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標的9 命短し ドクロ病
男子のサッカー観戦に夢中の女子黄色い声が上がる



「バレー・・・人数足りないね」

「何が楽しいんだか猿どもの試合なんか見て」



京子と花の言葉にボールと弄びながら新奈は気にした様子も無い



「イイじゃない好きにさせておけば・・・この授業で最後だし
時間的にゲーム出来ないだろうから楽なものだけ片付けて後は押し付けましょう」

「そうしよっか京子」

「・・・イイのかなぁ」



簡単に片付け男子の観戦をしている女子を残して

新奈達は体育館を後にしたさっさと着替えて

新奈は一人教室のベランダからグラウンドを眺めてた



「(なんか・・・目眩がする・・・)」

『恥ずかしやー』

「え?」



妙な声に周りを見回すが誰も居ない



『恥ずかしやー遊園地のお化け屋敷でコースから外れて迷子になったー』



その声に自分の右掌を見ると奇妙な髑髏のペイントの口が動いていた



「何この髑髏・・・喋ってる・・・」










奇妙な髑髏を抱えたまま新奈は急いで岐路に着いた



「一体なんなのこれ・・・」

「それは・・・」

「リボーン・・・なんて格好してるのよ」



大きな鎌に黒頭巾の顔面蒼白の死神的格好をしたリボーンが現れた



「ドクロ病という不治の病にかかった証拠だ、ニーナ死ぬぞ」

「っ!!?・・・・・・死―――・・・」

「すでに死相が・・・ニーナ?」

「本当に死ぬの・・・?」



顔面蒼白で聞いてくる新奈にリボーンは死神の衣装を捨ていつものスーツに戻る



「ニーナ今まで何発の死ぬ気弾を脳天に食らったか覚えてるか?」

「十発くらいね・・・」

「正解だ、死ぬ気弾を十発脳天に受けると、とんでもない事が起こると言われてるんだ」

「それが、不治の病・・・」

「・・・・・・」



新奈はリボーンを抱き上げ家へ歩き出した



「おい、ニーナ・・・?」

「ねぇリボーン、どんな病気なのドクロ病って」

「浮き出た髑髏が死に至るまで、人に言えない秘密や恥を喋る病気だぞ」



リボーンの言葉に新奈は更に顔を青くし足を一度止める



「別名、死に恥を晒す病だ」



リボーンは新奈の顔色を伺うが最早白に近い顔色だ

その顔にリボーンは驚くが顔には出さない、新奈は前を向くと駆け出した



「(恥はイイ・・・だけど人に言えない秘密・・・ダメ!あの事だけは絶対に)」

「・・・(余裕がねーな)ニーナ、ドクロ病は発病してから二時間で死に至る病気だ」

「二時間・・・その間だけなのね、髑髏が喋るの!」

「(余程、聞かれたくないことが有るらしいな・・・)
残念だがそいつは死んだ後でも喋る・・・良かったな笑いの絶えない葬式になるぞ」



笑顔で言うリボーンに新奈は再び足を止めてしまった



「(もし・・・死んでからあの事が前世の事をこの髑髏が喋ったら)」

『悔しやー雪の――・・・』



その単語が出た瞬間新奈は自分の掌を塀に叩き付けた

その瞬間塀は粉々に砕けた新奈の突然の行動にリボーンは腕から抜け出し地に足を付けジッと見る

続きを喋ろうとする度砕けて尖った石の上に手を叩きつけ血を流す



「はぁはぁ・・・(今・・・絶対言おうとし――・・・)」

『恥ずかしやー財布を落としたと思って慌てて探しに行って結局鞄の中に入ってた』



右手とは別の場所からの声に新奈は上着のブラウスを捲ると

新たな髑髏が脇腹に浮き出ていた・・・



『悔しやーあの男ど――・・・』



その髑髏が再度口を開きその言葉に新奈は側に落ちていた鋭い破片で髑髏を潰した



「あ”ぁ”・・・っ」



目に涙を浮かべ腹と手から血を流す新奈に

リボーンボルサリーノ下げ見ないように言葉を添える



「ニーナ、助かる方法が一つだけある」

