向ける



「どうかしたの?・・・ニーナも肩を貸して・・・」

「・・・・・・ぇ?あれ・・・私なんで・・・」

「いいッスよ十代目は、これ位のケガ大丈夫スから!」

「すまないわね・・・隼人」

「ほら、手」

「はい・・・!」



ビアンキは三叉戟 さんさげき で獄寺の頬に傷をつけた



「「!!?」」

「なっ、何しやがんだ!!」

「まぁ!私ったら・・・!!」

「(やっぱり変だわ・・・ビアンキ・・・)」



床に尻餅を着く獄寺、三叉戟を手にしたままのビアンキに新奈は激しい違和感を覚えた



「何してんだ、しっかりしろ・・・刺したのはお前の弟だぞ」

「私・・・なんてことを、したのかしら!」



新奈の横からビアンキの前まで飛び出したリボーンに向かってビアンキは再度攻撃を繰り出した



「っ!?」

「リボーンさん!!」



攻撃を華麗に避け新奈の前へと着地したリボーンはビアンキを見据えたまま口を開く



「こいつは厄介だな」

「まさか・・・マインドコントロール」

「ちげーな・・・何かに憑かれてるみてーだ」

「それって、呪いッスか・・・?」

「呪いなんてそんな・・・」



リボーンの言葉に顔を青くする獄寺と新奈



「だが事実だ・・・」

「何言ってるの私よ」

「(やっぱり違う・・・ビアンキじゃない・・・この不自然な感じ、前にも・・・ぁっ!)ろくどう・・・むくろ?」



未だに笑みを崩さないビアンキに新奈は違和感に合点がいった・・・

感じた人物の名が口から零れる



「クフフ、また会えましたね」



ビアンキの右目は、骸と同じように“六”の文字が刻まれていた



「っ!!」

「崇りだー!!」

「そんなバカなこと、あるわけねーぞ」

「でも・・・死んでるのよね・・あれって・・・?」



獄寺の叫びにツッコむリボーンの言葉を

確かめるように新奈は床に横たわっている骸の体を見やる



「クフフ、まだ僕にはやるべきことがありましてね、地獄の底から舞い戻ってきましたよ・・・」

「や、やはり・・・」

「そんな事が・・・」

「あと考えられるのは・・・まさかな・・・」

「誰から片付けましょうか」



立ち上がり三叉戟を手に獄寺、新奈、リボーンへと歩み寄るビアンキの姿をした骸



「十代目、ここはオレに!!」

「だけど相手は―――・・・」

「臨・兵・闘・者!!」



一歩踏み出した獄寺は叫びながら手で九字を切る



「(魔除け―――!!?何処でそんな知識を・・・)」

「・・・ぅっ、うぅぅ・・・)」

「皆・陣・列!!」

「え”!?効くの!!?」



突然苦しみだしたビアンキに新奈は思わず声を上げてしまう

ビアンキは三叉戟を取り落とし、その場に倒れた



「ビアンキ!?・・・・・・どうなったの?」

「分かんねーな」

「・・・ビアンキ?・・・っ!?」



新奈は倒れたビアンキに手を伸ばそうとすると背後からの気配に勢いよく振り返る



「オレ、やりましょーか?」



笑顔を新奈に向ける獄寺・・・しかしその手には三叉戟が握られている



「獄寺く―――・・・骸!?」



新奈は獄寺の中に骸の存在を見出し、獄寺が攻撃する瞬間其れを素早く避けた



「っ獄寺君・・・!」



「ほう、まぐれでは無いようですね・・・
初めてですよ、憑依した僕を一目で見抜いた人間は―――・・・つくづく君は面白い」



獄寺の右目に“六”の文字が浮かんでいた



「・・・・・・どういう事なの・・・?」

「間違いねーな、自殺と見せかけて撃ったのは“あの弾”だな」

