もういっそ壊してくれ
2
バンッ−−。
バッグを軽く放り制服のままベッドに横たわる。ポケットから携帯電話を取り出し時間を確認すると、PM12:35。学校ではちょうど昼休みの時間帯だ。
あれから俺は保健室に顔を出し、胃薬を貰おうとした。食あたり程度だろうと自己判断していたのだが、熱を測ったり状態を報告していると「今すぐ病院に行きなさい」と真剣な面持ちで勧められる。大学生の子供が二人もいる勤続27年のベテラン女性保健医。
俺が大袈裟だと少しだけ抗議すると−−。
「自分勝手に決めちゃいけないわよ!自分では分からないことって世の中にはたくさんあるんだから」
なんだか長々しい説教が始まりそうだったので、従うことにした。
処方薬を既に服用したからか、気持ちの悪さは半減したものの、未だ食事を採る気にはなれない。俺は胃の辺りに手を置き、恋人を思った。
−−生野、誰と飯食ってんだろ…
付き合ってまだ10日目、世間のカップルならば、きっと幸せの真っ只中だろう。
生野はバイで男と寝ることもあったはずだ。初めてセックスをした日、手慣れていると直感した。だが俺にとっては男との付き合いなど初めてで、とにかく全てにおいての経験がない。
俺は正直モテる。子供のころから常に女に囲まれ育った。
可愛い女の子に好意を持たれ、嬉しくない男はいないだろう。
.
[*back][next#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!