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標的21 傷つく友たち
並盛ふれあい商店街に着いた新奈の耳に爆発音が届き

足を速めると視界に見覚えのある銀髪が地面に座っている姿を捉えた



「今の爆発音・・・あ、獄寺君!!」

「ん?十代目!どうして此処に!?」

「獄寺君が黒曜中の生徒に狙われてるって聞いて」

「その為にワザワザ!恐縮ッス、今やつけた所ス!」

「やつけた・・・?」

「その辺に転がしといたんで」



体勢を替え新奈に頭を下げ黒曜生が倒れているだろう場所に視線を向ける獄寺に倣い

新奈も視線を移すが、地面が焦げているだけで其処に人影はない



「あれ・・・いない!」

「・・・え?」

「手間が省けた」



新奈と獄寺は声のした背後へと視線を向けると

血だらけで長身の黒曜生・柿本千種が立っていた



「この人が・・・(あんなに出血した状態で、立ってられるの!?)」



新奈の呟きを封じるように、手にしていたヨーヨー・ヘッジホッグを新奈へと向けられ

一歩引いた新奈だがそれで避けられるわけもなかった

針の刺さる生々しい音と共に新奈は目を限界まで見開く

目の前で自身の盾となった人物の名を呟く



「獄寺君・・・」

「十代目・・・逃げて下さい・・・!」



獄寺はその言葉と共に苦悶の表情を浮かべ胸から血を流し倒れた

獄寺を支えるも自身より体格のいい獄寺の重みに膝を着く新奈



「獄寺君!しっかりして、獄寺君!!」



表情を変えることなく二人に近づく柿本千種、それを新奈は悔しさからか涙を滲ませた目で睨む



「壊してから連れて行く」

「(リボーンの言う通り、私を狙って・・・私の所為・・・・・・私の所為でこんな――)」



柿本の言葉に新奈は唇を噛み締め獄寺を抱く腕に力を込めた



「早く済まそう」

「っ・・・!!?」



向って来るヘッジホッグに反応出来ない新奈は突如後ろに引かれ

獄寺を抱いたまま横へスライディングする形でそれを避ける



「フーッ、滑りこみセーフってとこだな」



新奈を引いた人物は山本であった、その笑顔に少し安堵した新奈は息を吐く



「通りかかったら騒ぎが聞こえてさ、来てみたら・・・」



新奈の腕の中でぐったりと倒れている獄寺を見やり

柿本へと視線を向けた山本の目が鋭さを増す



「こいつぁ―――・・・穏やかじゃねーな」

「!!(滅多に怒らない山本君が・・・)」

「邪魔だ」



山本は柿本が放ったヘッジホッグを真っ二つに切り、それにより柿本は小さく反応を示した



「!」

「・・・(例のバット常備してるんだ)」



山本の登場に少し余裕が出来たのか新奈は見当違いなことを考えていた



「そうか・・・お前は並盛中学2−A、出席番号15番、山本 武・・・」



何処から取り出したのかメガネをかけ直す柿本を変わらず睨みつける山本



「だったら何だ」

「(ぁ!そうだ山本君が、並盛中ケンカの強さランキング3位、獄寺君の次じゃない・・・)」

「お巡りさん、こっちです」

「コラ!君たち何してる!!」



近所の人たちが、警官を連れて集まってきた



「!!お前は犬の獲物・・・もめるの、めんどい・・・シャワーあびたい・・・・・・」



溜息混じりに思い足取りでその場を後にする柿本を新奈と山本は見送る