「あの弾?」

「・・・・・・」



リボーンの言葉に、骸は何も答えずただ静かに笑っていた



「憑依弾は禁止されてるはずだぞ、どこで手に入れやがった」



聞き慣れない単語に、新奈は眉を寄せる



「クフフフ、気づきましたか・・・これが特殊弾による憑依だと」

「え?特殊弾って、死ぬ気弾とかのことよね・・・?」

「そうだ、憑依弾はその名の通り、他人の肉体にとりついて自在に操る弾のことだぞ」

「っ!?それじゃあその所為でビアンキや獄寺君が・・・!」

「エストラネーオファミリーが開発したと言われる特殊弾でな・・・
こいつを使いこなすには、強い精神力だけでなく弾との相性の良さが必要とされているんだ」

「クフフフ、僕との相性は抜群ですよ・・・」

「憑依弾は、あまりにも使用法が惨かったから
とっくの昔に禁止され、弾もその製法も闇に葬られたはずだったんだがな」



リボーンの解説が終わった所で骸は再びその独特な笑い声で嘲笑う



「クフフフ、これはマインドコントロールの比ではありませんよ・・・
操るのではなく、のっとるのです・・・つまりこの体は―――・・・僕のものだ」

「っ・・・!止めて!!」

「クフフフ」



獄寺に憑依している骸は、その首を親指の爪切る・・・

その光景に新奈は声を荒げ骸は其れを卑しい目で見据えた



「ランチア程の男を前後不覚におとしいれたのも
その弾だな・・・だが、なんでお前が持ってんだ?」

「僕のものだから―――・・・とだけ言っておきましょう
さあ、次は君に憑依する番ですよ、ボンゴレ十代目」

「えっ・・・私に・・・?」



予想外の言葉に目を瞠る新奈しかしリボーンには予想できたことらしい



「やはりお前の目的は―――・・・」

「クフフフ、目的ではなく手段ですよ
若きマフィアのボスを手中に納めてから、僕の復讐は始まる」

「復讐・・・?何を言ってるの・・・?
私に憑依した所で良い事なんて・・・何もないからね!」



新奈は立ち上がり構える



「奴の剣に気をつけろ」

「・・・剣!?」

「あぁ・・・あの剣で傷つけられると、憑依を許すことになるぞ」

「よくご存知で・・・」



獄寺は新奈に向かって三叉戟を投げる

咄嗟に避ける新奈の後ろにはビアンキが立っており其れを受け止める



「っビアンキ・・・!?」

「その通りです・・・もっとも僕は、この行為を“契約する”と言っていますがね」



ビアンキはその横に倒れている雲雀の首元を切った



「なっ!!?」



ビアンキは糸が切れたように、その場に倒れると・・・雲雀の体が微かに動いた



「あっ・・・今度はヒバリさんの中に!?」



起き上がりトンファーで攻撃を仕掛けてくる雲雀



「くっ」



新奈は其れを腕で受け止めるがいつもと違い全く手加減されてないその攻撃に顔を顰めた



「痛っ!」



体勢を立て直した新奈と違い

雲雀はそのまま地面に倒れた、顔だけ起こすが体は起こさない



「おや?この体は使いものになりませんね・・・
これで戦っていたとは恐ろしい男だ、雲雀恭弥・・・」



呟くように言うと雲雀の体は再び倒れる



「あっ!ヒバリさん!!・・・骸の気配が消えた」

「気をつけろよ、また獄寺かビアンキに憑依するぞ・・・」

「ん・・・・・・!?」



獄寺が起き上がると其方を睨みつけるが背後にいたビアンキまで立ち上がり驚く新奈



「獄寺君―――・・・え!?ビアンキにも!?二人同時に!!?」

「ちげーぞ」



