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標的8 先輩ボスはファミリー思い
学校終わりの放課後、新奈は珍しく一人で下校していた



「(イマイチ分からないのよねこの問題の意味・・・帰ったらリボーンに・・・)ん?」



今日習った箇所で分からない所を纏めて家で待ち構えている赤ん坊に聞こうと

教科書に印を付けると家の前が騒がしく其方へ目を向けた



「!!?(何この黒い集団!?マの付く自由職の方!?)」



立ち止まった新奈に鋭い眼光が向けられ新奈はビクリと反応したが



「お帰りなさいませ、沢田新奈殿」

「え・・・?」

「さぁ、どうぞ」



左右に別れ、道を開く黒服の男達、促される新奈、恐くて真っ直ぐ前を向けず

下を向き自分の鞄を両手で抱え、早足で自分の家の玄関の戸の中へ逃げ込んだ



「何なのいったい・・・」

「お帰りなさいにーちゃん、お客様がいらっしゃっているわよ」

「客・・・?(外の状況を見ると凄く不吉だわ)」

「ふふっ、リボーン君にあんなハンサムなお友達がいるなんて」

「ハンサム?」



頬を染める母に怪訝な表情を浮かべながら

恐らく自分の部屋で一緒に待っているのだろうと新奈は階段を上がる足を速めた

しかし、外の恐い人関連に自然とゆっくりと戸を開け顔半分を覗かせると



「っ!?(部屋の中にも居る!!)」

「待ってたぞニーナ」

「リボーン・・・」



覗いた状態で声を掛けられいつもの高い声に安堵するが、ドアを開けきれない



「何してんだ、早く入って来い」

「〜〜っ」



今にも泣き出しそうな新奈に歩み寄るリボーンをその隙間から抱き上げ

恐る恐る部屋に入る、口元はリボーンを抱き上げることで隠す



「よーボンゴレの大将」

「っ!?」

「遥々イタリアから、遊びに来てやったぜ・・・
俺はキャバッローネファミリーの十代目ボス、ディーノだ」

「(やっぱりそうだった!しかもボスぅぅ!!)」



新奈を見る眼光が鋭くなり新奈は強くリボーンを抱きしめる



「だはは、こりゃー駄目だな!」

「?・・・っ」



どこから持ってきたのか革張りの椅子から立ち上がり

新奈の前へと歩み寄ると新奈は一歩下がる



「オーラがねぇ!」

「・・・・・・え?」

「面構えが悪い」

「はぁ?」

「覇気もねーし、期待感もねェ」

「・・・・・・っ」

「度胸もねェ金も無いし身長もない!」

「(私・・・?私に言ってるの?リボーンまで・・・)」

「幸も薄そうだ」

「(ブチッ)」

「ボスの資質、ゼロだな」

「うん」

「「あはははは!」」



リボーンが頷くと部下二人にまで笑われ温和な新奈も流石に切れ

抱いていたリボーンを離し、目の前の無駄に煌めいている男の胸倉を掴んだ



「リボーン、初対面の人間、しかも女にコレだけ言ったんだもの・・・イイわよね」

「あぁ、いいぞ」

「へ?・・・ごふっ!」



新奈は拳をディーノの腹に力の限り打ち込んだ、膝を付くディーノ見下し指を鳴らす



「反論しないからって随分好き勝手言ってくれたわね・・・マフィアは女を大事にするものだと私は先生に習ったけど
貴方はどうやらそういった教育は受けてないらしいわね、ボスだからって貶して良いことなんてないわ」