「・・・あっ!獄寺君、大丈夫!?」

「しっかりしろ!獄寺!?」



獄寺の顔色に驚き新奈と山本が慌てて声を掛ける



「取り合えず、病院だよな!」

「あ、うん」

「ちょっと待った」

「!?」

「!Dr.シャマル・・・何で」

「心配すなってニーナちゃん、おい坊主さっさとソイツを連れて来い」



突如として現れたシャマルは涙を瞳に溜める新奈の頭を優しく撫で

山本に獄寺を運ぶよう指示をする・・・そして場所は変わって並盛中学保健室



「どーして隼人が入院してるのがここなのよ?」



ポイズンクッキングと化した果物を持って見舞いにやって来たビアンキ



「ビアンキちゅわーん!」

「よるな!!」



ビアンキに抱きつこうとして蹴られているシャマル



「何だよ、リボーンに頼まれたからベット貸してやったんだぜ」

「隼人の看病は私がするわ、邪魔するなら出てって」

「ビアンキ」

「んなことしたら・・・直るモンも直らんぞ」

「確かに・・・」

「あははは!」



ビアンキが弟思いなのが良く分かり一瞬感動を覚える新奈だが

シャマルの言葉に思わず頷いてしまい、山本はそれに笑う



「山本武、何がおかしい」

「え”オレ!?いや、オレは別に・・・」

「別になに?」

「なに、って別に・・・」

「(獄寺君・・・私の所為で)」



ビアンキと山本のやり取りを尻目に酸素マスクを付け眉を寄せる獄寺に

新奈は居た堪れなくなり保健室から出た



「(私を庇って・・・)馬鹿だな・・・私、足手まといになって・・・・・・」

「後悔している暇はないぞニーナ」



俯く新奈に上からリボーンの声が掛かり新奈は其方へ目を向ける



「リボー・・・って!何それー!?」



天井に張り付いたレオンに乗ったリボーンに驚き思わず声を上げた



「リボーン、今まで何をしてたの?私もう頭ごちゃごちゃだよ・・・」

「イタリアでおきた集団脱獄、調べてたんだ」

「集団・・・脱獄?」

「あぁ、ニ週間前に大罪を犯した凶悪なマフィアばかりを収容している監獄で脱獄事件がおきたんだ
脱獄の主犯は“ムクロ”という少年・・・部下ニ人と日本に向かったという
そして10日ほど前、突然黒曜中に三人の帰国子女として三人の少年が転入した
転入早々黒曜中の不良を絞めてリーダーに納まったヤツが六道骸と言う名だ」

「!(六道・・・骸・・・・・・)じゃあ、脱獄の主犯のムクロと
今回首謀者であろう六道骸は、同一人物・・・?」



リボーンの口から告げられた名前に新奈は反応し確認するとコクリと頷くリボーン



「じゃあ敵はマフィアってこと?」

「逆だぞ、奴らはマフィアを追放されたんだ」

「追放?」

「あぁ、まーどう転がっても、骸たちを倒すしかねーな」



腕を組みながら言い放つリボーン



「倒すって・・・これは完全に本物のマフィアが動かないと仕方ないんじゃ・・・」

「お前宛てに正式な指令たぞ」



新奈の言葉を遮り手紙を取り出すリボーン



「手紙?誰から・・・」

「ボンゴレ九代目からだ」

「え!九代目!?」

「読むぞ・・・『親愛なるボンゴレ十代目、君の成長ぶりはリボーンから聞いているよ
さて、君も次のステップを踏みだす時がきたようだ・・・君に指令を言いわたす
六道骸以下脱獄囚を速やかに捕獲、そして捕らえられた人質を救出せよ、幸運を祈る
追伸:断った場合は裏切りともみなしぶっ殺―――・・・』」

