nvl・L
訪問・1
ピンポーン―
仕事を終え、サソリはデイの部屋の前にいた。
時刻はまだ朝の6時半。
まだ寝ていても可笑しくない時間。
はっきり言って、この時間の訪問は非常識だろう。
しばらくすると、ドアがガチャガチャと音を鳴らして開く。
泥『ったく…。朝っぱらからだれ………。』
当然ながら寝起きなのだろう。
ラフな服に、髷も結っていないデイが顔をだした。
だがサソリの顔を見ると、デイは動きをとめ、目を見開く。
そして、ふっと笑ったかと思うと、『旦那ー…、いきなり過ぎだろ。連絡ぐらいよこせよな。』と言いながら、サソリを部屋に招き入れた。
蠍『悪い。だが連絡するより、行ったほうが早い。』
サソリの言葉に飽きれながらも
『だな。…って、んな問題じゃないだろ、うん!』デイはいつもの笑みを見せた。
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デイの部屋は一言で言えば殺風景だった。
ベッドにテレビ、ソファー、ある程度の家具の他、あまり物は置いていなかった。
蠍『なんか意外だな。』
泥『ん?何が?』
蠍『もっと部屋はごちゃごちゃしてると思ってた。』
泥『失礼だなー、うん。
物有りすぎたら、引っ越しの時大変じゃん。』
その言葉が胸に突っかかる。
ある日突然いなくなっても可笑しくないような言い方だった。
もしかしたら、あの女もそうだったのかも知れない。
突然デイが消え、ずっと探していたのかも知れない。いや、昨日の様子からして、そうとしか言えないだろう。
泥『旦那?』
ぼーとしているサソリに声をかける、デイ。
蠍『あぁ。なんでもない。』
泥『眠いんだろ?ベッドに横になっときなよ。』
蠍『いや、そうでもねぇよ。
つか眠いのはデイじゃないのか?』
朝から訪問しておきながら、サソリは答える。
本当のところ、深夜のことが気になり、眠気など全くなかった。
泥『ん?旦那の訪問に眠気なんかぶっ飛んだよ、うん!』
ニコニコしているデイ。
(俺は奴の笑顔が…好きなんだ。)
しばらくの間は他の話をしていた。
テレビを付けながら、ニュースの話題を出したり、大学の話をしたり。
それはそれで楽しかった。
だが、ふと沈黙が訪れる……
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