もういっそ壊してくれ 7 俺たちは高校から数駅南下した駅付近の公園にいる。メールで生野を呼び出し、終了式を済ませ制服のままで到着すれば、相手は時間厳守で待ち合わせの場所に現れた。 もっと待たされるか、最悪の場合来ないかもしれない、と考えていた俺は予想を裏切られ苦笑した。 この季節はまだ寒い。外気に晒した肌は空気に触れるとチリリと痛み、心なしか吐き出す息も白いようだ。 明日から春休みだが、浮かれた気分にはなれなかった。その原因は既に理解済みだった−−−。 「寒ぃから早く言えよ。用件ってメールじゃダメだったのかよ」 呼び出しておいて一向に口を開かない俺に、生野が焦れだした。幼稚園児ほどの男女が手を繋ぎ傍を走り抜ける。 「…聞こえてるよなあ」 怒鳴るまではいかないものの、生野のその言葉は確かな怒気を含んでいた。 近くに木製のベンチがあったが、俺が座らないせいか生野も立ったままだった。足元から生えた二つの長い影を見る。 それから一度目を伏せ ゆっくりと瞼を上げた。 「あのさ生野、 もう 別れようぜ」 . [*back][next#] [戻る] |