「言わなくていい!」



恐ろしい単語に言葉を被せる新奈その表情に影が差す



「どんなに逃げても奴らはお前を狙い続けるぞ」

「・・・」

「それに・・・奴らがお前を探すためにやったことを忘れるな」



リボーンの言葉に瞼を閉じれば浮かぶのは襲われた人達、涙を浮かべる友人、自分を庇った友の姿



「逃げたくはない・・・だけど(あのヒバリさんだって帰ってきてない・・・
それに"六道骸"の名前を聞いて真っ先に出てきたのは彼の顔・・・考えたくない事ばかり)」

「・・・周りはお前が負けるだなんて思ってねーぞ」

「え?」

「オレも連れてってください!十代目」

「獄寺君!?」

「ヤツの息の根、止めますんで!!」

「ケガは大丈夫なの?」

「あんなのカスリキズっすよ!」



保健室の戸を勢いよく開け、笑顔を浮かべていた獄寺だが足元は覚束無い様に見受けられた



「オレも行くぜ、ニーナ!」

「山本君・・・」

「小僧に聞いたぜ学校対抗のマフィアごっこだって?」

「(違う!)」



いつの間にそんな説明をしたのやら、笑顔の山本に新奈は心中で激しくツッコミを入れる



「私も行くわ!隼人が心配だもの」

「ほげーっ」



ビアンキを見た途端、ぶっ倒れる獄寺



「(逆効果・・・)」

「敵地にのりこむメンツはそろったな、奴らのアジトも分かってる、多分人質もそこだ」

「!そうだ、指令書にもあった人質って一体誰なの?」

「お前達のよく知ってるヤツだ・・・」










「あら?にーちゃんどこか良くの?」



制服から外出着に着替えた新奈を見て

洗濯籠を持った奈々が足を止め新奈の部屋を覗き見る



「うん、ちょっと用があるから」

「今日は出掛けるの止めておいたら?また並中生が襲われたらしいじゃない」

「・・・(今まさにその元凶の元へ赴く所です)」



奈々の言葉に顔を背ける新奈

そんな空気を破る小さな影が奈々の足元をすり抜け新奈の部屋に入ってきた



「ニーナサン無事帰還!」

「ニーナー、また遊んでやろうかぁ!」

「ごめんね二人共これから用事があるから一緒に遊べないの・・・」

「ぶぅ〜ニーナのケチ!ママン、ランボさんお使いに行く!」

「あら、助かるわ」

「お駄賃でアメ買う!」

「イーピンモ、オ手伝イ!」



ランボとイーピンの登場に新奈は頬を緩ませた



「(護るためには勝たなくちゃ・・・いつもの日常にさえ戻れない)」



リボーンが出て行くイーピンを呼び止め耳打ちする光景に首を傾げる新奈

さして気にすることもなく部屋を出ようとすると

スライムの様になってしまったレオンを弄ぶリボーンに呼び止められた



「ニーナ、用心しないとまずいぞ・・・
レオンがこんな状態になる時はいつもオレの生徒は死にかけるんだ」

「それってあのディーノさんも?
(行く前になんで言うかな)・・・不吉な激励ありがとう」

「・・・レオンは少し休ませておくしかねーな」



新奈の嫌味を受け流しレオンをボルサリーノの中へと放るリボーン



「それとな、オレは戦わねーから頑張れよ」

「え!?どうして?」

「今回の指令はニーナへのもんだからな
オレは“死ぬ気弾”以外撃てない掟なんだ」

「イヤな掟ね・・・」

「ちなみに、死ぬ気弾もあと1発しかねーからな」

「へ?」

「死ぬ気弾はレオンの体内で生成されるんだ、今はこんな状態だから作れない」

「レオンが作ってたの!?
って、確か死ぬ気弾ってボンゴレの秘弾って言ってなかった!?」

「死ぬ気弾はボンゴレ伝統の素弾を
形状記憶カメレオンのレオンの体内に3日間うめこむことできるんだ
ちょうど、貝で真珠を作るみてーにな」

「素敵な例えだけど、死ぬ気弾残り一発ってひょっとしてマズイ?」

「よぉ、ニーナ」



リボーンとの会話で嫌な汗をかいた新奈に明るい声が掛けられる



「茶と寿司、差し入れな!」

「山本君・・・行楽気分ね」



袋に入れたそれらを抱え笑顔を携えた山本に新奈は毒気を抜かれ肩を落とす



「ケンカ売ってるの山本武、私の弁当へのケチかしら」

「え・・・じゃあ両方どーッスか?」

「(何であんなに山本君に突っかかるのかしらビアンキ)ぁ、獄寺君は?」

「とっくに来てるぞ」



リボーンの視線は窓、カーテンを開けると門柱から玄関を覗き見る怪しい人物が居た



「(ビアンキを警戒しすぎて不審者になってる・・・・・・思ったより元気そうで安心した
でも、ビアンキと一緒だと元の木阿弥よね・・・)あ!そうだ、ビアンキ」



新奈はある事を思い出し今だ山本を睨みつけるビアンキに声を掛けた



「獄寺君」

「十代目!!いやぁ、素晴らしい門柱に見とれてました!」

「ビアンキなら大丈夫よ、うまく言って顔を隠してもらったから」

「えっ、まじッスか?」



玄関から出てきた新奈は門柱に張り付いてる獄寺に歩み寄り

小さく笑い獄寺に告げるとその表情は一瞬で明るくなった



「隼人も子供ね」



そう言って出てきたビアンキは以前

