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もういっそ壊してくれ
8


 いつもよりも格段に低い声の生野に、一気に動揺が押しよせる。


「何様かって聞いてんだろ」

「…なん、だよ」


 生野がスクと立ち上がれば、階段の中段あたりという位置とその背の高さが相俟って、放たれる威圧感は圧倒的だった。

 そして先程まで無情だった瞳がギラギラと憎悪を含ませ、俺だけを射抜きつつ怒りを隠そうとせずに階段を降りてくる。


「あいつ傷つけたらどうするって…?
別れて関係のないお前がエラソーに、
俺に何するつもりなんだよ。
言ってみろ」


 踊り場に着地した生野が尚も詰め寄り、俺は後退した。


「人のことに首突っこんでんじゃねーよ!
ゴチャゴチャうるっせーんだよ!!!」

「…っ」


 俺は返す言葉を見失い、生野は露骨に顔を歪めた。


−−イライラする

−−お前の態度にも、ここにいる俺も……


 不穏な空気の中ガシッと腕を掴まれ、教科書が音を立て廊下に散らばった。


「…んだよ−−っ!!」


 生野は無言を貫きながら片手で俺の両手首をくくると、それを真上に上げた。咄嗟に解こうと必死になるが、同じ男なのに手枷は緩むことはない。


 そして悔しさに目を固く冥れば、フッと耳に息をかけられた。


「!!!」

「そんなに河合が心配ならずっと俺たちにくっついてろよ。俺があいつをイジメねぇように見張ってろ。
トイレでもベッドでもな。
俺は3Pでもイケるし?」

「!」





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