nvl・L
後輩
蠍鼬『……………………。』
ぺ『ちょ、頼むよ〜。
そんな黙らないで〜。人手不足なんだし、ね?ね?』
2人が黙る理由。
それは今夜もバイトにやってきた2人に、店長のペインが告げた言葉だった。
ぺ『今夜、深夜で新人が入ってくるから頼んだよ〜。』
蠍鼬『……は?』
それは突然の申し出だった。
(んなことは、前から言っておけよ。)
まぁ、バイトでは有りがちなことだが……。
取り敢えず、2人が黙る理由は他にある。
最初に言ったように、コンビニのバイトは思いの外キツい。
だから、次々と人が入っては辞めていく。
つまり、新人を苦労して育てても、使えるようになる前に辞めてしまうことが多い。
自分の時間を裂いて教えても、なかなか報われない。
それでも、また新人は入ってくる。
ここまで来ると怒りを通り越し、呆れ返るしかなかった。
ぺ『ま、頼んだからね!』
問答無用と、すべてを押し付けられ
2人は従う他ない。
蠍『……しゃーねぇな…。
お前の人選は信用ならねぇがな。』
ぺ『ちょ…お、お前って!リーダーだってば!
今回は大丈夫だから!とても良い子だよ。』
鼬『期待しないでおこう。』
ぺ『そんなぁ。……リーダーなのに、何この扱い……』
イタチは既に折れていたようで
揃って溜め息をもらしていた。
そうこうしている内にクルーの待機室の扉が開いた。
『失礼しまーす、うん。』
サソリとイタチが扉の方を見ると、金髪を長く伸ばし、髷を結っている少女……?
蠍(女?いや、声が少し低いか?)
イタチを見ると、同じ疑問を持っているようだ。
ぺ『よく来てくれたね!紹介するよ。
深夜クルーの赤砂サソリ君と団扇イタチ君。
二人共、新人の岩里デイダラちゃんだよ。』
泥『ちょ……店長!!オイラ男だからっ!!』
ぺ『そうだっけ?』
蠍鼬(男か……。)
2人はお互いの顔を見合せ、確認した。
蠍(…言われないと絶対分かんねぇーな。)
身長は自分と同じくらい、小柄な体型に白い肌。さらさらしている金の長髪の間からは大きな青い瞳を覗かせている。
蠍(下手したら、そこら辺の女より綺麗なんじゃ……。……!?)
自分らしからぬ考えに、頭を振って取り消す。
蠍(……でも、どっかで見たことあるような……。
でも、今初対面だし。気のせいか?)
全く思い出せないまま、その日からデイダラは俺の後輩になった。
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