扉の外の気配に気づいたリボーンの言葉と同時に扉を派手に開かれる・・・音に其方を振り返ると



「! あれは・・・!!」

「奴らもだな」



傷だらけで立っている骸の仲間の城島と柿本



「なっ―――!!?骸が四人・・・!?」

「四人同時に憑依するなんて聞いたことねーぞ」

「それだけでは―――・・・」



獄寺の瞳の文字が、“二”へと変わる



「ありませんよ」



言葉と同時に大量のダイナマイトが放たれた



「ダイナマイト!?獄寺君の技を・・・!」

「憑依した奴の技まで使えんのか・・・ん!」

「クフフ」



城島が爪を振りかぶったので、リボーンはそれを避けるために跳んだ



「君も自分の命の心配をしたほうがイイ・・・アルコバレーノ!」



間髪いれずに柿本のヘッジホッグから毒針が放たれる・・・

リボーンは其れを背広を盾にすることで防ぐ



「くっ!!」



新奈は獄寺のダイナマイトから逃げることしか出来ない



「第二の道、餓鬼道は―――・・・技を奪い取るスキル」

「こいつは圧倒的にやべーぞ」



四人の骸は笑みを浮かべる



「乗っ取った上に、前世に刻まれたという能力も使えるのか」

「クフフフ」



ビアンキの右目に変化が起こった・・・すると新奈の足元から何か湧き上がってきた



「?・・・何・・・・・・っ!?」



火柱となり新奈は数歩下がるとその背後からもう一本の火柱が噴出し足を止める



「・・・これは、骸の地獄道・・・?」



次々と床から火柱が現れた



「出来れば君は無傷で手に入れたい」

「降伏してくれて良いんですよ」



城島と柿本の口から紡がれる言葉に新奈の眉間にこれでもかと皺がよる



「(ニーナの奴・・・幻覚によえーな)・・・ニーナこれは幻覚だぞ」



リボーンは、ピョンと跳んだ



「おっと、君は―――・・・自分の心配をしたほうが良い」



獄寺はダイナマイトを、リボーンへと放る



「!?リボーン!!」



爆発と同時に火柱が消える



「こんなものではないはずだ・・・アルコバレーノ」



ビアンキの声に反応するように煙の中からリボーンが現れた・・・



「見つけましたよ」



城島が持った三叉戟がリボーンのボルサリーノに突き刺さる・・・

しかし、そこにリボーンの姿はなくボルサリーノだけ残されていた

次の瞬間、三叉戟の先の小さな帽子は同じく小さい影に攫われた



「久々に感じる実戦の空気だな」

「よかった・・・リボーン」

「オレは手ぇ出せねーんだニーナ、早くなんとかしやがれ」



ボルサリーノを被り、新奈を煽るリボーン



「無茶言ってくれるわね・・・
この状況で私に何が出来るの!それこそ教えて欲しいんですけど!!」



獄寺の爆撃を避けながら

新奈はリボーンに叫びリボーンは毒針を避けながら、落ち着いた口調で言い放つ



「オレの教え子なら・・・オレの教え子なら、超えられるはずだぞ」

「こっちは丸腰なのよ!そんな理屈で・・・!」

「クフフ、焦っているんですよ先生は・・・
生徒の絶命の危機に支離滅裂になっている―――・・・!」



背後からポイズンクッキングを手にした骸の攻撃をあっさりかわすリボーン



「嘘じゃねーぞ・・・お前の兄貴分、ディーノも超えてきた道だぞ」



攻撃を難なく交わしながら、リボーンは言った



「?・・・ディーノさんも?」

「ディーノがオレの生徒だったときも、絶体絶命のピンチがあってな―――・・・
アイツは、それを乗り越えたとき“へなちょこディーノ”から“跳ね馬ディーノ”になったんだ」