青筋を立て笑顔の新奈は恐かったディーノは顔を青くする

マウントポジションでディーノをタコ殴りにし

ディーノの部下が新奈を羽交い絞めにし止める

がその部下二人の顔面に裏拳を入れ、容赦なくディーノを殴る



「ニーナその辺で止めとけ、顔が変形すんだろ」

「・・・・・・リボーン、何なのこの人達」



ディーノの胸倉を掴んだままリボーンを見る新奈の目は据わってた



「オメーホント大人の男には容赦ねーな・・・そいつ、ディーノはお前の兄弟子だぞ」

「うぅ・・・」

「しぶといわね・・・」



新奈はディーノの背後から腕を使って首を絞めたディーノはその腕を叩いて開放を促す



「〜〜ぐぇ!」

「で、兄弟子って?」

「・・・説明してやるから離してやれ」



新奈が渋々離すとディーノは倒れた部下二人が慌てて駆け寄る










「悪りぃ事ばっかり言ったのは謝る・・・すまなかったボンゴレ十代目」

「オレは此処に来るまでディーノをマフィアのボスにすべく教育してたんだ」

「だったらちゃんと教育しときなさいよ、初対面の女を貶すのが貴方流の教育なの?」

「んなワケねーだろ・・・これでディーノも女の恐ろしさっつーもんが分かっただろう?」

「なっ!?リボーンお前こーなるの分かってたのか!?」



不機嫌絶頂の新奈は目の前の男共に冷たい視線を向けた



「〜・・・リボーンの特訓は容赦なくてな、何度死にそうになったことか・・・さっきのも含めて・・・
お陰で今じゃ、五千のファミリーを持つ一家のボスだ
本当は、リボーンにもっと色んな事を教わりたかったが、お前の所に行くって言うんで、泣く泣く見送ったんだぜ」

「私はマフィアのボスに成る積りは毛頭無いので、先生を連れて行って頂いても構いませんよ」



ディーノの眼光が再度鋭くなるが今度は新奈も怯まない



「リボーンの言うとおりだ、こいつ昔の俺にそっくりだな・・・」

「お前より飲み込みが早えーし強えーがな」

「っ・・・俺もボスの座を継ぐ気は無かった最初っからマフィアを目指すヤツに
碌なのはいねーからなリボーンの腕は確かだ、きっとお前も立派なボスに成れる
それでも一生やらねーって言うなら・・・」



