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000 主人公来る!

以前の私の名前は高井新奈だった・・・
そう以前・・・数年前までの話なのだ、物心つく頃から施設に居たけれど、別にグレていた訳ではない。両親の記憶がないといっても、他界してしまった両親に成り代わり、引き取ってくれる親戚がいなかった為・・・恨む事なんて無かった。施設行きになっても、優しいシスター達に囲まれ、自分より年上の兄さん 姉さん達も優しく、下の子達の面倒もちゃんとみた。同じ年の子とも、学校でもあぶれる事もなく平和に過ごした、捻くれる要素など皆無・・・そんな私がこんな現状に陥っているのは、私の高井新奈としての最後に未練があるからなのだろうか・・・




中学3年の冬、受験を控え、学校の友人達と勉強会と銘打った井戸端会議を終え、家である施設ね教会に帰る途中、遅くなってしまった私はシスターに夜は通るなと言われた公園を近道として使ったのがそもそもの間違いだったのだ。冬の夕方ともなれば辺りは真っ暗、街灯の少ないそこに、私は多少恐怖を覚え、早く抜けようと駆け足で公園を一直線に横切る。
大きな公園の中でも特に街灯の無い場所に差し掛かると、いきなり腕を掴まれ茂みの中へと引き込まれる、勘の良い人はもうお解りだろう、茂みに引きずり込まれた私は反動で、あっさり地に倒れ、目の前には数人の男が嫌な笑みを浮かべていた・・・私はそのまま・・・・・・話すのもイヤになる体験をした後、体中痛くて・・・動けなくて・・・・・・雪の降る中 涙を流しながら 凍え死んだ・・・



まだまだやりたい事はいっぱいあった、ちゃんと高校出て 働いて、シスター達を助けたかった・・・私、知ってる・・・シスター達お金が無くて困ってたのに、私達に少なくてもお小遣いをくれること、ソレだけじゃない・・・施設の廃止の話があったことも他にもいっぱい・・・私、シスター達に何も返せてない・・・・・・私は、私は もっと もっと・・・・・・・・・














あ゛ぁ゛ぁぁ――!

「あらあら、にーちゃんどうしたの?お腹すいたのかなぁ?」


新しくなった真っ白な赤子、泣くことでしか自己表現できないはずの赤子なのに、私の意識さハッキリとソコにあった。そう、高井新奈としての記憶がこの小さな子供の中に…理解出来なかった、こんなのドラマや漫画の話の中だけだと思ってたから・・・・・・





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あきゅろす。
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