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標的20 突然の襲撃
「おはよう」

「あ、おはようにーちゃん」



冷蔵庫を空け牛乳を取り出しつつ

食卓の上にチラシを広げる母の姿に首を傾げる新奈



「何か目ぼしい情報でもあった?」

「にーちゃんはどれがイイと思う?」

「?柔道、剣道、合気道・・・母さん護身術でも習いたいの?」



武道関係のチラシばかりを見せられ訳が分からないと

眉を寄せる新奈、奈々はその疑問に笑顔で答える



「ううん、習うのはにーちゃん」

「え?何で?」

「護身用にね、にーちゃん昔空手やってたけど今は何もしてないじゃない?」

「だからって、随分突然ね・・・」

「この土日で並盛中の風紀委員6人が何者かに襲われ、重症で発見されたんだぞ」



奈々の言葉に眉を寄せる新奈にリボーンは

カップ片手に今並盛で起こっていることについて聞話した



「え!?風紀委員が?」

「犯人はまだ分からないっていうし、にーちゃん同じ並盛中でしょ?心配なのよ」

「母さん、心配してくれるのは嬉しいけど私は大丈夫、空手の腕は鈍ってないから」

「そう?」



奈々は不安を残すも娘の言葉を信じそれ以上勧める事は無かったが



「イーピン教エテアゲル、餃子拳最強!」

「気持ちだけ貰っておくわ、ありがとうイーピン」

「ニーナ!コレで悪いヤツやつけろ」



イーピンは餃子マン片手にランボは手榴弾を手に新奈に纏わり付く



「ランボ・・・これは要らないわ」

「んン〜やつけろ!ろつけろ!」

「これは必要ないのよ、ランボ・・・」

「ニーナの場合、その甘いところを直さないと駄目ね、殺るなら徹底的よ」

「余計なお世話!殺らないわよ、ちょっと早いけどいってきます」

「あ、にーちゃんチラシ見てちょっと考えてみて」

「え・・・」



ビアンキにツッコミを入れ鞄を手に早々に家を出ようとすると

奈々にチラシを押し付けられそれを手に登校する破目になった



「もう、やらないって言ってるのに・・・」

「フゥ太が居れば、ニーナに向いた格闘技ランキング、作ってもらえるのにな」

「要らないわよそんなランキング・・・大体私、格闘技なら空手やってたし」

「それ以上に合ったのが在るかもしんねーぞ」

「知らない・・・そういえば最近フゥ太見かけないわね・・・
また黒い人達に追いかけられてなければ良いけど」



塀の上を歩くリボーンと話ながら登校する新奈の目に

校門の前に集う風紀委員が入ってきた



「!風紀委員朝から随分大人数ね」

「そりゃあ、あんな事件が多発してんだ、ピリピリもするぞ」

「風紀委員に恨みのある奴の仕業かしら・・・」

「ちがうよ」

「っ!ヒバリさん!(背後からって・・・吃驚した)」



リボーンに投げた疑問を別の人物が返答したことで新奈は大きく肩を揺らした



「ちゃおッス」

「やあ、赤ん坊」

「おはようございます」

「随分驚いていたね、新奈」

「背後からは驚きますよ・・・ところでヒバリさんは襲われたりとかは・・・」

「襲われてないよ、身に覚えのないイタズラだ、もちろんふりかかる火の粉は元から絶つけどね」

「ヒバリさんらしい答えです」



柔らかかった雲雀の表情が一転し鋭さを増した目は背後に狙いを定めトンファーを振った



「D.rシャマル!?」



雲雀の攻撃を受け倒れた人物の名を新奈は口にした

シャマルに言い寄られた事にか雲雀の存在にか女生徒は悲鳴を上げ走って門をくぐって行った



「痛ってて、いきなり何すんだ」

「邪気を感じたんだけど、気のせいだったみたいだね」

「だからって、いきなり襲い掛かるなよ・・・おっかない奴だな、お〜痛てて」



季節的に早い一匹の蚊が雲雀から離れると首に違和感を感じたのか

雲雀は新奈の前で一度足を止めるがそのまま行ってしまった



「ヒバリさん?・・・シャマル何かしたの?」

「条件反射でな、今の季節、桜は無いから大丈夫だろ」

「あぁ」

「とりあえず命に別状は無いの?」

「おー安心しときなニーナちゃん」



リボーンの横に歩み寄ったシャマルの言葉に新奈は胸を撫で下ろした



「時に、こんな所で何してるの?」

「何だか物騒な話を聞いてな、女の子達を護らなきゃと思って」

「貴方の存在が女子にとって一番危険な気がするわ・・・」



シャマルから溜息交じりに視線を外すと聞きなれた曲が耳に入ってきた