懐に手を入れ何かを出そうするディーノ、拳銃かと身構える新奈の目の前に現れたのはつぶらな瞳



「噛むぞ!」

「・・・・・・」

「・・・おい、ニーナ?(やべ、しくったか?)」



新奈は現れた亀の前に指を差し出し突付いてみた

その指を甘噛みする亀に新奈は此処で初めて笑顔を見せた



「・・・可愛い」

「(可愛い・・・)コイツはエンツェオっていって
リボーンにレオンをくれと言ったら代わりにくれたんだ」

「このレオンはオレの相棒だからな」



エンツェオの登場で新奈はようやく機嫌が治ったらしくいつもの笑顔を見せる

そんな中、子供特有高い声が聞こえ部屋のドアが開かれたイーピンに続き手榴弾を持ったランボが入ってくるが

転び手にした手榴弾はピンを残しランボの手元から窓の外へと放られた



「ぁ!!?」

「ヤベーな、外にはディーノの部下達がいるぞ」



その言葉を聞き素早くディーノは窓から外へ飛び出し

懐から鞭を取り出すと手榴弾を二つ空高く放った



「凄い・・・」

「分かったか、ファミリーの為に命を張るのがボスだ」

「やぱっり其処に結びつくのね・・・」



彼の運動能力を賞賛した新奈の言葉はマフィアのボスへと結びつき苦笑いが漏れる



「ディーノ、お前今日泊まっていけ、ママンの許可はもう取ってるぞ」

「俺はイイけど・・・こいつ等がな」

「部下は帰ってイイぞ」

「リボーンさんの所なら安心だな」

「あぁ、清々するぜ!」

「お前らなァ・・・よっしゃっじゃあボンゴレの十代目に説教でもたれるか」



リボーンや部下達とのディーノのやり取りに新奈は肩の力が抜け口角を少し上げた










「さぁ皆たくさん食べてね」

「ありがとう!うん、うめぇ!!」

「(凄い大人数・・・食費大丈夫なのかしら)」



自分の席から見える人数にちょっと家計を心配を魚の切り身を突付きながら思った



「何か聞きたいことはねーか?可愛い妹分よ、兄弟子としてアドバイスしてやるぞ」

「イキナリ聞かれても・・・何を聞いたらイイのか分かりません・・・」

「そうか・・・そういえばニーナのファミリーは出来たのか?」



質問に戸惑う新奈の助け舟と話を繋げる為にリボーンに話を振るディーノ



「今んとこ、獄寺と山本・・・あと候補なら雲雀と笹川了平」

「其れは友達と先輩!・・・ぁ、そうだリボーンはどうして私の所に来たの?
ディーノさんとの方が上手くやっていけそうなのに」

「ボンゴレは俺達同盟ファミリーの中心なんだぜ、俺達のどのファミリーより優先されるんだ」

「えっ?ボンゴレファミリーってそんなに・・・(重い・・・)」



新たな事実に新奈は眉間に皺を寄せる



「あらあらディーノ君ったらそんなに溢して」

「うわぁ・・・」



奈々の言葉にディーノの手元を見れば隣に座るランボより凄い溢し方をしていた



「ディーノは部下がいないと半人前だからな」

「?」

「コイツはファミリーの為じゃねーと力を発揮できないタイプなんだ
部下がいねーと運動能力も極端に下がるしな」

「それってある意味、究極のボス体質ね・・・」

「またリボーンはそーいう事を・・・ニーナが信じるだろう?
普段の食事はフォークとナイフだから箸が上手く使えねーだけだよ」

「え?嘘なの?」



三人の会話の脇で食べ終わったランボが

お風呂を目指し駆け出していったその直ぐ後悲鳴が上がった



「!?ランボ!」

「どうした!・・・っぉ!!?」



立ち上がった新奈より先に駆け出そうとしたディーノが倒れてしまった



「ティ・・・ディーノさん、大丈夫ですか?」

「痛っっ・・・自分で自分の足を踏んじまった」

「・・・・・・」

「相変わらずだな」

「・・・ボス体質本当なの!?ぁ、それよりランボ」



転んだディーノを放置して風呂場に駆け込んだ新奈



「ランボ、どうしたの!?」



服を着たまま湯船に入っているランボに

新奈は溜息を吐く、その後ろにディーノも追いついた



「ランボ・・・服着たまま入ら・・・なっ!!?」



ランボの下から巨大な亀が姿を現した



「え・・・亀・・・なの?」



亀の背から落ち泣き喚き新奈の元へと駆け寄るランボ



