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もういっそ壊してくれ
6


 次の授業は化学で移動しなくてはならない。俺はおおざっぱに机から教科書類を引っ張り出す。


 準備を終えたアキは教材を胸に抱え横へと立った。そこで小さな溜め息を耳にしアキを眺めた。


「まだ、戻ってこないね。どこで、何してんだろ…」


 生野のいない机を寂しそうに見つめる。


 荷物はあるものの今朝から姿を見せない生野の居場所に心当たりはあった。しかし「さあな…」と渇いた返事をするに留まった。

 人通りの多い廊下を二人で歩く。横を歩くアキは少し俯きながら悩んでるんだろう、明らかに覇気がない。

 原因はおそらく生野−−−。


 アキがトボトボと狭い歩幅で歩くため、俺が数メートル先に行ってしまい後方を振り返った。そして同じ位置に来るまで待ち、また一緒に歩き出すがすぐに距離が離れていく。


 そんなことが何度も続き、ついに無視を出来なくなった俺は口にしたくない名前を出した。


「そんなに、生野が好きか?」


 するとアキは下げていた頭を上げ俺の顔を凝視した。その顔はみるみるうちに赤くなり、目を弓なりにすると「うん…!」と大きく頷いた。可愛い奴だと、そう素直に思った。


「…僕ね、今まで付き合ったことなくて…あ、僕の場合好きな人もいなかったから…
なんか色々、初めてなことばっかりで、だから…だから…」

「不安?」

「…うん、僕、生野くんのこと知らなすぎ…
あ!留亜
1年の時クラスメートだったよね?

…生野くんって、どんな人なの?」


 胸がチクチクと痛み、余計なことまで考えてしまいそうで無言になってしまう。


「生野くん、あんまり自分から話すタイプじゃないみたい。
だから電話かけても会話、全然続かなくて…

まだ始まったばっかりだから、仕方ないのかもしれない、けど……」

「アキ顔あげろよ。堂々としてろ」

「…うん…

けど、やっぱり僕…」


−−アキは少し前の自分

−−生野はいつも自由だった


−−他人に対しても


−−生野自身にも−−





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