「なった・・・意味が分からないわ、リボーン!私とディーノさんとは」

「上だぞ」



足を止めた新奈の言葉を遮るように頭上に大量のダイナマイトが放られた



「ぁあ”・・・っ!」



ダイナマイトの爆風で吹き飛ばされ、新奈は背中を打ちつけてしまう



「さあ、お喋りはこれぐらいにして、そろそろ終わりにしましょう」



柿本が、ゆっくりと新奈に歩み寄ってくる

新奈は背中の痛みを無視して起き上がる・・・柿本の手には三叉戟そして目からはインディゴの炎



「死ぬ気の炎・・・修羅道!?」



駆け出した柿本の体は傾き床に倒れてしまう、手からこぼれた三叉戟を城島が拾い口を開く



「なあに、よくあることです・・・
いくら乗っ取って全身を支配したと言っても、肉体が壊れてしまっては動きませんからねぇ」

「それって・・・怪我で動かない体を、無理矢理に動かしてるってこと―――・・・?」



新奈の瞳が揺れた



「それで、ヒバリには憑依しなかったんだな」

「クフフフ、千種はもう少し・・・いけそうですね」



ゆっくり立ち上がる柿本の姿に城島の口から紡がれた言葉は無慈悲なモノだった



「っ!?無理矢理起こしたりしたら・・・怪我が・・・!!」

「クフフフ、平気ですよ・・・僕は痛みを、感じませんからね」

「なっ、何言ってるの!?仲間の体でしょ!!?」



柿本の口から言われた言葉に新奈は骸へと叫ぶ



「違いますよ・・・憑依したら僕の体です、壊れようが息絶えようが、僕の勝手だ」

「おかしい・・・そんなの・・・・・・」



柿本の声は冷たく新奈は唇を噛んだ



「他人の心配をしているヒマがあるんですか?自分がやられるという時に―――・・・」

「君はマフィア向きではありませんね」



胸から血を流している獄寺、ビアンキは腹の刺し傷から血が溢れていた・・・

その光景に新奈の瞳は知らずしらず潤んでいた



「っ!?(二人とも、傷口からあんなに血が・・・)
やめて・・・お願い!もう止めて!!このままじゃ・・・皆、死んでしまう!!」

「クフフフ・・・思い出しましたよ
君はバーズとの戦いで、友人の為に自分にナイフを突き刺そうとしたんでしたね・・・」



獄寺の顔で笑みを浮かべる骸



「っ・・・!?」

「―――それでいきましょう、君は、その甘さゆえ、僕に乗っ取られる」

「え・・・?」

「いいですか、君の仲間をこれ以上傷つけられたくなければ」

「逃げずに大人しく契約してください」



笑みを崩さず骸は獄寺とビアンキの口から言葉を紡ぐ新奈は二人から一歩下がる

その光景に城島が三叉戟を構え嘲笑う



「やはり、迷うのですね・・・どのみち、君のような人間はこの世界では生き残れない・・・
ボンゴレ十代目には不適格です、さぁ、明け渡してもらいましょう」

「(どうすればいいの・・・何が最善なのか分からない)・・・リボーン・・・」

「オレは何もしてやれねーぞ、自分でなんとかしろ」

「っ・・・・・・(私は・・・一人じゃ何も出来ないの・・・?ココで、諦めなきゃいけないの・・・!?)」



リボーンに助けを求めても切り捨てられ新奈は拳を強く握った・・・

そんな時突然リボーンが新奈に跳び蹴りを喰らわせた



「ッ!!?」

「情けねえ顔すんな」

「っ・・・リボーン・・・わた、し・・・分からない・・・」

「いいか、ニーナ」



リボーンは流れる涙を拭い優しい声で新奈を説き伏せる



「お前は、誰よりもボンゴレ十代目なんだ」

「・・・?」

「お前の気持ちを吐き出せば、それがボンゴレの答えだ」

「っ!?・・・私の・・・・・・気持ち・・・?」



リボーンの言葉に新奈の瞳が揺れた



「クフフフ、家庭教師もサジを投げましたか
彼女の気持ちは“今すぐ此処から逃げ出したい”ですよ・・・
それとも、“仲間の為に逃げられない”・・・かな?」

「・・・―――かちたい・・・」

「ん!?」

「骸に・・・勝ちたい―――・・・」



新奈の呟きにリボーンが背負っているレオンが、震えた・・・

呟きは骸にも聞こえていたらしく城島の口角はつり上がる



「ほう、これは以外ですね・・・
だが、続きは乗っ取った後にゆっくり聞きましょう・・・君の手で、仲間を葬った後にね!」

「・・・こんな酷い男に、負けたくない―――・・・こいつにだけは、勝ちたい!!!」