「あちゃーエンツェオの奴いつの間に逃げ出したんだ!?」

「嘘!?あれがエンツェオ!」

「エンツェオは水を吸うと膨張するスポンジスッポンだ、巨大化すると家一軒食っちまうんだ」

「一軒・・・っ!!?」



浴槽を玩具のように壊してしまうエンツェオに新奈は嫌な汗をかく



「イーピン、任セル・・・破っ!」



イーピンの手から餃子拳が放たれるが顔面に受けたにもかかわらず

エンツェオはなんでもない様子で破壊活動を続ける



「イーピンの餃子拳が効かない!?」

「亀は長い間息を止めてられるからな」

「リボーン、どうしたらイイの?このままじゃ家が壊される!」

「手を出すな!テメーのペットの面倒も見切れねェ様じゃ
キャバッローネ十代目の名折れだ!静まれエンツェオ!!」



新奈は目を瞠るが、我が家の事を考え

リボーンに指示を仰いだがディーノが新奈の一歩前に歩み出て鞭を構えた、が・・・



「・・・っ!!?」

「すまん!すっぽ抜けた!」



エンツェオではなく真後ろの新奈へと向かってきた鞭に

新奈は咄嗟に手で防ぐが予想以上の痛みに手を押さえ身を縮めた



「コレで分かったろ、部下が居ないとアイツはまるでダメなんだ」

「・・・の、ようね」



浴槽から這い出し出口に向かってきたエンツェオに新奈とディーノは同時に一歩下がる



「しかたねーな、レオンの出番だ」



レオンがリボーンのボルサリーノから新奈の顔に飛び移るとその能力であるものに姿を変えた



「ロマーリオ、帰ったんじゃなかったのか!?」

「・・・え?」

「バッキャロー!俺に任せて下がってろ!」



レオンがロマーリオの仮面になった瞬間、先程の駄目っぷりが嘘のように

鞭でエンツェオの足を絡めとりその巨体をひっくり返した

其れを見届けるとレオンはカメレオンへと戻る



「・・・部下がいると本当に別人」



新奈はディーノのあまりの変貌振りに呆気にとられた



「あれ?ロマーリオは・・・?」

「もう帰ったぞ」

「(無理あるでしょう)」

「そうか」

「(納得するの!!?)」



ディーノとリボーンのやり取りに驚きのツッコミをいれる新奈にディーノが振り返る



「ニーナ、コイツを乾かさねーといけねーんだが・・・」

「あぁ、部屋にドライヤーあります持ってきますね」

「いや、流石にママンに見せるわけにいかねーし、部屋に運ぶか」

「え”(部下が居ない状態のこの人に運ばせるのは危険すぎる!)わ、私が運びます!」

「いや、女の子に・・・」

「大丈夫です!」



ゴリ押ししイーピン達の力を借り、鞭の巻きついたエンツェオを新奈の部屋に運び

ディーノがドライヤーで乾かすのをリボーンと共にベットに腰掛眺める



「すまなかったな、エンツェオ」

「(面倒見はイイ人なんだろうけど、ドジな所が惜しい人だな)
あ、そうだリボーン今日の授業で聞きたいことがあったの」

「お、なんだ?」



新奈は英語の教科書を取り出し印をした箇所を指差した



「コレ・・・この文、訳がどうしてもおかしくなるのよ」

「ふむふむ・・・あぁ、これは――・・・」



ベットの上で勉強を始める元家庭教師と妹分にディーノは感嘆した



「えー・・・こんな訳し方あり?」

「こりゃー教科書がわりーな、学校側に文句言っとけ」

「ニーナはちゃんと分からない所を聞けるんだな」

「え?」



リボーンの教え方で納得はいったが不満だと前面に押し出す新奈にディーノがポツリと漏らす



「いや、俺がニーナくらいの頃、勉強なんて全然出来なくて
何処が分からないかも分からなくて・・・リボーンの解説も
分からないとこだらけだったから・・・スゲーなって」



縮んだエンツェオを懐にしまいドライヤーを弄んでいたディーノのに新奈は優しく笑った

その笑顔にディーノは目を瞬かせる、其の手からドライヤーを受け取り

元の場所に戻しながら新奈は口を開いた



「全部を理解できるなんて私も思っていませんし、勉学も必要ではありますが・・・
私は、ディーノさんの方がずっと凄いと思います
昔があるから今があるように過去の自分は切り捨てることは出来ないけど・・・
そうやって自分の非を認められるということは、貴方の成長の大きさを現してると私は思います」