緑〜たなびく

「うちの校歌?何処から・・・」

並盛の〜大〜なく小なく並がいい〜 ピッ

「(ヒバリさんの着うた――!?)」

「あぁ、そう・・・君達の知り合いじゃなかったっけ、笹川了平・・・やられたよ」

「っえ!」



背を向けていた雲雀が顔だけ振り返り衝撃の事実を告げ

新奈はリボーンと共に了平が搬送された病院へと向かった

そのすぐ側に先ほど話題に上がった少年の存在に気づかずに










並盛中央病院に到着した新奈達は了平の病室を聞くと駆け足で病室を目指した



「笹川先輩!大丈夫ですか?」



新奈はリボーンと共に了平の病室へと駆け込む



「おー沢田か、情けないがこのザマだ」



了平は腕や頭に包帯をグルグルに巻いて

ベッドに寝かされていたが笑いながら話す了平に、新奈は眉を寄せる



「・・・・・・」

「具合はどーだ?」

「骨を何本かやられてな・・・油断したとはいえ恐ろしく強い男だった」

「え、犯人の顔見たんですか?」

「あぁ、あの制服は隣町の黒曜中のものだ・・・」

「黒曜中って中学生だったんですか!?」

「うむ、沢田も気をつけろよ」

「はぁ・・・」

「しかし・・・くそっ」



了平の悔しげな呟きに



「(やっぱり、負けたのが相当・・・)」

「あのパンチは我が部に欲しかったー!!」

「っ!?(こんな時でもボクシングー!!?)」



心配して己に頭を抱える新奈の横から

リボーンが金色の懐中時計を手に了平へと問いかけた



「コレはお前のか?」

「いや、見つかった時オレの胸の上に置いてあった物だと聞いたが」



リボーンは懐中時計の蓋を開き中を確認すると其れは六時で時を止めていた

不思議に思いつつも了平の言葉に新奈は視線を了平へと戻す



「話は変わるが、京子にはこのことを正直に話していない・・・
アイツは心配性なんでな、口裏を合わせといてくれ」

「え?口裏って・・・」



新奈が口を開く前に病室の扉が開かれ京子が慌てた様子で駆け込んできた



「お兄ちゃん!!どうして銭湯の煙突なんて登ったの!?」

「・・・(銭湯の煙突って、どんな作り話したの?)』

「お兄ちゃん・・・それ本当に捻挫なの?」

「ああ」

「(無理あり過ぎ!)」

「嘘!捻挫で入院なんてするの!?」

「酷い捻挫なんだ」

「(突き通すつもりですか・・・)」

「でも、良かった・・・生きてて・・・」



京子は涙を拭いながら言った。



「な、泣くなと言ってるだろ!!」



涙を拭う京子に了平も慌てるが新奈は心中でめいいっぱい突っ込んでいた



「(京子ちゃん、なんで先輩の話を真に受けられるの?)」

「ニーナちゃん、リボーンくんもお見舞いに来てくれてたんだ、ありがとう」

「・・・うん、じゃあ私達はこれで」



病室を出て多少歩きベンチに腰掛リボーンと視線を合わせる新奈



「何で先輩が・・・リボーン――・・・」

「パニくってんのはニーナだけじゃねーな」



リボーンの言葉に待合室付近や廊下には多くの並盛中の生徒が居た



「並中生ばかり・・・」



辺りを見回していると視界に入った病室の中に剣道部主将の持田の姿に新奈は驚いた



「持田先輩・・・」

「ぁ、沢田さん」

「ねぇ、持田先輩どうしたの?」

「えっと、例の奴にやられたらしくて・・・」

「!・・・そう」

「それだけじゃないんだ!
昨晩から三年生が5人二年生が4人一年生が2人
風紀委員じゃない奴が襲われてるんだ!」

「風紀委員以外・・・」

「並中生が無差別に襲われてるんだよ!!」



男子生徒のその言葉に新奈は目を細めると

前方のほうから風紀委員の一人連れた風紀副委員長の草壁が歩いてきた



「では、委員長の姿が見えないのだな」

「えぇ、いつもの様に恐らく敵の尻尾を掴んだかと
これで犯人側の壊滅は時間の問題です」

「そうか・・・」



草壁達の話を聞いた生徒達は舞い上がっていたが

リボーンと新奈は煮え切らない表情を浮かべていた



「えっ、何?」



ブチッっと鈍い音がリボーンの元から聞こえ新奈は其方に目を向ける



「レオンの尻尾が切れたな」

「カメレオンって尻尾切れたっけ?」

「これが起こるっていうことは・・・不吉だ」



リボーンがレオンの尻尾拾い上げながら言った。



「不吉・・・って、レオン大丈夫なの?
尻尾が切れてから色んなものに変わりっぱなしだけど」