ランボの教育係を決める際に着ていたリスのきぐるみを被り玄関から現れた



「(違う意味で一緒に居たくねーっ)」



獄寺は頬を引きつらせ心の中で叫んだ



「よし、揃ったな・・・骸退治に出発だ!!」










隣町の黒曜、国道から離れた旧道に位置する廃墟を前に全員足を止める



「静かね・・・」

「新しい道ができて、こっちはほとんど車が通らねーからな」

「・・・ここね、土砂に埋もれてる・・・こんな所で・・・」



いつの間にかゴーグルで目元を隠すビアンキ

山本の肩に乗って楽をしているリボーン

彼等を尻目に荒れ果てた黒曜ヘルシーランドを目にした新奈は頬を引きつらせる



「この一帯、廃墟ですか?」

「ここは昔、黒曜センターっていう複合娯楽施設だったんだ」

「黒曜センター・・・あっ、私、昔此処に来たことある・・・
此処ってカラオケや映画館や小さな動植物園が入ってた所だわ」



獄寺の疑問にリボーンが答えその回答に新奈は昔の事を思い出した



「けど今じゃ夢の跡ってわけね・・・」

「来たことがあんならお前が案内しろニーナ」

「え・・・来たって言ってもだいぶ小さい頃よ」



ビアンキに続いたリボーンの言葉に新奈は眉を寄せる



「カギは錆びきってる、ヤツらここから出入りしてませんね・・・どうします」

「決まってるじゃない、正面突破よ・・・ポイズンクッキング溶解桜餅!」



門に触れた獄寺の言葉に答えたのはポイズンクッキングを構えたビアンキ

構うことなく鍵を破壊し、新奈達は中へと入っていた



「・・・確か、この辺りにガラス張りの動植物園があったと思ったけど」

「そんなものないじゃない、貴女の目はフシ穴だわ」

「っ!?」

「アネキ!」

「んー?何だこれ・・・動物の爪跡みたいな・・・」



山本が自分の足元にある跡に指を這わせる



「来るぞ!!」



リボーンの言葉に全員身構えると

地面が盛り上がりその中から現れた影が山本へと襲い掛かる

何とか避けた山本だがバランスを崩し倒れると

その下がひび割れガラスの音と共に下へと落ちてしまった



「うわああっ」

「いらっしゃーい」



落ちた山本を追って影も穴の中へと飛び込んでいった



「山本君!何・・・今の・・・」

「人影に見えましたが・・・」

「山本君は!?」

「落ちたわ・・・」

「見れば分かる!」

「ニーナの記憶は正しかったな、動植物園は土砂の下に埋まっちまってたんだ」

「え!じゃあ此処は屋根の上!?」

獄寺、ビアンキ、リボーンの言葉に反応して声を荒げる新奈

山本安全確認と獄寺が穴に向かって声を掛ける



「生きてるか?野球馬鹿!」

「痛っつ〜」

「あんな所まで、高いわね此処・・・」

「あははは、びっくりしたー」

「笑ってる場合か!」

「山本君何か居るわ!気をつけて!!」



上から新奈が叫んだ



「!」



山本の視線は獣の唸るような声へと向けられる



「何?獣?」

「これだけ離れてちゃ、手ーだせねーな」



薄暗い中獣の声と影に新奈は目を瞠る、リボーンの言葉に焦りの表情を浮かべる



「カンゲーすんよ、山本 武」

「!?」

「柿ピー寝たままでさー、命令ねーし、超ヒマだったの
そこへオレのエモノがいらしゃったんだもんな・・・超ハッピー」



暗がりから現れたのは金髪で鼻頭に一直線の大きな傷を持った黒曜中の制服に身を包んだ少年だった



「お?」

「あれ?人間!」

「黒曜の制服!!アイツの仲間か!?」

「上の人たちはお友達〜?首を洗って待っててねーん順番に相手するから」



新奈は目を細めて金髪の黒曜生・城島犬を睨みつける



「あははは、お前まるで犬みてーだなモノマネか?」

「山本君・・・」

「あの馬鹿!」



突然笑い出した山本に新奈と獄寺は同時に呆れる



「・・・もしかして天然?まっ、いいけど・・・よーい―――・・・ドン!」



駆け出した城島は地面を蹴り中を飛ぶと

懐から牙を取り出しそれを口へと入れる

壁を駆け回り空中をも回転し目に見えない速さで動き回る



「ひゃほっ」

「っ!!?」

「人間技じゃねぇ!!」

「いったらっきまーす!!」



壁際からの勢いある猛攻に咄嗟に刀で防いだ山本だが城島の牙に折られてしまう



「歯で山本君のバットを・・・」

「ヒャホーゥ!!次はノドを抉るびょん」



少年は口から噛み砕いた刀の破片を出した



「なるほどな・・・マフィアごっこってのは
加減せずに相手をぶっ倒していいんだな・・・そういうルールな」



山本の表情が変わる



「山本君、怖がるどころか・・・」

「アイツ、あー見えても負けん気つえーからな、バットを折られて心中穏やかじゃねーぞ」

「・・・やり合う前に1つ聞いていーか、お前・・・ナリ変わってねーか?いつ変装した?」

「ゲ・・・やっぱ天然?まーいーや、教えちゃう
ゲーム機ってカセットさしかえるといろんなゲームできるっしょ?
それと同じカートリッジを取り替えると―――いろんな動物の能力が発動するわけよ・・・」