「非って程でもねーがな・・・誰から見てもダメダメだったし」

「人間性の問題です・・・私は、過去の自分の非を認められない
あの時の非を認められる自分になれたら私は・・・少しは貴方に追いつけると思いたいです」



自傷の笑みとも取れない綺麗な笑みにリボーンとディーノはしばし見入った

ディーノは立ち上がり自分より遥かに小さい新奈の頭を優しく撫でた



「お前はデカくなるよ・・・俺が保障してやる(絶対イイボスになる)」



ディーノの心に秘めた言葉を読み取ったリボーンはボルサリーノを下げ口角を上げ静かに笑った










翌朝、準備を早々に済ませ家を出た新奈



「行ってきます」



新奈が門を出るとキャバッローネファミリーの面々が家の前で屯っていた



「Buon Giornoボンゴレ十代目」

「ボ、ボンジョルノ・・・皆さん、ディーノさんでしたら・・・」

「なんだ、お前ら」



新奈を見送りに玄関に居たディーノが家の中から出て来た



「迎えなんて頼んでねーぞ」

「誰も迎えになんて来てねーよ、ボス・・・散歩してぶらついてたら、ココに着いただけだぜ」

「駅前のホテルからかよ…」

「(ディーノさん、部下に慕われてるのね)」



ディーノ達のやり取りに小さく笑う新奈の耳に馴染みの声が届く



「おはようございます、十代目!!」

「獄寺君、おはよう」

「早起きしてぶらぶらしてたらココに着いちゃいました」

「フッ(同じ事言ってる・・・)」

「ニーナさんブラブラしてたらハルも来ちゃいました!
ニーナさんに会えるなんて朝からラッキーです!」

「ハル、おはよう(朝からハイテンションね・・・)」

「おはよぉス、何やってんだオメーら」

「山本君、おはよう」



ハル、山本に並ばれ眉間に皺を寄せる獄寺に門柱に体重を預けたままディーノが話し掛ける



「よぉ、ハリケーン・ボム、会うのは初めてだな」



ディーノに視線を向けた獄寺は其の左腕のタトゥーに気づき眼光を鋭くする



「お前は・・・跳ね馬のディーノ!!」

「皆!学校遅れちゃうから行こう!」

「お、おう」

「行ってきます!」

「ハルも途中までご一緒します!」



飛び掛りそうな獄寺の手を引き早々にその場を後にする新奈に

山本、ハルと続いた・・・其れを見送るディーノとリボーン



「あれがニーナのファミリーか・・・まだ子供だな」

「気になるみてーだな」

「そりゃーな」

「使えそーか?」

「どーかな・・・ファミリーにとって最も重要なのは信頼だ・・・それが見えない限り俺は認めねーよ」

「だったら試してみるか?」










家の見えなくなった頃、新奈は獄寺からディーノについての話を聞いていた



「そんなに凄いのディーノさんのキャバッローネって」

「えぇ、アイツが先代が傾けたファミリーの財政を立て直したのは有名な話ス
キャバッローネファミリーっつたら、今や同盟の中でも第三勢力ですしね」

「へー・・・ディーノさんって経営者としてもやり手なのね」

「俺は好きじゃないッス」

「え?どうして?」

「年上の野郎は全部敵スから」

「範囲広!」

「なーニーナ」



新奈達は前を歩く山本とハルの方へと視線を移した



「宿題やってきたか」

「あぁ英語の?やってきたよ、獄寺君と山本君は?」

「オレ忘れちまった」

「ざまーねーそのまま先公に怒られちまえ」

「んなこと言わずに見せてくれよ、なっ」

「誰がテメーなんかに――・・・」

「んじゃニーナ」

「十代目に甘えんな!!」

「はひー・・・教科書も違いますし、ハルはお力になれませんね」

「しょうがないわよ、ハルは学校違うんだから
早く学校に行きましょうか、英語二時間目だからまだ間に合うよ」

「だな!」

「けっ」



足を止めて話している一向に割って入るエンジン音、全員の視線が其方に向く

赤いスポーツカーのドアが開くと共響くブレーキ音・・・すれ違い様に新奈にロープが絡みつく



「え・・・!?きゃあっ!!」