「尻尾が切れて形状記憶の制御ができなくなってるんだ」

「レオンの尻尾に一体何が・・・ん?」



その時、複数の足音と慌しい声が聞こえてきた



「退きなさい!!また並中生がやられた!!」



担架を数人の看護士が取り囲み、診察室へ運んでいった



「!?草壁さん」

「風紀副委員長の草壁さんだ!」

「病院出てすぐにやられたんだって!」

「(・・・ヒバリさんが敵地に乗り込んだにも拘らず
襲撃が続いている・・・まさか、考えにくいけどヒバリさんが)」

「レオンを頼むぞ」



リボーンは新奈に鏡餅になったレオンを預け

草壁の懐から了平の病室で見た物と同じ型の懐中時計を取り出し

担架から降りると中を確認した



「リボーン?」

「間違いねーな、ケンカ売られたんのは・・・ニーナ、お前だぞ」

「え・・・?」



変化を続けるレオンを抱いたままリボーンに近づき告げられた言葉に新奈は大きく目を瞠った



「喧嘩売られてるって・・・どういう事」

「コレだ」

「時計・・・笹川先輩の所に在ったのと同じね、さっきもそうだったけど止まってる」

「さっきヤられた草壁が持っていた時計だ・・・
そしてコレが笹川了平の持っていたもの・・・
その前の奴の所にも同じ様に時計が在ったそうだ、七時で止まったままの物がな」

「7、6、5・・・で、時計・・・何かのカウント?」

「そうだ、これはカウントダウンだ・・・そこで、ピンッときたコイツを見てみろ」



リボーンに差し出された一枚の紙

其れと引き換えにレオンをリボーンに渡し、用紙の内容に目を通す、其処に書かれていたのは



「『並盛中ケンカの強さランキング』・・・!この順位って、というよりこのランキングって」

「あぁ、フゥ太のランキングだぞ
オレたちマフィアには“沈黙の掟”オメルタというのがある・・・
組織の秘密を絶対に外部に漏らさない、という掟だ
フゥ太のランキングは業界全体の最高機密なんだぞ、一般の人間が知る訳がない・・・
つまりこのランキングを入手できるのは―――・・・」

「マフィアなしに裏社会の人間ね・・・
5位の草壁さんが襲われたという事は、次は4位の人間が狙われる・・・」

「ああ」

「4位は・・・っ!・・・リボーン」

「ヤべーことになってきたな、お前が行け、オレは気になることを調べる」

「っ・・・リボーンは来れないの?」

「あぁ、調べ終わったらすぐ駆けつける・・・
安心しろニーナ、お前はフゥ太のそのランキングに2位に食い込んでんだ、強気で行って来い」

「・・・分かった!」



新奈の不安を払拭する様なリボーンの笑みと激励に新奈はその場から駆け出した



「(早く知らせなきゃ!私の所為で周りが巻き込まれるなんて絶対嫌!)」



並盛中へ全力で走る新奈だったが背後からのバズーカ音のような音に

思わずスピードを緩めると上から網が降ってきた

咄嗟に避けるも足が絡まり地面に手を着いてしまう



「!・・・え?」

「やった――!」

「やったもんね!」

「成功!」

「ニーナさん確保」

「ハル、ランボ、イーピン・・・何してるの」

「ニーナさんの学校、凄く狙われててデンジャラスって聞いていたので
ニーナさんが悪漢に襲われる前に襲っておけばもう襲われないと思って」

「・・・ハル、私今物凄く急いでるの、早く縄を解いて」



新奈の地這うような声に三人はビクリと肩を揺らし言われた通り素早く動いた

三人の手で絡まっていた縄が解けると新奈はすぐさま立ち上がり学校へと急いだ

後ろからのハル達の声はもう聞こえない



「(獄寺君!お願い無事でいて!)!?公衆電話・・・そうだ、獄寺君携帯持ってた」



新奈は鞄から財布と手帳を取り出し

十円を入れ手帳に記した獄寺の携帯番号を打ち込み受話器を耳に当てる



『お掛けになった番号は電波の届かない場所に居られるか電源が入っておりません』

「こんな時に限って繋がらない・・・」

「あー並中生だ・・・無視、無視、近寄らないほうがイイよ」

「変なことに巻き込まれたくないもんね」

「今そんな風に思われてるんだ・・・」

「さっきも商店街で見た?」

「なんか並中生の子、黒曜の子とケンカしてたんでしょ?」

「!?まさか・・・」



セーラー服の女子中学生二人の会話を聞き新奈は商店街へと走り出した


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