「終わりです!・・・!?」



新奈の叫びにレオンの震えはより一層大きくなり骸の言葉と同時にその身を激しく光輝かせる



「!!?」



レオンから出た細い糸のような物が周囲に張り付き宙に留まるレオン



「ボンゴレ、何をした!?」

「私は何もしてないわよ!・・・!?レオン!!?」



自分達にも張り付いたその糸の先・・・光の中心にいたのは、紛れもなくレオン



「ついに、羽化したな」

「羽化?」

「あの時と一緒だ・・・ディーノが“跳ね馬”になったときとな」

「そうか・・・アルコバレーノ、君の仕業だな」



リボーンの言葉に城島は、顔や髪についた粘着質の糸を引き千切りながら言った



「ちげーぞ、こいつは形状記憶カメレオンのレオン、オレの相棒だぞ・・・
どういう訳か、オレの生徒に試練が訪れるのを予知するとマユになるんだ」

「・・・そーだったの?」

「そして、オレの生徒が成長すると羽化する」

「え?(成長?)」

「クフフ・・・それは面白い」

「最後に何を見せられるかと思えば、ペットの羽化ですか」

「全く、君たちはユニークですね、クハハハハハ」



城島、獄寺、ビアンキの口から骸の高らかに笑いが響く



「あいつに笑われるとムカつく・・・
リボーン、これとディーノさんが跳ね馬になるのと、どう関係があるの?」

「見てろ」

「膨らんでる?」



新奈の額に一瞬青筋がたつがリボーンに状況説明を求めるべく切り替える・・・

口元を動かすレオンの体はだんだん膨らんでいく



「新 ニュー アイテムを吐き出すぞ・・・オレの生徒である、お前専用のな」

「新アイテム・・・?」

「ディーノん時は、“跳ね馬のムチ”と“エンツィオ”を吐き出したんだ」

「え”―――?エンツィオってレオンの子だったの・・・?」



希望の宿った目で新奈はレオンを見上げた



「いつまでも君たちの遊びに付き合っていられません
小休止はこれくらいにして―――・・・仕上げです」

「来るぞ」

「っ!?」



三叉戟を手に城島が、新奈とリボーンに襲い掛かるがリボーンは新奈を横へと押し攻撃から遠ざけた



「では、目障りな―――・・・こちらから」



骸は、動かないレオンを真っ二つに斬った



「!?レオン!」

「心配ねーぞ、レオンは形状記憶カメレオンだからな・・・それより、上に何か弾かれたぞ」



リボーンの言葉に頭上へと目を向けると、黒い影が二つ見られた



「ぇ・・・!!」

「無事みてーだな、あれが新アイテムだ」

「あれが・・・ん?」



其れは新奈の手元に落ちてきた



「え・・・これって―――・・・皮製の・・・指貫グローブ!!?」



新奈の新アイテムとは

いかにもパンク系の人間が好みそうな黒の指貫グローブであった



「これで、どうやって戦えと!?
エンツィオとか、武器が出るじゃないの!?手元をお洒落にしてどーすんのよ」



予想外のアイテム登場に新奈は叫ばずにはいられなかった・・・



「・・・さーな、取りあえず着けとけ」

「えっ?・・・・・・」



新奈は取り合えずリボーンの指示通りグローブを着ける



「クフフフ・・・最後まで面白かったですよ、君達は!」

「!!?」



城島は新奈へと三叉戟を振り下ろした咄嗟に手で攻撃を防いだ新奈の手の内からの音に驚く骸と新奈・・・

攻撃の反動で後ろへ飛ばされた新奈はグローブをめくり自分の掌をにある存在に目を見開く



「弾・・・?(ひょっとして特殊弾!?)」

「(特殊弾!!?)」

「そいつだな・・・よこせ、ニーナ」



突然のリボーンの言葉に

頷き弾を投げようとしたが骸がリボーンに攻撃し其れは出来なかった



「撃たせるわけにはいきませんよ」



城島の攻撃を避けたリボーンの腕をビアンキが捕むが其の右腕は千切れレオンの姿へ戻る



「くっ」



骸の攻撃を避けたリボーンは新奈の手にあった特殊弾を華麗に攫った



「ゲット」

「あっ」

「見た事ねー弾だな、ぶっつけで試すしかねーな」

「ぇ―――!?ぶっつけ・・・!?」

「させませんよ」



リボーンに向けていた視線は獄寺の声で其方に引き戻され新奈の視界いっぱいにダイナマイトが広がった



「君の体を無傷で手に入れるのは、諦めました」

「(っ!・・・避けれない)」