「十代目!!」

「ニーナ!!」



ハルの叫び声と共に獄寺と山本は新奈を呼び走り去る車を追おう駆け出す



「待て!あれは、ここら一体を締めてるヤクザ、桃巨会の奴だ」

「リボーンさん!!」

「そうです!警察に・・・携帯!!」



慌てて鞄を漁りだし携帯を探すハル



「お前達がかなう相手じゃねぇ、ディーノと部下達に任せろ」

「任せられません!」

「そーゆーことだ、後は任せたぜ」



リボーンの言葉を振り切り獄寺と山本は車の去った方向へ駆け出した

ハルがリボーンと二人を交互に見オロオロしていると先程走り去った車が後方に現れた



「気に入ったぜ、あいつ等の頭にはニーナを助けることしかねー冷静とは言えねーがな」

「ニーナさん!無事だったんですね・・・良かった――・・・」

「何するんですかディーノさん!」



車から降りたディーノとロマーリオに降ろされ

ロープを解かれる新奈の姿にハルは安心したように座り込んだ



「悪い悪い!お前のファミリーを試させてもらった」

「試す・・・?」

「桃巨会なんて嘘なんだあいつ等がお前を助けようとするか、見てみてかったんでな」

「それではボス、私はコレで」

「あぁ、ありがとよ!」



ロマーリオは一言添えると車と共に去っていく



「ニーナお前は幸せモンだな・・・あんなボス想いのファミリーそうそう居るもんじゃないぞ」

「ファミリーじゃなくて二人は友達です・・・」



それでもディーノの言葉が嬉しかったのか新奈の頬は赤い



「あ、そういえば言い忘れてたな、桃巨会ってのは、本当にこの街に実在するぞ」



ケロっととんでもない爆弾を投下したリボーンに新奈とディーノが同時に食って掛かる



「なっ!?じゃあ二人は本当に乗り込んで行ったの!!?」

「何考えてんだリボーン!ひよっ子のあいつ等が歯が立つ相手じゃねーだろ
たくっ、お前はどうしてそう極端な事をするんだ!」

「そうよ!二人に何かあってからじゃ遅いのよ!!」

「「っ!?」」

「スピ――・・・」

「こんな時に・・・獄寺君!山本君!!」



鼻提灯を作り眠るリボーンを放置しハルの横をすり抜け

新奈は急いで桃巨会のアジトへ向かったディーノもその後を遅れながらも追った



「(ぁ、山本君の鞄・・・此処で間違いないわね)」

「そこだな」

「開けますよ・・・」

「あぁ」



新奈の後ろを追ってきたディーノの姿に確認しドアを開けたが目の前の光景に二人は目を瞠った



「教えてくんねーかな・・・」

「吐けよコラ!十代目は何処だ!!」



山本と獄寺がヤクザを締め上げていた



「なっ・・・」

「二人でやったの・・・?」

「ん?ぁ、十代目!!ご無事で」

「元気そうじゃねーか!」



獄寺は新奈の姿を視認すると胸倉を掴んでいたヤクザを放り投げ目を煌めかせ



「たいしたもんだなコイツ等・・・」

「え・・・えぇ」

「何してくれてんだガキ共・・・」

「なめた真似してくれたな」



組長、その他強面の面々が現れ、獄寺と山本は新奈を隠すようにディーノ達の前へ躍り出る



「チッ、次から次へと」

「おい、待て!!さっき倒したのとは格が違うぜ、こいつ等の相手はお前じゃまだ無理だ」

「あ”ぁ”!」



不機嫌丸出しの獄寺の前に出たディーノはゴールドカードを取り出した



「こういう事になったのは俺の責任だ
全員の治療費と備品の修理費はコレで払う、コレで手を打ってくれ」

「はっふざけんな・・・金は頂く!そしてテメーらは帰さねー」

「交渉決裂か・・・じゃあ力ずくで帰るしかねーよな!・・・いくぜ!!」



聞く耳持たずの組長の言葉にディーノの鞭が唸る、其の先には・・・獄寺、山本、自身の顔に当たった



「っ・・・何すんだテメー」

「いって――・・・」

「(そうだ、ディーノさん・・・部下が居ないと運動音痴だった・・・)」

「ヒャハハハハ!何だ、今のは!!なめんな!」



痛みで動けないディーノに殴りかかろうとした組長のに向かって飛び