「・・・っえ?」

「オレの知り合いに不治の病に強いドクターがいるんだ
ソイツが治療すればその髑髏は消えるぞ」

「消える・・・?」

「あぁ・・・だからそれ以上痛めつけるのは止めろ、傷が残るぞ」



新奈はふら付きながらリボーンと共に家へと歩く赤い雫をこぼしながら

玄関の戸を開けると階段の上からポイズンクッキングに顔を覆われた人物が落ちてきた



「・・・・・・誰?」

「コイツがDr.シャマル、オレがイタリアから呼んだドクターだ」

「え?・・・・・・じゃあこの人が?」

「ふぅ・・・久しぶりに世の中の為になる事をしたわ」



上から降りてくるビアンキを見上げ、上を見たことで

貧血を起こし新奈の体が傾く、ビアンキは逸早く其れに気づき新奈を支えた



「ニーナどーしたの?血だらけじゃない」

「ありがとう、ビアンキ・・・」

「相変わらずお転婆だな・・・」



ビアンキに支えられているが新奈の顔色は悪い

そんな中ビアンキの攻撃を受けたシャマルが立ち上がった



「危なかったぜ、やっぱり女の子はそーでなくっちゃ・・・ますます好きになっちゃった!!」

「死ね!!」



新奈を床に伏せさせシャマルに回し蹴りを入れるビアンキ

一度は倒れるシャマルだが直ぐに起き上がりビアンキを追いかける



「たくぅ、照れ屋さんだなー」

「寄るな!」



ビアンキのポイズンクッキングで壁に張り付くシャマル



「見ての通り、女好きのキス魔だ・・・ニーナ?おい、ニーナ・・・ちっ!おいシャマル」



自分の言葉に反応が無くリボーンはニーナの顔色を伺うと壁に背を預け気を失っていた










「ん・・・」

「お、気づいたかお嬢さん」

「Dr.シャマル・・・」



新奈が目を覚ますと自分の部屋のベットで寝ていた

手や腹に包帯も巻かれ処置されている



「あ、ドクロ病」

「大丈夫だ、ドクロ病はシャマルが治してくれたぞ」

「え?薬も道具も何も無しに?」



軽装なシャマルの脇には救急箱くらいしか見当たらない

自分の手には点滴が付いているがとてもコレで治ったとは思えない



「道具と薬ならコレさ」



そう言って小さなケースを開くシャマル其処には幾つものカプセル



「俺は生まれつき病原菌やウイルスを吸着しやすい体質でな・・・現在666の不治の病に掛かってる」

「666・・・って大丈夫なんですか?」

「あぁ・・・何故平気かと言えば対照的な二つの病気に掛かる事で
症状を打ち消しあってるからだ、例えば高熱が出る病気には体温が下がる病気っていう風にな」

「因みにドクロ病と対になる病気はエンジェル病・・・こいつだ」



シャマルが指を差し出すと其処には蚊が停まっていた



「蚊?」

「シャマルは普段は医者だがトライデント・シャマルっていうヒットマンでもある
666種類の不治の病原菌を持つ蚊を操り、敵を病死させるトライデントモスキートだ」

「お嬢さん、傷は綺麗に直るよう処置したから安心しな」

「・・・ありがとうございます、Dr.シャマル」



新奈はシャマルに礼を言いシャマルはすぐに家を出て行った

何でも女性が俺を待っているらしい



「面白い人ね・・・」

「まーな・・・ニーナお前、何をあんなに隠したかったんだ?」

「・・・・・・秘密、この秘密は自分の墓まで持っていく、いくらリボーンでも教えない」



新奈は口元に指を立て妖艶な笑みでリボーンに告げた

いつもとは違う色のある笑みにリボーンは血色のよくなった顔をボルサリーノで隠した



「ニーナの癖に生意気だぞ」

「くすくす」


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あきゅろす。
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