目を瞑り衝撃を覚悟する新奈、リボーンは拳銃を新奈へと向ける其れを見て骸は笑う



「間に合うものか」



新奈の近くで大量のダイナマイトが一気に爆発した



「ボムをまとも食らいましたね」

「おやおや、これは重症だ」



ビアンキ、城島の言葉の後、爆煙の中傷だらけで横たわる新奈に柿本はゆっくりと近付く



「何の効果も表れないところを見ると―――・・・特殊弾も外したようですね・・・
万事休す、呆気ない幕切れでしたね・・・さあ、虫の息のその体を引き取りましょう」



三叉戟を手にゆっくりと新奈に近付く



「(痛い・・・体中・・・痛い・・・私・・・此処で死ぬの・・・?
何も出来ず・・・骸に、皆を操られたまま・・・また死ぬの・・・あの時の様に―――・・・何も出来ずに・・・!
こんな痛いおもいをして・・・恐いおもいをして・・・私の所為で皆を酷い目に遭わせたのに・・・!!)」



薄れゆく意識の中、奥歯を噛み締める新奈の頭の中に声が響いた



「ンまぁ!にーちゃんたら・・・
また学校からのお知らせ出してないっ!!いつもいつも、出してって言ってるのに〜!」



自分の部屋を片しながら、文句を言っている自分の母の声と共にその姿が見えた



「(え?・・・・・・母さん・・・?これ・・・夢なの)」



新奈の瞼が僅かに上に上がると別の声が割り込んできた



「なんだよ、これ!?日直日誌にニーナのテスト紛れてんじゃん!100点って嫌味!!?」



日誌を広げて、嫌な表情を浮かべる花が浮かんだ



「(ぁ・・・失くしたと思ってたテスト・・・)」

「ったく・・・あの子凄いんだか駄目なんだかホントワケ分かんないなぁ・・・もーちょっとしっかりしろよなっ!!」

「(て言うか・・・何で花ちゃんの愚痴が・・・?)」



新奈は瞼を再び下ろし、傷の痛みよりも、落ち込みの方が大きくなってきた



「特殊弾の効果みてーだな」

「ん・・・(リボーン・・・)」



新奈は瞳を開きその小さな赤ん坊の姿を映す



「お前が感じているのは、リアルタイムで届く皆からお前への小言だ」

「(小言・・・?なんでこんな時に・・・小言なんて聞かされなきゃならないの・・・?)」

「はひー!!何やってるんですか!?犯人のアジトに乗り込むなんて、正気じゃありません!」

「(今度は・・・ハル・・・?)」



続いての映像は、公園にいるハル、ランボ、イーピン



「ガハハ!ハル、泣いてるもんね!」

「なっ泣いてません!!
ハルはマフィアのボスの妻になるんです!こんなことで泣きませんよ・・・ニーナさん頑張ってください!」



ハルは涙を拭うと、強い口調でそう言った。



「(いや・・・だから妻はムリだって・・・もぉ・・・)」



ハルの言葉に新奈の表情が少し緩む

次は、並盛中央病院に居る、了平と京子が浮かぶ



「落ち着け、京子」

「だって!シャマル先生が、ニーナちゃん達が乗り込んだって・・・」

「心配するな」

「・・・でも」

「アイツはオレが手を合わせた中で、最も強い女子だ
負けて帰ってきたら、オレが許さん」

「そうだよね・・・大丈夫だよね・・・ニーナちゃん、元気で帰ってきてね」

「(笹川先輩、京子ちゃん・・・)」



今度は木に寄りかかっているランチアが見えた



「オレと同じ過ちを繰り返すな・・・仲間を護れ・・・お前がその手でファミリーを護るんだ!」



ランチアの力強い呼びかけに新奈は拳を強く握った



「っ・・・(ランチアさん・・・)」

「オレの小言は、言うまでもねーな」



リボーンの笑みにを伴った言葉に新奈の目に光が宿り柿本の姿の骸を睨みつける



「ほう・・・この期に及んで、そんな目をしますかですが、もう幕引きにしましょう・・・このまま死なれても、困りますからね」



振り下ろされた三叉戟を体を起こし受け止めると新奈のグローブが輝きだす



「!・・・なっ!?」



光と共にグローブはその姿を変え甲には“]”の文字指先まで完全に覆われ、新奈の手を包み込んだ

三叉戟の刃を一本折られ、柿本は新奈から体を離す



「骸・・・貴方を倒さなければ―――・・・死んでも、死に切れない」



新奈の額に、オレンジ色の炎が灯った


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