其の顔面に向かって着地した、組長の顔には小さな足跡が二つ並んだ



「ってめー!!がっ!」

「女だからって・・・なめないで!」



新奈の拳が腹に連続して打ち込まれ足で後方に飛ばされた組長に他のヤクザが数歩後退する

全員顔を見合わせ一斉に襲い掛かってきた、武器まで振るわれ避けようとした瞬間

新奈の額に衝撃が走り後方に飛ぶ次に目を開くと其の額に炎が灯る



「復活!死ぬ気で倒す!!」



起き上がった新奈の両拳に銃弾が打ち込まれ新奈の拳は肥大化した



「な、何だ!あの手は!!?」



驚くヤクザ達に拳を使い構わず薙ぎ倒す



「・・・ニーナの奴、やるじゃねーか・・・・・・!!」



ようやくディーノが起き上がるのとほぼ同時に

二人のヤクザが同時に背後から攻撃を仕掛けてくる瞬間



「十代目!」

「ニーナ!」

「大丈夫スか、十代目!」

「後ろはオレ達に任せろ!」

「えぇ!」



ヤクザを地に沈め、新奈の背後を固める獄寺と山本、その三人の姿に目を瞠るディーノ



「あいつら……」

「俺達も負けてらんねーな、ボス」



出入り口には自分の信頼する部下達の姿にディーノは笑みを深める



「お前ら!!」

「何1人で怠けてんだよ?」

「うるせーよっ!」



立ち上がり鞭を構えるディーノは笑みを深め獲物を狙う



「よっしゃ!暴れるぞ!!」



其処からは流石現役マフィア、あっという間に桃巨会は壊滅した










夕刻・・・一行は沢田家の新奈の部屋にて顔をつき合せていた



「あはは、よく分かった・・・お前らにならニーナを任せられるぜ」

「え・・・いや、任せるとか、そんなっ・・・」

「言われるまでもねー・・・十代目を護るのは右腕であるオレだ」

「いやーでも、無事でよかったよな」

「獄寺君、山本君」



ディーノの言葉に慌てる新奈の後に続く二人の言葉に新奈は頬を緩ませる

その様子にディーノは椅子から立ち上がる



「じゃー俺、帰るわ」

「え・・・もう?」

「これでもボスとして忙しい身なんでな」



ディーノに一つ聞きたい事を思い出し新奈は部屋を出るディーノの後を追う



「ディーノさん」

「ん?」

「・・・貴方はどうしてマフィアのボスに成ろうと思ったんですか?・・・嫌だったんですよね?」

「あぁ・・・だけど俺は、ファミリーが大事だからさ」

「・・・っ」

「俺が護れるなら護りたいと思ったニーナもそうだろ?」

「そう、ですね・・・私はただ・・・護りたかった」

「ニーナ、お前は信頼出来る奴だ」



ディーノの笑みに新奈も釣られて笑う



「さて、エンツェオもお別れの挨拶を――・・・うわわわ!!!」

「ディーノさ――・・・っ!!?」



懐に手を入れエンツェオを出そうとしたディーノは階段を踏み外し新奈は其の手を掴むが

成人男性は以外に重い、新奈はそのまま一緒に階段下まで落ちた、が・・・

ディーノがクッションになってくれ怪我は無かった



「あら賑やかねにーちゃんったら
お兄さんが出来たみたいで嬉しいからってはしゃいでいるのね」

「いや・・・そうじゃないよ」



台所から顔を出した奈々に苦笑いする新奈



「もう直ぐご飯も出来るから皆を呼んできて
ディーノ君もまたたくさん食べてね、ナイフとフォークも出しておくから」

「はい・・・」

「今日も泊まりますか?」

「ママンの食事は上手いからな」



奈々の言葉に階段下で倒れたままやり取りする二人を階段上から声が掛かる



「十代目、大丈夫ですか!?」

「いい匂いがするな、オレ達もお邪魔してイイのかニーナ」

「ごはんだもんね!」

「メシは当分お預けだぞ」

「え?」



リボーンの言葉に体を起こし首を傾げる新奈

洗面所から物凄い音共に、扉が壊れ大きくなったエンツェオが現れ全員追われたのだった


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