実演とばかりにカートリッジ取り替えた城島の体は大きく変化を見せた



「コングチャンネル」

「あれは霊長目オランウータン科ニシローランドゴリラね」

「何でそんな事分かるのよビアンキ、っていうか明らかに体格変わったわよ・・・」

「うお、すげー最新のドーピングかよ」

「だーかーら―――・・・違うんだよ!」



山本の肩を掴むと軽々と投げ壁に叩き付けた



「うあっ」

「山本君!」

「ちっ、見てらんねーぜ」



獄寺はダイナマイトを取り出す



「やめとけ、爆発で建物が崩れたら山本まで生き埋めになるぞ」

「くっ」



リボーンにそう言われ、獄寺は渋々ダイナマイトをしまった



「ほらほら休むなよ、何処に逃げてもすぐに分かっからねーウルフチャンネルのこのオレには!」

「暗くてよく見えねー・・・」

「オレは暗くてもにおいでお前の居場所が分かるもんねー」



暗闇からの猛攻をなんとかかわす山本だが丸腰で何も出来ない



「刀を折られて圧倒的に不利だわ・・・」

「それだけじゃないぞ、あいつは体を庇ってる、ケガを恐れてるみたいにな」

「ぁ・・・」

「逃げてばっかじゃん、もしかしてオレ相手に持久戦に持ち込もうとしてんの?」

「いや―――・・・そーゆーわけじゃねーんだわ
オレにはマフィアごっこ以外にも大事なもんがあってよ」

「(そうだった、野球部はもうすぐ大会があるって・・・
山本君、レギュラー取れたって・・・あんなに一生懸命練習してたのに、此処でケガなんかしたら・・・)」



城島の攻撃をギリギリで避ける山本に新奈の表情は歪む



「・・・こんな所に山本君を連れて来るべきじゃなかった、来ちゃいけなかったんだ・・・」

「そんなに心配ならお前が行け」



リボーンは新奈を蹴飛ばした、下へと落とす



「っえ”!?・・・・・・っ〜〜〜!」



何とか着地したが急に高い位置から落とされたため足にかなりの負荷がかり声にならない声を上げる



「十代目!何やってんスか、リボーンさん!」

「黙って見てろ」

「ニーナ!」

「んあ?新しい獲物れすか?こっちの方が弱そう、さきにを狩っとくかな〜」

「なっ!?」

「いったらっきまーす!!」



城島がターゲットを新奈に変え襲い掛かろうと駆け出す、新奈は痛みの残る足を無視して身構える

が、後頭部に石が当たった事により城島の足が止まり石を投げた山本へと向けられた



「んあ」

「お前の相手はオレだろ?来いよ。こいつ、ぶち当ててゲームセットだ」

「ほへ――――挑戦状だ、面白そーじゃん!んじゃ、オレも本気を見せちゃおっかな」



笑みを浮かべ再び歯を取替える城島、四つん這いになり明らかに今までと違うスピードで山本に向かって駆け出した



「チーターチャンネル!」

「早い!」

「くっ」



あまりの速さに新奈は思わず言葉を漏らし山本は石を投げるも城島に難なくかわされる



「はずれっ!・・・いたらき!!」

「っ!!?山本君!!」

「そいつは―――・・・」



山本の左手に食らい付いた城島に山本は不適な笑みを浮かべ折れた刀の柄を掲げる



「!?」

「お互い様だぜ!!」



勢い良く振り下ろされた柄は城島の頭部を強打し城島は動かなくなった



「アイツ、最初っから腕一本くれてやるつもりで・・・」

「やるわね」

「山本君・・・腕を・・・・・・(私、また足を引っ張って)
ごめんなさい山本君!・・・私の所為で、大会あるのに・・・」

「おいおい勘弁してくれよ、ニーナ、ダチより大事なモンなんかないだろ!」

「・・・うん、ありがとう!」

「それにこれぐらいのケガだったら、余裕で野球できるからさ」



笑って手を動かす山本



「十代目!今、引き上げますから!」



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